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電装・電気電子設計

電気設計3 意外と知らない、電源と遮断器の選定方法

知っているようで知らない、電源と遮断器の選定方法

電源の選定は設備や装置において根幹を成します。
この選定によっては使用できる国や使用箇所、使用方法が大きく制限されたりします。
そのため、一番最初に考えましょう。
ここでの電源は低電圧(AC1000V以下)での話になります。
特に設備や装置に対する選定方法になります。

電源選定(AC)と遮断器の選定について話していきたいと思います。

電源選定

はじめに電源の選定をしていきたいと思います。
電源を選定していく上で設備や装置に対する電源を選定していきます。
主に使用する場所・種類・使い方により電源を選ぶ必要性があります

電源選定での流れ

  1.主に使用する地域の電圧確認
  2.電源の安定性
  3.使用する商用電圧(単相、三相)の選定
  4.使用する機器類の選定

使用機器の制限により3と4は逆になる可能性もあります。
様々な地域で使用したかったり、用途としてどうしても供給される電源と使用電源が異なる場合は、トランス等で変更もできますので考慮に入れておいてください。

主に使用する地域の電圧確認

電源供給が商用電源以外の場合はこの限りではありませんが、これから設計する設備や装置の主な使用地域の電圧を確認します。

下の表は、一般的な商用電源電圧になります。
ただし、この表以外の電圧も供給できる場合があります。
参考程度に使用してください。

各地域の一般的な商用電源電圧(AC)

地域 家庭用(単相) 工業用(三相) 周波数
日本 100V 200V 50/60Hz
アメリカ 115V 230V 60Hz
イギリス 230V 400V 50Hz
ドイツ 230V 400V 50Hz
中国 220V 380V 50Hz
インド 220V 380V 50Hz
タイ 230V 400V 50Hz
オーストラリア 240V 415V 50Hz

地域により商用電圧、周波数が異なります。
使用する地域の供給される電源を確認して設計するようにしましょう。
また、自己発電やバッテリーから電源供給を考えている場合はそちらの電源仕様を確認しましょう。

地域により電圧と周波数が異なる。電源供給側の仕様を確認

電源の安定性

日本はかなり良い電源の安定性を保っています。
ですが、地域によっては電源の安定が良くないところも多々あります。
知っている限りでは、数ヶ月に1回地域全体が突然停電になったりする地域もあります。

装置の寿命が短くなる原因にもなります。
不安な場合には現地の人に計測やヒアリングをして情報をもらいましょう。

・電圧の変動率
・電源供給の稼働率

場合によっては以下の導入も検討し設備や装置を守る必要があります。
・電圧の変動 ⇨ 交流安定化電源
・電源供給の瞬断 ⇨ 無停電電源装置(UPS)等

地域によって電源の安定供給に差がある

使用する商用電圧(単相、三相)の選定

主に使用する国の電源電圧が把握できたら、次に使用する商用電圧を決めます。
この決め方によって、設備や装置の使われ方や消費電力も決まってきます。

工業用(三相)と家庭用(単相)により、それぞれ特徴があります。
下記はそれぞれの特徴の目安になります。片隅に入れておいてください。

工業用(三相)

 ・電力効率が良い(ロスが少ない)
 ・家庭用(単相)と比べると単位あたりの電気料金が安くなる
 ・大きな電力を使用できる
 ・三相の機器を使用する
 ・ケーブルが細くできる
  (同じ消費電力でも電圧が大きいため電流が小さくできる)

家庭用(単相)

 ・専用の電気契約をしなくて済む
 ・機器が家庭用(単相)電源電圧の選択ができる
 ・卓上機のような小型で頻繁に移動する
 ・工場で使用するのではなく、一般住居で使用する
 ・大きな電力を使用しない(使用電流15A以下)
 ・機器の電源として直流電源を多く使用する、直流電源のみ使用する
 ・電源接続時の配線工事が必要ない(電源プラグ使用時)
 ・安全面を考慮

また、家庭用特徴として一般的な使用できる電流は最大15A
すなわち日本だと100Vのため1500Wが最高出力(安全率を含めほとんどの製品が1200W)になります。
アメリカだと1725W(安全率含め1400W)が最高出力になります。

補足として(家庭用プラグ形状)
電源プラグの形状には以下のものがあります。
対応地域等の詳細は引用先より確認してください。

Aタイプ Bタイプ Cタイプ B3タイプ BFタイプ SEタイプ Oタイプ
海外の家庭用電源Aタイプ 海外の家庭用電源Bタイプ 海外の家庭用電源Cタイプ 海外の家庭用電源B3タイプ 海外の家庭用電源BFタイプ 海外の家庭用電源SEタイプ 海外の家庭用電源Oタイプ

TravelersCafeWorldGallery:海外のコンセント・プラグ形状と種類 電圧の一覧より引用

電気料金や大きな電力を使用する場合は、工業用(三相)。使い勝手を重視する場合には家庭用(単相)を選択

使用する機器類の選定

設備や装置に使用する機器の電源電圧に対する選定が必要です。
大まかな選定として工業用(三相)、家庭用(単相)と電源種類に分けましたが使用する電圧に合致しているかどうか、機器の確認をしていきます。

特に特殊な電源が必要な場合や特定の電源のみの場合など考慮しなければなりません。

機器選定における必要な確認

・使用可能電源の確認
・周波数による変化があるか確認
・電源に適用する代替品があるか確認
・消費電力及び合計の消費電力の確認

それからどうしても使用可能電源が合わない場合は「使用する商用電圧(単相、三相)の選定」をもう一度やり直すもしくは、トランス等で電源を変化させる必要があります。

使用機器で特殊及び特定の電源が必要がないか確認

今回は商用電源という事で交流(AC)をメインに話してしまいましたが、直流においても同様です。
機器の中で直流に変換した後の考え方も同様です。

次に遮断器のついて話していきます。
以下の本も参考になりますので興味があれば見てみてください。
選び方・使い方 遮断器・開閉器

遮断器について

次に遮断器の選定について話していきたいと思います。
遮断器(通称ブレーカー)は電源から設備や装置へ引き込むために重要な装置です。

装置自体に組み込んだり、電源盤に取り付けたり、家庭内の配電版と様々なところに使われています。
接続される電線の選定は遮断器の容量よりも大きくする必要があります。

電線自体の選定は次回にしたいと思います。

遮断器の目的

遮断器と同じような働きをするものにヒューズがあります。
いくつか目的があり以下のような機能が組み込まれています。

遮断器の目的

・回路の開閉
・電線の焼損防止
・機器の故障防止
・人体への安全配慮

対応する遮断器の種類として目的に対する遮断器を記載しました。
選定や使い方によっては多少異なるので目安として考えてください。

対応する遮断器の種類
・回路の開閉
 開閉器
 安全用ブレーカー(配線用遮断器)
 電磁接触機
 電磁開閉機(電磁接触機+サーマルリレー)
 漏電ブレーカー(漏電遮断器)
 サーキットプロテクタ(AC,DC)

・電線の焼損防止
 ヒューズ(温度、電流)
 安全用ブレーカー(配線用遮断器)
 漏電ブレーカー(漏電遮断器)
 電磁開閉機(電磁接触機+サーマルリレー)
 サーキットプロテクタ(AC,DC)

・機器の故障防止
 サーキットプロテクタ(AC,DC)

・人体への安全配慮
 漏電ブレーカー(漏電遮断器)

遮断器以外にも機器自体に同様の保護機能がついているものも多々あります。
例えばスイッチング電源のhiccup等の保護回路もその一つになります。

目的に応じて遮断器を使う

遮断器の選定

先ほど簡単に説明した遮断器の種類の話をしていきます。
その中で、選定する上で考えなければならない点を記載しました。

分電盤内の遮断器の例
分電盤内の例

安全用ブレーカー(配線用遮断器)について

一般的な遮断器で開閉器+何度も使用できるヒューズのような存在です。
開閉器の代わりに取り付ける事がよくあります。

選定の考え方として以下があります。
安全用ブレーカー(配線用遮断器)の選定

・主回路や分岐回路として回路の開閉をしたい
・電線の焼損を防ぎたい
・電線の耐電流容量が低くなる
・ヒューズよりも早く復旧させたい

動作時間
定格値(表示値)を超えてもすぐに落ちません(トリップしません)
以下のような規定があります。

定格電流 動作時間
定格電流の1.25倍 定格電流の2倍
30A以下 60min以下 2min以下
30A~50A 60min以下 4min以下
50A~100A 120min以下 6min以下

定格電流を越してもすぐに動作しません。
そのため使用電流及び使用電線の安全率を考慮して選定してください。

安全用ブレーカーは「開閉器+何度も使用できるヒューズ」

漏電ブレーカー(漏電遮断器)について

漏電ブレーカー(漏電遮断器)は「配線用遮断器+地絡監視」のような存在です。

地絡(漏電)による感電および火災の防止の機能がついています。
地絡(漏電)による感電の防止はアース(接地)が一般的ですが、併用して使用したりします。

日本の場合の漏電遮断器の設置基準についてです。
※この項の内容は目安です。改定の可能性もあるため、「電気設備の技術基準の解釈の解説」にて確認してください。

漏電ブレーカー(漏電遮断器)の選定

・水気のある場所での使用
・火薬庫等の火気厳禁の場所
・地絡を感知したら自動的に遮断する機構がない
・アース(接地)の省略している箇所
例外として
・機器を発電所、変電所等で使用する
・乾燥した場所での使用
・水気のある場所以外で150V以下で使用する
・機器がゴム、合成樹脂その他の絶縁物で被覆されている
・接触防護措置(容易に触れない措置)がされている
・C・D種接地工事のアース(接地)抵抗が3Ω以下

漏電時の電流(感度電流)により回路を遮断します。
もう一つ種類の分け方として、動作時間(遮断するまでの時間)により分類します。

感度電流の種類
(漏電による漏れ電流)
・高感度形 30mA以下
・中感度形 1000mA以下

応答速度の種類(動作するまでの時間)

種類(形) 動作時間 対応機能
高速形 0.1s以内 感電防止
時延形 2s以内 焼損防止
反限時形 0.3s以内、感度電流により変化 焼損防止

アース(接地)の省略箇所(300V以下)の漏電遮断器は感度電流15mA以下、応答速度0.1s以下を選定

機能における選定方法の目安としてまとめると以下になります。

感度電流 動作速度 アース(接地) 対応機能
~15mA 0.1s以内 アース無し、C・D種接地 感電防止
~15mA 0.1s超え C・D種接地 火災防止
16mA~500mA 0.1s以内 C・D種接地 感電防止
16mA~500mA 0.1s超え C・D種接地 火災防止
501mA~ 0.1s以内 C・D種接地 火災防止
501mA~ 0.1s超え C・D種接地 火災防止

日本において漏電ブレーカーの設置基準もある。地絡監視をする場合に必要。

電磁接触機と電磁開閉機について

基本的に両方とも主にモーターや電熱器に接続されるときに使用します。
回路の開閉自体を制御することができ、特徴からマグネットスイッチとも呼ばれます。

電磁接触器と電磁開閉器の関係はこのようになります。
電磁開閉機=電磁接触機+サーマルリレー

・サーマルリレー
電線温度を監視して過負荷、短絡により回路を遮断します。

電磁接触機の選定

・回路の開閉を(遠隔)制御したい
・負荷変動がない

電磁開閉機(電磁接触機+サーマルリレー)の選定

・回路の開閉を(遠隔)制御したい
・モーターや電熱器を使用する(負荷変動がある)
・過負荷、短絡により回路を遮断したい
 (電線温度を監視)

注意点
・サーマルリレーの設定
モーターは始動時に大電流(定格の7倍程度)が数秒流れます。
設定によっては始動で誤動作する可能性があります。
特性曲線を確認して、過負荷120%程度で考えて調整しましょう。

・サージ吸収の考慮
大きなモーター等(大きな誘導性負荷)を使用している場合、回路を開いた際の逆起電圧が起こってしまいます。
これにより開閉器の耐久性が著しく低下してしまいます。
そのため、サージ吸収用のバリスタ等で逆起電圧を抑制する必要があります。

特に回路の開閉を(遠隔)制御したい場合に使用する

サーキットプロテクタについて

電子回路等の制御回路、負荷の保護を前提として作られている遮断器です。
遮断までの動作が速い遮断器になります。

サーキットプロテクタの選定

・制御回路、負荷を守りたい
・低い容量を遮断したい
・DC(直流)回路も遮断したい
・ちょうど良い定格電流がみつからない
 (定格電流のラインナップが細かい)
・二次側配線の保護をしたい

負荷の保護を前提として作られている遮断器

家庭内での遮断器

もちろん家庭内でも遮断器は使用しています。
・家庭用の分電盤の例(漏電遮断器,配線用遮断器)
家庭用の遮断器の例

通常、家庭用の遮断器は以下のような構成になっていると思います。

アンペアブレーカー(契約電流値が記載のブレーカー)

漏電遮断器(漏電テストボタンがついてるブレーカー)

配線用遮断器(一周り小さいブレーカー)

それぞれのブレーカーがおちた場合の対処方法を説明していきたいと思います。
焦らずに対応していけば誰でも復旧ができます。

またその考えられる要因も載せておきましたので、再発防止として確認してください。

もしアンペアブレーカーがおちた(トリップした)場合

(契約電流値が記載のブレーカー)
家庭内の合計電力使用量が契約値を超えています。

以下の対応をしましょう。

1.大きな電力を使用している箇所を特定する
2.大きな電力を使う機器を同時に使用しない
3.大きな電力を使う機器の使うタイミングをずらす

使用電力が契約値を超えている

もし漏電遮断器がおちた(トリップした)場合

(漏電テストボタンがついてるブレーカー)
どこか漏電している可能性があります。
確認できるまでONしないようにしましょう。

家の中の安全が確認されたら以下の順で対応しましょう。

1.配線用遮断器をすべてOFF
2.漏電遮断器をON
  (トリップ時はレバーが中間位置停止のため一度OFF→ON)
3.配線用遮断器を1つずつON
4.再び漏電遮断器がOFFになったら、OFFの状態で遮断器の対応箇所を確認

どこかで漏電が起きている可能性がある

配線用遮断器がおちた(トリップした)場合

一部でたくさんの電力を消費しています。
通常家庭内の配線用遮断器は15Aのため、1つの遮断器の下では3000Wを使用すると2分以内におちます。

以下の対応をしましょう。

1.タコ足配線で同時に機器を使用していないか
2.大きな電力を同じコンセント、近くのコンセントで使用していないか
3.どうしても大きな電力を使用する場合、追加の回路をつくってもらう

お勧めできませんが、短時間の使用の場合は特性上、以下のことが出来てしまいます。
・1500Wをすこし超えて使用する
・3000W程度を1分程度使用する

同じコンセントでたくさん電力を使用している

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電気設計2 機能維持のための安全カテゴリの考え方

機能維持のための安全カテゴリの考え方

安全カテゴリは「安全」と名前がついているため、「安全性」と混同しがちですが違います。
安全の機能が維持できる堅牢性・耐性のレベル分けした名称です。

安全カテゴリとは「安全の機能」の「維持の強さ」の度合いになります。
そのため、安全ための機能(安全性)については別問題です。

考え方が「機能維持」という意味で、安全の機能以外でもとても参考になります。
今回はそれについて話していきたいと思います。

安全カテゴリの考え方

先ほども簡単に述べましたが、安全カテゴリは「安全機能」が維持できる堅牢性・耐性のレベル分けになります。
この考え方は制御としても同様に考えることもできます、どちらかと言いますとハード面での機能の堅牢性・耐性の考え方になります。

それはリスクアセスメントの「傷害の起こる確率」にも関係し、リスクアセスメントのリスクレベルを下げるのにも役に立ちます。

考え方はハード設計における製品機能の品質を維持するための「機能信頼度」に集約していく話になります。

この安全カテゴリと同様に構築すれば、通常使用する機能の堅牢性・耐性も同様にあげれます。

「安全カテゴリ」≒「機能の維持レベル」

そのため、安全以外に使用して、機能の維持に努めることも可能となります。

カテゴリ分け

説明していました、機能維持のレベル(カテゴリ)は簡単に以下の5つに分けることができます。

・カテゴリB
・カテゴリ1
・カテゴリ2
・カテゴリ3
・カテゴリ4

下に行くほど堅牢性・耐性が高くなります。
これらは安全カテゴリ分類と必要要件であるISO13849-1に基づきます。
次はカテゴリ別にどのように組まれているのかを説明していきます。

カテゴリは5つに分けられる

機能の関連の本になります。
マーケティングにも機能が重要の本の一例です。
ヒットを育てる! 食品の機能性マーケティング

カテゴリB

カテゴリB 安全機能維持には使用できません。

通常時、目的の機能が実現できることになります。(安全機能が動作するレベル)

「入力→機能→出力」と一連の流れになります。

何か起きた場合は機能は動作を停止してしまうレベルのカテゴリになります。
そのため、カテゴリBは安全機能の維持回路としては成立しません。
安全としては本質安全(安全機能の必要以前に安全が根本的に確立している)で設計しましょう。

カテゴリBは安全機能の維持としては使えない

カテゴリ1

カテゴリ1 吟味された構成要素を使用する

カテゴリBの条件を満たすことと、吟味された構成要素を使用すること、安全は安全原則に従うことになります。

カテゴリBと同じように「入力→機能→出力」と流れは一緒になります。

吟味された構成要素とは
・信頼性が高く故障可能性が低減しているもの
・故障時に確実に安全方向に動作するもの
・安全上広く使われてきたもの

カテゴリB+信頼性が高い部品を使うといった考え方になります。

カテゴリ1は吟味された構成要素を使用すること

カテゴリ2

カテゴリ2はカテゴリB+点検機器が取り付いている

カテゴリBの条件を満たすことと、点検機能があること、安全は安全原則に従うことになります。

「入力→機能→出力」と一連の流れは一緒です。
それに「点検機能」が追加した形になります。

点検機能とは、任意のタイミングで機能が維持できているか手動または自動で確認する機能のことです。
点検結果により動作の可否の判断をします。

任意のタイミングとは
明確なタイミングや回数の規定はありませんが、通念上サイクル毎や動作毎に点検が必要となります。

カテゴリ2は点検機能が付加

カテゴリ3

カテゴリ3、4 冗長化により2重回路を組み常に監視をする
または、
カテゴリ3、4 冗長化により2重回路を組み常に監視をする

カテゴリBの条件を満たすことと、監視機能があること冗長化(2重化)回路であること、安全は安全原則に従うことになります。

「入力1→機能1→出力1」、「入力2→機能2→出力2」と動作の流れが2系統に分かれています。
動作機能は両方同じです。

カテゴリ3からは、とても重要な部分と考えこのように「冗長化」(二重化)する必要があります。

「冗長化」とは、機能を二重化しておき一方が故障してももう一方が残っていれば対応して問題なく動作する回路やシステムのことです。
これは機能信頼度をあげる方法としてはとても良い方法です。
ただし、コストはその分二重にかかります。

また、監視機能があるため故障時は検出できます。
カテゴリ3では複数の重複した故障(故障の蓄積)の際までは保障されていません。

カテゴリ3は冗長化と監視機能

カテゴリ4

回路としてはカテゴリ3と同じです。

カテゴリ3の条件を満たすことと、故障の蓄積に対する耐性になります。

カテゴリ3と同様に「入力1→機能1→出力1」、「入力2→機能2→出力2」と動作の流れが2系統に分かれています。
これも両方の系統の動作機能は同じです。

故障の蓄積に対する耐性とは
・単体の故障は機能を実行した際か故障した際に検出すること
・複数の重複した故障(故障の蓄積)でも機能が損なわれないこと
になります。

カテゴリ3や4は、飛行機のシステムや銀行のシステム系などの重要な部分には同様の仕組みで成り立っています。
機能として欠落できない場所には同様に考えてみてください。

カテゴリ4はカテゴリ3に耐性をさらにアップした内容

どのように機能維持に展開するのか

結局のところどのように機能維持を展開していくかカテゴリに沿って要約します。
以下は安全カテゴリの機能の堅牢性・耐性を踏まえた順に並んでいます。

1.通常(異常がない場合)機能が成立する
2.信頼性のある部品・要素を使用する
3.機能に異常がないかチェックできる機能が付いている
4.冗長化(2重回路)にする
5.冗長化(2重回路)で故障の際はすぐに判断できる

設計段階でどの程度機能の動作保証をするか決め、機能の重要性により対応内容をあげていけば良いと思います。

安全カテゴリと同様に機能の重要性により対応内容を変える

これらのように安全カテゴリと同じ考え方は機能を維持する上では非常に役に立ちます。
機能の維持をどの程度にするか設計時に考える必要があります。
状況に応じて対応してみてください。

機能についての関連本

一部追記:2017/8/23

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電装・電気電子設計

電気設計1 熱に対応した電装・電気設計

熱に対応した電装・電気設計

熱に対応した電装・電気設計として電装・電気機器の制御盤及び温度の与える影響を考えていきます。
設計時の安全率等は企業によって異なると思いますので、参考程度で読んでいただけたら幸いです。

熱が与える制御部品・電子部品の影響

影響として考えられるのは以下の3つです。

・寿命
・安全
・機能

・寿命

寿命低下はある温度での化学反応の速度を予測する式である「アレニウスの式」で表せます。
グリスやオイルなどの劣化によりそれを使用している部品の寿命が低下します。
しかもその寿命は温度と比例ではなく、温度上昇に伴って加速的に寿命が縮まります。
電子部品では特にコンデンサがよく話に上がります。

・安全

基本的に熱としては肌に接触、雰囲気中の熱によるものが安全になっているかどうかになります。
 低温やけど(40℃程度のものに長時間肌を接触)
 急激な温度上昇
 高温状態と気づかない状態で接触
これ以外にも、温度上昇により有害なガスが発生する場合は考慮に入れる必要があります。

・機能

ここでは特に「マイグレーション」について説明したいと思います。
マイグレーションには熱以外にも要素はあります。そもそもマイグレーションとは、配線や電極として使用した金属が絶縁物の上を移動し、絶縁抵抗値が低下して絶縁不良により故障・機能低下がおこることです。
マイグレーションには3種類があります。

ストレスマイグレーション
 ・金属が温度変化の環境下で応力を受けることによるマイグレーション
 ・不純物等による空孔(ボイド)による,配線の抵抗増加や断線を招く現象

エレクトロマイグレーション
 ・電子運動によるマイグレーション
 ・温度が高い際におきやすい
 ・電流密度が高い際におきやすい

イオンマイグレーション
 ・電気化学的な(電解現象に伴う)マイグレーション
 ・湿度が高い際におきやすい

熱に対して制御部品・電子部品は「寿命」「安全」「機能」を考える必要がある

熱による設計として他にも細かく書かれている本の参考になります。
もっと知りたい方は参照してください。
エレクトロニクスのための熱設計完全入門

制御装置・制御盤内温度設計

熱自体の考え方は「熱の考え方」の話で説明したいと思います。
今回は機器の発熱と電装盤・制御機器箱の放熱の関係を例として説明していきます。
同様の考え方は様々なところで使えます。
制御装置・制御盤内の温度設計で考えなければならない内容は

・発熱量計算
・放熱量計算

発熱量計算、放熱量計算となります。
設計の流れとしては以下になります。
設計の流れ1

流れとしては「発熱量計算」→「(箱の)放熱量計算」をします。
ここで「発熱量」>「放熱量」の場合、「放熱設計」として換気口を設けて「自然換気放熱量計算」をします。
「発熱量−放熱量」以上の(安全率を考慮の上で)換気での放熱量があるか考えます。
それでも足りない場合は、換気口にファン等を設けた「強制換気放熱量計算」をしていきます。

それでは「発熱量」「放熱量」の計算を考えていきます。
以下は発熱と放熱のイメージ図です。
箱放熱図

・発熱量計算

機器自体の発熱量の合計になります。
発熱量がわからない場合は、機器自体の消費電流やロス電流から消費電力[W]を求めてください。
制御盤の例としてあげていきます。

・放熱量計算

箱自体からの周囲に放熱する温度になります。
盤放熱量
盤放熱値
ここでは熱通過率U[W/m2/K]を使用しています。
一般的な制御機器箱(鉄・塗装)は4〜6[W/m2/K]程度ですが環境によっても多少変化します。
ここでの箱内目標温度は制御機器の設計上の寿命計算している温度にします。
複数台の制御機器がある場合はその機器が寿命計算で算出している温度の中の最も低い温度にします。
また、有効放熱面積は箱の表面積になります。

例えば、盤内目標温度を55[℃]、大気温度40[℃]、有効放熱面積2[m2]、熱量1000[W]とすると、熱通過率5[W/m2/K]とすると
Qr=5*2*(55-40)=150[W]
箱自体からの放熱量Qr<機器の発熱量Qの場合は放熱設計が必要になります。 この例では(1000-150)=850[W]のさらなる放熱が必要になります。 熱通過率の推定の必要のない方は「放熱設計」まで飛ばしてください。 発熱量が放熱量を(安全率を掛けて)若干超える場合は、熱通過率の高い材質に変える、ヒートシンク等で有効放熱面積を増やすなどの対応が必要になります。 それでも発熱量が超えている場合は次に説明する「放熱設計」を考える必要があります。

熱通過率の推定
熱通過率がわからない場合は以下より推定してください。
下は箱の内部と外部の断面図になります。
熱が壁を伝わる流れ図
熱通過率
で表されます。熱の伝わり方として、内部の温度T→板表面Th1→板外面Th2→外部の温度(大気温度)T0に伝わっていきます。
それぞれの伝達率は箱内部の熱伝達率h1[W/m2•K]、箱外部の熱伝達率h2[W/m2•K]、板の伝達率は箱の板厚t[m]、箱の熱伝導率λ[W/m•K]から導き出されます。

これを求めるのには以下が必要で
熱伝達率
熱伝達率h1は箱内側の対流熱伝達率ha、熱伝達率h2は箱外側の対流熱伝達率hb+放射熱伝達率hεから求めます。
対流熱伝達率ha、hbは流体の流速により変わります。

下記は空気の熱伝達率と風速の関係表です。
空気の熱伝達率
また、放射熱伝達率hεは板から発生する放射熱による放熱になります。
放射熱伝達率

5.67*10^8はシュテファンボルツマン定数と呼ばれるものです。
εは放射率になり0.6〜0.9程度で良いと思います。また、Th1,Th2を使用しています。
正確ではないですが推定では箱内外の中間(T-T0)/2+T0程度で良いと思います。

例:放射率0.8、Th2,47.5[℃],箱内の大気の流速1[m/s],箱外の大気の流速0.5[m/s]、箱板厚0.003[m]、箱板伝導率50[W/m•K]の場合
大気の流速1[m/s]→対流熱伝達率8[W/m2•K]
大気の流速0.5[m/s]→対流熱伝達率4.5[W/m2•K]

h1=8[W/m2•K]
h2=4.5+5.67*10^-8*0.8*((47.5+273.15)^4-(40+273.15)^4)/(47.5-40)=4.5+5.78=10.28[W/m2•K]
t/λ=0.003/50=0.00006[W/m2•K]
U=1/(1/8+0.00006+1/10.28)=4.50[W/m2•K]
考え方は「熱の考え方」で説明したいと思います。

放熱が間に合わないなら「自然換気」「強制換気」での放熱を考える必要がある

制御装置・制御盤内の放熱設計

箱の放熱量の計算まで行いました。
「発熱量」>「放熱量」の場合、これから説明する方法をとります。
この下で話す換気での放熱量は「(換気での)放熱量」>「発熱量」−「(箱の)放熱量」である必要があります。

・自然換気での計算「自然換気放熱量計算」

自然換気放熱図
自然換気放熱の一例図です。自然換気放熱では、換気口を設けて箱内の温度を周辺温度に近づける方法になります。気体の移動は自然に任せます。
放熱量の計算としては以下になります。
自然換気放熱量

自然換気値
通常、雰囲気は空気だと思います。空気の密度は1.154[kg/m3],空気の比熱は1018[J/kg℃]になります。

例えば、箱内目標温度を55[℃]、箱内天井付近温度を58[℃]、大気温度40[℃]、実行換気口面積0.05[m2]、吸気口-排気口の高さ0.3[m]とすると
放熱量Q=1018*1.154*0.05*√((2*9.8*0.3*(55-40))/(273.15-40))*(58-40)=561.12[W]

発熱量1000[W]>箱の放熱量150[W]+自然換気放熱量561.12[W]=711.12[W]なので、さらなる放熱が必要になります。
このように発熱量が放熱量を(安全率を掛けて)若干超える場合は、実効換気口面積を増やす、排気口ー吸気口の高さの差を大きくするなどの対応が必要になります。場合により周囲温度の制限(使用上の温度制限)を設ける方法も考える必要があります。対応ができない場合は次の強制換気での放熱を考えていきます。

・強制換気での計算「強制換気放熱量計算」

強制換気放熱図
強制換気放熱の一例図です。強制換気放熱では、自然換気放熱と違いファン等で強制的に気体を動かし箱内の温度を周辺温度に近づける方法になります。

計算としては以下になります。
強制換気放熱風量

強制換気値

こちらも通常、雰囲気は空気だと思います。その場合は空気の密度は1.154[kg/m3],空気の比熱は1018[J/kg℃]になります。

例えば、残り必要放熱量が(発熱量1000[W]−総放熱量711.12[W])=288.88[W]、箱内目標温度を55[℃]、大気温度40[℃]とすると、
V=288.88/(1.154*1018*(55-40))
=0.0164[m3/min]というように計算ができます。(この値は風量です)

選定する場合はこれに安全率を掛けたそれ以上のファンを見つけてください。
選定するファンがない場合や換気口を広げたりしても熱量が超えてる場合は、周囲温度の制限(使用上の温度制限)を設けたりして設計範囲内の温度に抑える必要があります。

放熱が間に合わないなら「自然換気」「強制換気」での放熱を考える必要がある

このように設計上で事前に熱の問題を解決する必要があります。
目に見えず扱いにくいのですが、やっておかないと後で大変な目に遭ってしまいます。
それぞれ実施したものと比較して設計精度を高めていきましょう。


今まで話した内容よりも様々な角度から熱による設計として書かれている本の参考になります。
電気系設計者に使える熱設計の本になります。