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「機能信頼度」製品機能の品質バロメーター

「機能信頼度」製品機能の品質バロメーター

製品を設計する際には製品仕様を作ります。
その製品仕様から製品の機能に展開しますが、その機能自体の品質が維持できなければ結果として仕様が満たせなくなります。
その「機能信頼度」を設計にどう関係していくか話したいと思います。

機能信頼度を高くしたいとき、設計時の機能信頼度によって機能維持の考え方に記述されているような変更が必要です。

仕様と機能の関係性

「機能信頼度」を話す前に、そもそも機能と仕様の関係を簡単に話したいと思います。

 例として、「ノック式ペン」で考えます。
製品の機能を維持する「機能信頼度」ペンの例

「仕様」としては「片手の親指操作だけでペン先を出し入れ」
「機能」としては「ペンの上部を押すとペン先が出る」「もう一度押すと戻る」

「仕様」はあるべき姿
「機能」は「仕様」からあるべき姿にするための方策

の関係だと思っています。

「仕様」とは、あるべき姿。「機能」とは、あるべき姿にするための方策

「機能信頼度」とは

「機能信頼度」とは、簡単に言いますと「ほぼ機能の品質」になります。

先ほどの例の「ノック式ペン」で考えます。
機能は「ペンの上部を押すとペン先が出る」「もう一度押すと戻る」でした。

「機能信頼度」
1万回正常に「ペンの上部を押すとペン先が出る」「もう一度押すと戻る」が満たされる。
になります。

これは仕様から機能を展開した後にその機能自体が満たすことができるかどうかの度合いです。
「機能信頼度」≒「機能の品質」→「仕様の品質」につながる

機能の品質としては以下が挙げられます。

 ・機能のグレード
 ・機能の信用度(機能信頼度はこちらの意識が強い)

「機能信頼度」とは仕様から展開した機能を満たす度合い

「機能信頼度」落とすとどうなる?

先ほども述べましたように「機能信頼度」は「仕様の品質」につながっていきます。

・「機能信頼度」の低下

既存の製品からのモデルチェンジだった場合、今まであった仕様も少なからずあるはずです。
特に今までの製品の延長上の仕様は今まで以上の信頼度が高くないといけないです。

信頼度が低い(仕様を満たさない故障等が多い場合)と、顧客は「当然あるべきもの」と思っていたものが満たされないため、不満足になります。
それは満足できる部分があったとしても満たされません。
満足と不満足の関係は、「満足・不満足」を参照してください。

「機能信頼度」は、製品自体の「信頼度」につながります。
実際はその製品だけのものですが、にもかかわらず顧客は企業全体としての「信頼度」と混同して捉えてしまう傾向にあります。

そのため、「機能信頼度」が低下してしまい、顧客に周知されてしまうと企業全体として「信頼度」が低下したと捉えてしまいます。
それは、すでに販売済みの製品でもそうでなかったとしても「信頼度」果ては「機能信頼度」を低く捉えてしまうことになります。

・メーカーの考え方

メーカーの不具合確率(100万個に1個だとしても) だったとしても、購入し不具合に当たった顧客は100%不具合品。
そのため特に日本の製造業は「機能信頼度」を高くしている傾向にある。
そのため、製品の規格に対しても工程能力を加味した製品の製造を行っています。

・機能信頼度の業界による考え方の違い

「機能信頼度」はどんなものでもついてきます。
ですが、業界によりその信頼度の大きさが違って市場に出てきます。

機能信頼度を高くとる
 製造業界
 →リコールとなり、手直しに莫大な費用がかかる為

機能信頼度が比較的低め
 サービス・ソフトウエア業界
 →バージョンアップ等で済むため、 手直しにさほど金額がかからない

「機能信頼度」を見極めないと企業の価値も下がってしまう。

信頼性の傾向を掴むバスタブカーブ(故障率曲線)

バスタブカーブ(故障率曲線)と呼ばれ縦軸に「故障率」横軸に「時間経過」を表したグラフによって故障率の傾向が表されます。
バスタブのような形の曲線なので「バスタブカーブ」と呼ばれます。
バスタブカーブ

時間の経過により初期故障期間、偶発故障期間、摩耗故障期間に分けられます。

故障率減少カーブ (DFR) 
故障率一定カーブ (CFR)
故障率増加カーブ(IFR)

故障率減少カーブ (DFR)の傾向が大きい場合

故障率減少カーブ
製造する上での欠陥等による故障です。
検査の工程がない、もしくは抜けてしまうような品質による場合でもこの傾向になりやすいです。
これは時間の経過とともに故障率が減少ていくタイプのものです。

故障率一定カーブ (CFR)の傾向が大きい場合

故障率一定カーブ
偶然に起こってしまう故障です。
規格の範囲が甘かったり、製品の使用範囲が想定を超えていた場合などが関連する故障です。
時間と関連性がなく一定の割合で故障するタイプのものです。

故障率増加カーブ(IFR)の傾向が大きい場合

故障率増加カーブ
設計や材質等の変更等でこのカーブの位置が変わります。
磨耗などの機械的な故障が時間の経過とともに増加していくタイプのものです。

この3つのグラフが一緒になってバスタブカーブを作ります。
モデルチェンジなどや対策に迫られた場合、どの傾向が強いのか判断して対応していけば対応しやすいです。

特にどの傾向が強い曲線になる機能か判断した方が良い

品質工学、機能の判断として分かりやすい本です。機能と品質について参考にしたい方はどうぞ。
これでわかった! 超実践 品質工学 ~絶対はずしてはいけない 機能・ノイズ・SN比の急所~

信頼性向上の対策

様々な要因で信頼性が上がらない場合があります。
「企画」「設計」「製造」の部署をまたいだり、「ヒューマンエラー」などの人為的ミスにより信頼性が上がらないこともあります。

信頼性向上の内容

ミスを作らない「排除」
ミスを誘発させない「代替」
ミスを起こさせない「簡素化」
ミスを気づく「異常の検出」
ミスを普及させない「対応展開」

・ミスを作らない「排除」
ミスになる原因そのものを作らない、あったら排除することです。

・ミスを誘発させない「代替」
ミスにならないように、なりにくいように別な物で代替えすることです。

・ミスを起こさせない「簡素化」
作業項目等を簡単にして、ミスの箇所を極力少なくすることです。

・ミスを気づく「異常の検出」
異常の発見装置や検査等で、ミスを気づいて止める方法のことです。

・ミスを普及させない「対応展開」
同じようなミスを他の箇所でも起こさないようにすることです。

これらを考えていく必要がありますが、その上で「リスク評価」をしていく必要があります。
ここでのリスク評価とは信頼性が失われた際にどうなるか?というものを考えていくものです。
品質基準は国や購入層によっても異なってきます。その為、リスク評価も異なってきます。

これらは、リスクアセスメントと考え方は同じです。
リスク評価を行なってそれに対応する設計を行いましょう。詳しくはそちらを見てください。

先ほど述べたようにリスクの評価は、異なってきます。
後で述べるツール等を使用した方法で先に対策の洗い出しと評価内容の検討を行なっていけば良いと思います。

機能に関しても、リスク評価をしないといけない

重要な箇所は「冗長化」

リスク評価をして、それでもとても重要な部分は「冗長化」(二重化)する必要があります。

「冗長化」とは、機能を二重化しておき一方が故障してももう一方が残っていれば対応して問題なく動作する回路やシステムのことです。
これは機能信頼度をあげる方法としてはとても良い方法です。ただし、コストはその分二重にかかります。

このように、バックアップを持たせた二重回路・システムというのは多くの箇所で使用されています。

・飛行機
・発電所
・金融関連システム
・安全回路
 etc

リスク評価によっては冗長化を選択しないといけない

対策の洗い出しのツール

信頼性向上の対策の項で述べたように、品質基準は国や購入層によっても異なってきます。

製品の品質と機能の関連「品質機能展開」(QFD)
未然防止為の変化点解析(DRBFM)
部品故障からの故障解析(FMEA)
故障からの原因解析(FTA)

を駆使していけば明確になります。
詳しくは、各項目の内容の際に説明したいと思います。

ツールを使用して明確にしてリスク評価につなげる

品質工学の分かりやすい本がこちらになります。
参考にしたい方はこちらからどうぞ。

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大きい要因から着手しよう パレート図

大きい要因から着手しよう パレート図

品質管理(Quality Control)の一環として、よく使用される表示方法の一つに「パレート図」があります。
パレート図はどんなもので、どのように見かたをするのか、どのように使えば効果的なのかを説明していきたいと思います。

パレート図とは?

パレート図とは下の図のように表すことができます。

パレート図正規

このように、棒グラフで表す要因の大きさ・量とその棒グラフで表したの割合(累積比率)を折れ線グラフで表すグラフになります。
ルールが決まっていて、棒グラフは要因の大きさ・量が大きいものから(左から)順に並べます。

これにより要因に対する全体の割合が一目でわかります。
大きい順に並べることで、どのような項目が割合として大きいのか視覚的にわかりやすいグラフになります。

パレート図は視覚的に認識しやすいグラフ

パレート図の使いかた

パレート図は品質管理(Quality Control)でよく使われますが、それなりに理由があります。
特に、パレート図で表して何をしたいのかと言いますと次のような内容になります。

・要因の種類が多く全て対応しきれない場合
・要因の対策や対応の優先順位がわからない場合
・少ない対策でより大きな結果を出したい場合
・プレゼン等で要因に対する説得力を出したい場合

種類が多くても大きい順に並べられ比率も分かるため、優先順位がわからない場合グラフの左の項目から着手すれば良いと言えます。
また、項目に対しての比率が分かるため割合として、どこまでやるべきかも判断ができます。

視覚的にも一目でわかりやすく、大きさ・比率が瞬時に判断できます。
「対応・対策内容」「対応・対策順」「対応・対策した結果」に対して説得力を出せ、プレゼン等での発表でも良く使われます。

パレート図は優先順位出しや効率よく結果を出したい場合に使える

パレート図の見かた

先ほど説明した使い方に沿って見方を説明します。

・「比率」から「値・大きさ」がすぐに分かる
 または「値・大きさ」から「比率」がすぐに分かる

パレート図見方2
パレート図の見方として、「値」と「比率」がすぐに知ることができます。
「累積比率」の軸より線を引き「大きさ」の値を読むと、それが比率に対する値となります。
逆に「大きさ」の軸より線を引き「累積比率」の値を読むと、それが値に対する比率となります。

この例では比率「50%」の際に大きさが「526」になることがわかると思います。

・上位項目の合算の「値・大きさ」と「比率」がすぐに分かる

パレート図見方1
パレート図の見方として、上位項目の合算の「大きさ」の値と「累積比率」の値がすぐに読み取れます。
合算して知りたい部分の項目の右側より上に線を引きます。
その線が累積比率の線に当たった箇所から「大きさ」の軸に線を引くと「大きさ」の合算した値が
「累積比率」の軸に線を引くとその上位項目の合算した「比率」が読み取ることができます。

この例では上位の3つの項目を合算します。
合算の合計の大きさは「791」、3つの合わせた比率が「75.2%」になります。
ここでは「累積比率」の線上に値があるので「累積比率」の軸に線を引かなくても、比率がその値になります。

・上位項目の「共通点」より「大きさ」の要因がわかる場合がある

パレート図見方3
パレート図の見方として、上位項目の共通点を見つけ出すことができれば「大きさ」の要因を知ることができるかもしれません。
実際に共通点を見つけて「大きさ」に対する真因を見つけれる場合があります。

この例では「りんご」「みかん」「ぶどう」「梨」の上位項目5つ中4つが「フルーツ」という共通点があります。
全項目(10こ)中にフルーツ5つ、野菜5つがあります。
ですが、フルーツが上位に偏っています。
この場合、上位項目すなわち「大きさ」に「フルーツ」の関係はあると考えるべきでしょう。

パレート図の見かたを知ることができれば、瞬時に判断を出すことができる。

以下の本はプレゼン等でのグラフの見せ方として役に立っています。
参考にしてみてください。
レポート・プレゼンに強くなるグラフの表現術 (講談社現代新書)

パレート図の書き方(Excel編)

パレート図を描くのには少し手間がいります。
Excelでの方法を説明したいと思います。

・表を作成(要因の大きい順位並べる)

パレート図を作成するための表を作っていきます。
棒グラフで表したい値(以下、大きさ:パレート図で示したい値)を用意します。
要因を大きい順に並べます。

①並び替えたい範囲を指定します。(項目を含む)
②メニューバーの「ホーム」→「並べ替え/フィルター」→「ユーザー設定の並べ替え」から「大きさ」の項目を選択します。

この後、グラフを作るには「累積値」を求める→「累積比率」を求める→「グラフ」作成となります。

累積値を求める
「累積比率」を求めるための「累積値」を出していきます。
累積

①「累積値」の1つ目は「大きさ」と同じです。
②2つ目からは「前の累積値」+「今の項目の大きさ」で求めていきます。
(一番下の項目(最後の項目)の累積値は大きさの合計値と同じになります。)

累積比率を求める
「累積比率」の折れ線グラフを作るための値を求めていきます。
累積比率

①一番上の項目の上の行を空けておきます。
②そこの累積比率の欄に「0」を入れておきます。(累積比率の最初の値)
(要因の箇所には何も記入する必要はありません。)
③「項目の累積」/「累積の最後の項目」*100 で累積比率にします。
(「累積の最後の項目」=「大きさ」の合計)

一番上に0を入れるのはパレート図にした際の折れ線グラフの開始の位置になり、パレート図の折れ線グラフを0位置から開始させたいためです。
その下の欄は累積数を全体の数で割って100をかけます。それで累積比率[%]を出します。

「最後の項目の累積」に「$」マークが付いていますが、コピー&ペーストの際に値が移動しないようにするマークです。
「F4」を押すことで対応部分にマークがつきます。

・棒グラフを作成(大きさ)

次にグラフを作成していきます。

以下はグラフ作成で使用するショートカットキーです。
ショートカットキー

①「Ctrl」を押しながら、「大きさ」・「累積比率」(0を含む)を選択します。
②「Alt」+「F1」を押します。
(別シートにグラフを出したい場合は「F11」のみを押す)ことでグラフが作成されます。

グラフの範囲はこのように指定します。累積比率は0を入れてください。
グラフ用範囲指定
もちろん、メニューから棒グラフを選んでも問題ありません。

・折れ線グラフを作成(累積比率)

次に累積比率を表す折れ線グラフに変更していきます。

累積比率のグラフ変更

①「累積比率」の棒グラフを選択し、右クリックの後、「グラフの種類の選択」→「マーカー付き折れ線グラフ」を選択します。
②「累積比率」が棒グラフから折れ線グラフに変更されます。

・折れ線グラフ用の軸追加

今は縦軸が大きさになっていると思います。
次は軸をもう一つ追加して、「累積比率」の縦軸を作成します。

累積比率のY軸追加

①グラフ上の「累積比率」の線である折れ線を選択
②メニューのグラフツールの「書式」を選択(図中の右側の赤枠)
③「選択対象の書式設定」を選択(図中の左側の赤枠)
④データ系列の書式設定内の「系列のオプション」の「第2軸(上/右側)」にチェックを入れる(図中の中央の赤枠)

これによりグラフ右側に「累積比率」用の縦軸ができたと思います。

・グラフの軸変更追加

「大きさ」と「比率」の軸のスケールを合わせます。(視覚的にすぐに判断できるように)

まず、棒グラフのスケールを合わせます。
①グラフの左側の縦軸(「大きさ」の縦軸)を選択します。
②右クリックで「軸の書式設定」を選択します。
③軸オプションの「最小値」を0、「最大値」を「大きさ」の合計値(累積の欄の最後の項目)にします。

軸の値設定

同様に次に折れ線グラフのスケールを合わせます。
①グラフの右側の縦軸(「累積比率」の縦軸)を選択します。
②右クリックで「軸の書式設定」を選択します。
③軸オプションの「最小値」を0、「最大値」を100(比率の最大は100%のため)にします。

・グラフの整形

・棒グラフの幅変更
幅を広くして折れ線のマークと棒グラフの右上の角を合わせる準備をします。

①棒グラフ(大きさ)を選択します。
②右クリックで「データ系列の書式設定」を選択します。
③系列オプションの要素の間隔を「なし」にします。
(棒グラフがくっついて見えにくい場合は「1〜5%」に変更、もしくは棒グラフに枠線を入れてください。)

棒グラフの幅変更

・折れ線のマークの位置を変更
軸の位置を変更して、折れ線のマークと棒グラフの右上の角を合わせます。

①折れ線グラフ(累積比率)を選択します。
②メニューのグラフツールの「グラフのデザイン」→「軸」→「第2横軸」を選択します。
③「選択対象の書式設定」を選択します。
④軸オプションの「目盛の種類」を「なし」、「補助目盛の種類」を「なし」、「軸ラベル」を「なし」にします。
(図の中央)
⑤軸位置の「目盛」にチェックします。

折れ線グラフ位置合わせ

・そのほか
折れ線のマーカーの上に値を追加や図のタイトル、軸の名前等をつけてグラフを整形してください。

一度作るのは手間がかかりますが、作成した後はグラフのコピーをして使いまわすことができます。
色々試してみてください。

パレート図の型を作っておけば、同じように使い回せる

以下の本はプレゼン等でグラフの表示の仕方として、使用したりしています。
表現方法として色々参考になります。

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試験回数を減らそう(実験計画法)

試験回数を減らそう(実験計画法)

品質の為の試験や目的の条件抽出のために幾つかの条件を組み合わせて割り出そうとします。通常の考えであれば、総当たり回数分を行えば(試験すれば)確実です。ですが、組み合わせの条件の種類が沢山ある場合や、条件内容が沢山ある場合は指数的に総当たり回数が増えます。(試験回数が増えます)それをできる限り抑えるやり方になります。

実験の回数を総当たりで行うのではなく、確率で表す事・確率で行うことで回数を減らす

総当たりとの違い

例えば、植物の種が発芽する条件で最もよいものを調べたいと思ったとします。とりあえず、条件の種類として、「土の種類」「水の量」。条件の内容として、「土の種類」では「赤土」「黒土」「通常の土」、「水の量」てば「100ml未満」「100ml以上500ml未満」「500ml以上」とした場合の総当たり回数と表(組み合わせパターン)は以下になります。

実験計画法総当たり1

総当たり回数(試験回数)は3×3=9回になります。

ここで条件の種類を1つ増やすことにします。条件の種類は「温度」で、条件の内容を「10℃未満」「10℃以上20℃未満」「20℃以上」とします。この場合の総当たり回数と表は以下になります。

実験計画法総当たり2

総当たり回数(試験回数)は3×3×3=27回になります。どんどん乗数で増えます。。。

ですが、実験計画法の考えであれば実験回数は総当たり回数分必要ありません。なにを言ってるの?って思うかもしれません。表で表すと以下になります。

実験計画法パターン

「あれ⁉︎やってないパターンがあるぞ!!」と思ったと思います。実験計画法では分散分析の手法を用いて関連する条件の内容(大きい要素)の割合を出しています。簡単に言うと、関連性を確立で求める手法です。そのため、結果を計算しないといけないです。。。事前にExcel等で作っておけば問題ないです。

メリット:
   試験回数が減る。条件の内容の関連割合が特定できる。
デメリット:
  最良の組み合わせが分かり難い、計算が必要
  (それぞれの条件の内容で強く関わりある項目が分かる)

 

実験計画法を使うことで2つのことが解析することができます。

1.試験回数の削減:題名にもしている内容になります。
2.データの解析:条件の内容がどの程度関わりがあるか確率でわかります。

 

実験計画法の考え方

実験計画法では、先ほど述べた条件の種類は「因子」、条件の内容は「水準」と呼びます。
総当たりで考えていくと因子A,B,Cと水準を1,2,3(A1,A2,A3)を計算式として以下のように書くことができると思います。
実験計画法考え方

こんな単純ではないのですが、簡単に説明します。

・考え方

上記の式の中でも下記のように書き直すと関連する部分(共通部分)があるのがわかると思います。
この関連性を利用して直接試験をしていなくても試験結果が共通部分に現れるので全数を試験しなくても試験として成り立つという方法です。本来は分散(ばらつき方)から考えます。
実験計画法考え方2

そのため、組み合わせ方が非常に重要になります。その組み合わせはラテン方格と呼ばれる表から導き出した、直交表を使用します。と呼ばれる組み合わせになります。直交表を使用することで、総当たりで回数しなくても(全パターンの組み合わせなくても)各因子の効果がそれぞれ評価できます。この組み合わせ方が重要になります。

・ラテン方格とは?

 簡単にラテン方格を説明すると、各列各行に1つずつ要素が入るようにした並べ方です。組み合わせをばらけさせるのに使います。
ラテン方角

このラテン方格を使用して分散の重み付けをしたものが直交表になります。
以下はこの場合に使用する直交表です。
直交表

考え方が難しい〜!って、私もそうです。
理論は難しい感じですけど、当てはまるパターンをそのまま行えば問題無いです。
詳しく知りたい方は以下の本が参考になります。
図解入門よくわかる最新実験計画法の基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)

次はその使用する直交表を示していきます。

重要なのは、何水準・何因子を行うかで使用する直行表を割り当てればいいだけです。

試験結果が共通部分に現れることを利用して試験回数を削減します。

直交表の種類

まず種類を示す前に表記の仕方です。
直交表の表し方として以下のように書きます。
直交表の表示
なんじゃこりゃ?ですが、これで2水準の因子が7個まで8回の試験で対応できる直交表という意味です。
 
直交表の表示2

直交表:2水準 3因子
2水準4因子

直交表:2水準 7因子
2水準7因子

直交表:2水準 15因子
2水準15因子

直交表:2水準 31因子
2水準31因子

直交表:3水準 4因子
3水準4因子

直交表:3水準 13因子
3水準13因子

使用する因子の数が少ない場合は、直交表の余りが出た因子は何も割り当てずにそのまま使用してください。
代表的なものを出しました。他にもたくさんありますし、導き出すことも可能です。
水準の組み合わせ(2水準と3水準の組み合わせなど)や多水準の直交表などもありますが、ここでは割愛します。
詳しくは文末にある参考資料を見てみてください。

結局、因子数・水準数が多くなると実験回数が多くなるので極力少なくするようにしましょう。

様々な種類がある
試験を行う因子・水準をできるだけ少なくする

Excelでの評価の仕方

直交表の種類は分かったと思います。具体的にどのように使っていくか説明します。

合格不合格の評価

ここでは合格の数値が分かっている状態で、組み合わせの網羅性を出していきます。

まず使用したい直交表を選択します。ここでは仮に8回試験の直交表(2水準7因子)を使用します。
先ほども説明したように因子の数が少なくても(この場合2水準であれば6因子でも)使用できます。
その場合は列(カラム)を無視してください。

・考え方(合格不合格)

考え方として、以下の連立方程式を解きます。
特性値(予測値、平均値)μと結果Sを比較して係数a〜gの変化を見ます。
特性値と結果が同じなら係数が0になります。異なると関わる係数に変化が出ます。
特性値

・Excelの使い方(合格不合格)

まず、必要直交表を出します。その直交表の最後の列にその実験特性値(予測値、平均値)μの列を追加します。
特性値にはOK/NGのような2極の場合は1,0で表してください。
特性値の追加

まず先ほどの連立方程式を解くための逆行列を作成します。
Excelでは「MINVERSE関数」を使います。
①逆行列を作りたいところ(表示したい場所)に直交表+特性値の範囲と同じ範囲を選択します。
②入力欄にMINVERSEを記入します。
③MINVERSEの範囲(逆行列にしたいもの:直交表+特性値)を選択します。
④配列としてExcelに認識させます。Excelでは「Shift+Ctrl+Enter」で単なる数値ではなく関連がある配列として認識します。
これで逆行列の表が完成します。
Excelでの逆行列

今度は行列積をして係数a〜gの変化を表示させます。
Excelでは「MMULT関数」を使います。
①先程と同様に行列積を作りたい(表示したい場所)に因子数+1(特性値)の範囲を選択します。
②入力欄にMMULTを記入します。
③MMULTの範囲(行列積したいもの:直交表+特性値の逆行列、結果)を選択します。
④配列としてExcelに認識させます。Excelでは「Shift+Ctrl+Enter」で単なる数値ではなく関連がある配列として認識します。
これで行列積の表(係数a〜gの値)が完成します。
Excelでの行列積

これらからどの因子が関連するか見ることができます。
 ・評価(係数)に変化がある因子が特性値に対して影響(変化)を持つと言えます。

もちろん、特性値と結果がまったく同じなら評価(係数)は0になります。
合格不合格などの評価の場合は、評価が0以外なら不合格ということになります。
不合格の要因としては、特性値(合格の値)が1の場合、評価のマイナスの因子が要因となります。
この場合、E,Gの因子がこの結果が特性値と異なる原因になると言えます。

Excelにより評価判断及び因子の関連性が判断できる
Excelで事前に計算式を作っておけば簡単に関連因子が割り出せる

最大または最小の組み合わせ推定の評価

ここでは数値が最大もしくは最小の組み合わせがどれか割り出す方法を説明します。
まず使用したい直交表を選択します。ここでは仮に4回試験の直交表(2水準3因子)を使用します。

・考え方(組み合わせ推定)

直交表を使用して評価値を出します。
その結果をそれぞれの要因の水準に割り当てます。
その要因と水準の割り当てられた結果の数で割りその値を比較します。

試験結果が複数の方が計測時の誤差が抑えられ精度は良くなります。
その時に試験の結果がDとすると真の計測値Sと誤差Nの関係は以下になります。
D = S+N

1回ならばこれでいいのですが、複数回やった場合は平均で表そうとすると誤差も平均で載ってきます。
試験の結果を3回(D1,D2,D3)行った際の試験の平均値Dとすると以下のように表せます。
D = (D1+D2+D3)/3 = ((S+N1)+(S+N2)+(S+N3))/3 = S+(N1+N2+N3)/3

誤差が真の計測値に近いと普通に平均だけでは、誤差(ばらつき)が真の計測値の差がわかりにくいです。
そこで分散の考え方です。
標本平均の分散の期待値を出します。
σ^2 = (D1^2+D2^2+D3^2)/3 = (計測1回目^2+計測2回目^2+計測3回目^2)/3回

この分散値自体は意味を成しませんが誤差が真の計測値より少しでも小さい場合、真の計測値が大きく反映されます。
「試験の結果が複数(n回)の場合」では、分散自体値が2乗しているので値の桁が大きくなり見にくいことがあるのでLOGを使用してスケールを小さくしています。
誤差(ばらつき)については、「ばらつきと工程能力」で説明しています。

・試験の結果が単一(1回)の場合

試験回数に対して結果が1つの場合を説明します。
実際にはノイズ(ばらつき)があるため、実験計画法により試験回数は減りますが試験結果は何回かやって複数出した方が正確になります。
あとで、結果が複数出した場合の説明しますがここでは結果が1回の説明をします。

今回の例では、試験結果が最大になる組み合わせ(因子と水準の組み合わせ)を求めていきます。
下記のように2水準3因子の直交表を使用し試験回数4回(4パターン)に対して結果を1回ずつ(計4個)とります。
パターンに対して単一の結果

この試験回数の並びのまま、各因子の試験順と試験結果を以下のように並び替えます。
表を見るとわかりますが、試験結果を因子の試験順に割り当てただけです。
パターンに対して単一の結果 並び替えを行い因子水準に割り当てる

そのあと、各因子の水準で合計の試験結果を出します。
また、各因子の水準が試験に出ててきた個数もカウントします。
直交表の試験組み合わせのため、各因子の水準の試験に出てきた個数は表により異なります。
パターンに対して単一の結果 直交表に出てきた水準因子をまとめる

平均をとり各因子の水準の値を推定します。
ここでは最大の組み合わせを求めたいので、最も大きな数値の各因子の水準が最大の組み合わせとなります。
(最小を出したい場合は各因子の水準が最小のものが最小の組み合わせとなります。)
パターンに対して単一の結果4 平均より割り出し

ここでの最大の組み合わせは「A1,B0,C0」または「A1,B0,C1」になります。
違う直交表を使用した場合でも同様に行うことが可能です。

・試験の結果が複数(n回)の場合

試験回数に対して結果を複数出した場合(複数回計測した場合)を説明します。
先ほども説明しましたが、実際には誤差があるため実験計画法により試験回数は減りますが試験結果は何回かやって複数出した方が正確になります。

下記のように3因子2水準の直交表を使用し試験回数4回(4パターン)に対して結果を3回ずつ(計12個)とります。
途中までは「試験の結果が単一(1回)の場合」と同じです。
パターンに対して複数の結果1

この試験回数の並びのまま、各因子の試験順と試験結果3個を分散して以下のように並び替えます。
先ほども説明しましたが、試験結果から標本平均の分散の期待値を出します。
 分散(σ^2)=(1回目の試験結果^2+ ・・・ +n回目の試験結果^2)/n

ここではLOGを使って対数にしています。
Excelを使うときは関数「LOG10」を使ってみてください。
並べ替えでは表を見るとわかりますが、分散した試験結果が因子ごとに繰り返ししているだけです。
パターンに対して複数の結果2 並び替えを行い因子水準に割り当てる

そのあと、各因子の水準で合計の分散を出します。
また、各因子の水準が試験に出ててきた個数もカウントします。
パターンに対して複数の結果3 直交表に出てきた水準因子をまとめる

平均をとり各因子の水準の値を推定します。
ここでは最大の組み合わせを求めたいので、最も大きな数値の各因子の水準が最大の組み合わせとなります。
(最小を出したい場合は各因子の水準が最小のものが最小の組み合わせとなります。)
パターンに対して複数の結果4 分散より割り出し

ここでの最大の組み合わせは「A1,B0,C1」になります。
同様に違う直交表を使用した場合でも同様に行うことが可能です。

Excelにより最大の組み合わせも簡単に推定できる

試験をする上で注意点

これに限った事では無いですが、試験での測定には注意が必要です。
条件の偏りによりデータがおかしくならない様にする為です。例えば、人が測定するような実験の場合には先入観や前データの値の記憶など論理的以外の要素も含まれる可能性があります。無作為な順番で行う事で、それらの要素を低減できます。

1.数回測定する

測定値のばらつきを抑える為に数回測定します。ただし、結果がばらつかない場合は省略できます。

2.要因以外の内容を一定にする

条件となる要因だけに限定させるために、外要因は常に一定にする必要があります。

3.無作為な順番で行う

試験に対する慣れや先入観等を排除するため無作為な順で行う必要があります。

試験回数を削減できるが、因子・水準以外の外部要素を極力なくす努力が必要

 

経済学の分野の実験計画法(コンジョイント分析)等

要因をアイテムと呼び、水準をカテゴリと呼びます。基本的に同じ考えで、どのような要素(アイテムの中のカテゴリ)が一番強いか割り出します。

考え方は説明した内容と同じなので割愛します。
今まで説明したのと同じように試験ではないですが、持っているデータを使用して判断をする方法になります。
今まではどちらかと言えば、実験回数を減らすのが目的でした。
コンジョイント分析ではExcelの説明にあったように因子(ここでいう要素)がどの程度関係があるかを見る目的で使用します。

経済学以外でも様々な分野で使用されています。名前は色々違いますが。。。
実験回数を減らすだけでなく、コンジョイント分析のように関係性を見るのに使用しているケースも多いです。

・要因、原因の分析(要素の関連性の確認)
・製品不具合確認のテスト

様々な分野で確率的に要素判断や結果判断に使用されています。

実験計画法は、要素の関連がわからない場合に行います。そのため、関連性が分かる内容では実験を行うためそれだけ手間になります。(確認という意味では良いと思いますが)私は、関連性がその分野の熟練者は「何となく知っている」部分があり、それを経験・カンなどと言われているものであったと思っています。様々なものに使用してみましょう。

詳しく知りたい方はこちらの本が参考になります。

一部追加 2017/03/30

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ものづくり用語

ばらつきと工程能力

ばらつきと工程能力

ものづくりと工程能力は切っても切れない縁です。聞いたことないかもしれませんが簡単に言いますと、工程能力とは、製品を作る上で製品の規格内に収まる確率を表した能力です。

ばらつきにも関係してきます。
その能力指数により、製品のロスの把握や検査頻度の決定などします。この考え方はものづくり以外でも確率を考える上で使用され応用もされています。それを説明していく前に製品を作る上での製品の規格の話をしたいと思います。

業務の決断におけるばらつき及び偏りは、「決断における意思のばらつき」と「決断における意思のバイアス」を見てください。

製品の規格とは

製品製造する上で規格があります。例えば、100cmの棒が製品だとします。製品全て100cmであれば問題ないのですが、作る上で99cmや101cmなどが出てきます。
製品ばらつき

ただし、製品として世の中に出せるものを例えば99cm〜101cmとすると、製品は100cm±1cmであれば世の中に出せます。この時の「±1cm」が規格となります。もし、98cmのものができて場合これは不良品となり製造ロスとなります。
この規格に対する(製品をいくつか測定した)ばらつきを確率的に求めることで、製品ロスの数を割り出したり、品質の保証につなげたりします。この時の確率から数を割り出すために正規分布を使用します。

製品の規格とは、製品を世の中に出せる合格範囲

正規分布とばらつき

正規分布とは?

平均値の付近にあつまるようなデータの分布を表した確率分布のことを正規分布と呼びます。
他の記事でも簡単に説明していますが、正規分布とは何ぞや?って人のために簡単に説明します。
正規分布とは平均・中心からの分布(ばらつき方)を表したものです。ばらつき具合は正規分布のグラフの形に収束するだろうという確率論や統計論の説明に使う分布です。
どんな現象でもというわけではないのですが、外乱がなければ実際にそのグラフの形に収束していだろうというものです。比較的多くの工程能力ではこの正規分布に沿った確率でばらつき方が分布されるであろうと決めて計算します。

標準偏差の図

この図は正規分布のグラフになり、正規分布はピークが1つの曲線で表すことができます。(グラフ中のX軸の0は中心の意味です)図の中には2つの曲線の傾きが異なった正規分布を載せました。このような正規分布に沿った形にばらつきがなると仮定して後に説明する工程能力は出されます。
ばらつき方の分布は分かったと思います。ばらつき方の基準の値となる標準偏差について説明します。

確率における分布の形状。自然界の分布は外乱がなければ、このグラフの形に収束するだろうというもの。

標準偏差とは?

正規分布の形に値が分布している場合、どの程度のばらつき(グラフで言うと傾き方)があるか説明しにくいです。そこで基準となるのが標準偏差というものです。標準偏差はσであわらされますが、グラフの傾き方が変わればこの値も変わり、±σの間の分布はグラフ全体から68.2%と分布率は固定になります。そのため、ばらつきの基準となる値としてよく使われます。

標準偏差と正規分布の関係

ばらついた値(先ほどの例では、99cm,101cm)がn個あったとしても足したり、引いたり、割っただけでは平均とかが出るだけでグラフの傾き位置が把握できません。どのように求めるのでしょうか?
そこで、中心値からどの程度離れているか判断するために中心値μからばらついた値を引きます。
(μ-99),(μ-100),…n個分

そのまま足しても中心値を求めるだけなので、(ばらつきの)拡がり方の重み付けをします。同じ値をかけます(2乗します)

(μ-99)^2,(μ-100)^2,…n個分

その値を全て足して(n-1)で割ります。これは拡がり方の重み付けを平均した値になります。

((μ-99)^2+(μ-100)^2+ ・・・ n個分)/(n-1)

これを拡がり方として分散:σ^2と呼びます。でもグラフの単位と一致しないのでグラフに載せれません。グラフのx軸の単位にするために平方根します。

σ=√(σ^2)

これを標準偏差といいます。これが、ばらつきかたの目安になる値になります。
次はこの値を使用して、どれぐらいの数が規格内に収まるか、収まらないか見ていきます。

標準偏差とは、グラフの傾き方の指標となる位置

 
考え方は統計解析になります。詳しく知りたい方はこの参考文献を見てみてください。
工程能力指数―実践方法とその理論 (JSQC選書)
 

工程能力指数 CP値、CPK値

工程能力指数 CP値

ばらつき方の値(標準偏差)では、感覚的にどの程度なのかわからないと思います。これを規格に収まる確率や数にした場合と考えて、目安となる値と比べる必要があります。その比較対象の値が「CP値」になります。

Usl:規格上限値
Lsl:規格下限値
σ:標準偏差

CP値の計算

計算はこのように表しますが、意味としては「Cp=1で中心値μ±3σが規格の幅と同じ」です。±3σと同じ規格の幅とは10000個中27個の不良(規格外)が発生する確率を持ちます。

片側規格とは?

先ほどの両側規格と違い中心から上限側もしくは下限側だけを考慮した指標になります。そのため計算も半分の3σでおこないます。

Usl:規格上限値
Lsl:規格下限値
μ:平均値
σ:標準偏差

上限片側規格

CP値(片側規格:上限)

下限片側規格

CP値(片側規格:下限)

CP値の考え方は平均が規格の中心と同じ考え、もしくは中心を考えない場合の値です。中心値が規格中心と会っていない場合やはり不良は発生します。そこで中心を後ほど話します「CPK値」は中心のズレも考慮に入れた確率や数になります。(CP値との違いは中心の位置の違いです)

「CP値」は目安となる値と比べる数値

工程能力指数 CPK値

考え方は同じで、中心のズレを考慮した値になります。そのため、片側規格で出した値の小さい方がCPK値になります。
CPK値

各企業や製品に対してCP値、CPK値を設定された値よりも大きいかで製品の品質を測ったり、品質検査の内容を決めたり、製品のロスを判断します。

「CPK値」は中心のズレも考慮

考え方として、以下にまとめました。

・CP値、CPK値 大きい→不良率が小さい。製造上の不良(規格外)になりにくい。
・CP値、CPK値 小さい→不良率が大きい。製造上の不良(規格外)になりやすい。
・CP値、CPK値>設定値:ばらつきが大きい、規格中心と平均値があっていない。設定値が厳しすぎる。
・CP値>設定値,CPK値<設定値:ばらつきが大きい、設定値が厳しすぎる。
・CP値<設定値,CPK値>設定値:規格中心と平均値があっていない。設定値が厳しすぎる。

設定値で不良率がどの程度か判断できます。次はCP値、CPK値の設定となる設定値について説明していきたいと思います。

CP値は規格範囲に対してどの程度かわかる値。CPK値は規格範囲と規格中心に対してどの程度かわかる値

 

シックスシグマとPPM

CP値、CPK値の設定となる設定値の話の前にシックスシグマ(6σ)とかPPMの不良に関する言葉について簡単に説明します。
製造業界ではよくシックスシグマ(6σ)とかPPMってつかわれます。

PPMとは?

ピース・パー・ミリオン
パーツ・パー・ミリオン(百万分の1つ)と呼んで不良率で多く使われます。例えば、不良率3PPMでは不良の発生率が3/1000000のことを指します。製造業界では、よくこれを使い不良率等をよく表したりします。

パーツ・パー・ミリオン(百万分の1つ)。パーセントよりも小さい値で多く使われる

シックスシグマ(6σ)とは?

製造業界ではシックスシグマをスローガンに不良率を下げて良品をつくる目標としていました。そのスローガンでは「100万個中3.4個(3.4PPM)の不良まで許容」しています。実際には6σは統計学的に「10億個中の2個」となり、さきほどのスローガンよりもかなり確率が低くなっています。シックスシグマの考え方として、「100万個中3.4個(3.4PPM)の不良まで許容」=4.5σに規格中心と平均値のズレ等などのブレを1.5σ考慮した6σとしています。

4.5σに規格中心と平均値のズレ等などのブレを1.5σ考慮した数値

CP値、CPK値の設定値

CP値の基準は±3σと言いました。(中心値μ±3σが規格の幅と同じでCp=1)
このPPMの考え方と比較して表にしてみました。ただし、CP値(片側規格)の考え上の不良率になります。CP値(両側規格)の場合、不良率は2倍になります。

規格幅 CP値
(片側規格)
不良率
(規格外率)
不良率[PPM]
1 1.4/1000 1350
1.33 3.2/100000 32
4.5σ 1.5 3.4/1000000 3.4
1.67 2.8/10000000 0.28
2 2/1000000000 0.002

シックスシグマのところで話したように、4.5σが3.4PPMの値になります。そのため製造業界での設定値は比較的に4σのCP値1.33(32PPM)や5σのCP値1.67(0.28PPM)を使用しています。

CP値、CPK値の設定値により不良率の基準が割り出せる

 

Excelでの使い方

「計算がむずかしいから使えないよ」って思う人もいるのではないでしょうか?ですが、Excelで関数を使用すれば簡単に求める事ができます。やり方を説明していきます。

例として、「100cmの棒」の製品をつくって10個を計測したとします。10個の計測結果はC列の2〜11行目に記しました。この時の工程能力CP値とCPK値を求めていきます。D行がC行の計算内容になります。

Excelで工程能力の求め方

まず、平均値を求めます。平均値μはExcelの[AVERAGE関数]を使います。(C列12行目)この使い方はみなさんわかっていると思いますが、範囲は10個の計測した値になります。

標準偏差を求めます。標準偏差σはExcelの[STDEV関数]になります。先ほど「正規分布とばらつき」で説明した内容の計算をしてくれる関数になります。(C列13行目)これもAVERAGE同様に範囲は10個の計測した値になります。

工程能力のCP値を求めていきます。先ほど「工程能力指数 CP値」で説明したように規格幅「規格上限−規格下限」を6σで割った値になります。(C列14行目)

工程能力のCPK値を求めていきます。先ほど「工程能力指数 CPK値」で説明したように片側規格と考えて「規格上限−平均」を3σで割ったものと、「平均−規格下限」を3σで割った小さい方がCPKの値となります。(C列15行目)

順番を簡単にまとめると以下の順に求めていきます。

  1. 平均値「μ」
  2. 標準偏差「σ」
  3. 工程能力「CP値」
  4. 工程能力「CPK値」


 

管理分野における工程能力

同様に管理においても工夫次第で使用できます。
例えば、
・生産数量
・工程内の標準作業
・部下の仕事量(残業量)
など

ただし、ばらつきが正規分布になると思われる事でのみ管理できます。
逆にいうなら、正規分布になると思われる内容であれば精度よく使用できます。

工程能力はさまざまな分野でつかえる統計学的手法

 

教育上の学力偏差値との関係

よく偏差値って聞きますよね?偏差値自体はわかりにくいですが、正規分布の考え方から「どの程度のグループ」にいるのかが簡単に推測して言えます。
偏差値とは先ほどまでの考え方と同じで、全体の中でどの位置にあるか表した値です。
先ほども言ったように正規分布(分布のピークが1つ)の場合、推測できます。

学力上の偏差値は以下のように計算されます。

偏差値 = ( (得点 − 平均点) / 標準偏差 ) × 10 + 50

標準偏差が10、平均値が50として計算をしています。

簡単に偏差値の一覧表を作りました。

 

偏差値 順位
90 0.000032*全体数
80 0.001350*全体数
70 0.022750*全体数
60 0.158660*全体数
55 0.308538*全体数
50 0.500000*全体数
45 0.691462*全体数
40 0.841134*全体数
30 0.977250*全体数
20 0.99865*全体数
10 0.999968*全体数

以下の書籍が参考になります。
詳しく知りたい方は参考にしてください。

レイアウト修正 2017/03/22

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ものづくり用語

イノベーター理論とキャズム理論

イノベーター理論とキャズム理論

ものづくりにおいてイノベーション(爆発的普及、またはその製品)とは、重要な言葉であり目標です。
実際にものづくりにおいて、イノベーションを起こすことができればものづくりの成功者と言えるのではないでしょうか?

今回はイノベーションを起こす上で指標となるべき理論を説明します。
1つは、イノベーター理論
もう1つは、キャズム理論です。

理論という言葉は、難しそうであまり好きではないのですが簡単に説明したいと思います。

イノベーター理論

まずは、イノベーター理論です。そもそも、イノベーター理論とは?

正規分布に沿って製品購入の際の対応で分類分けしたものです。
正規分布とは何ぞや?って人のために簡単に説明します。正規分布とは平均・中心からの分布(ばらつき方)を表したものです。ばらつき具合は正規分布のグラフの形に収束するだろうという確率論や統計論の説明に使う分布です。外乱がなければ実際にそのグラフの形に収束していくので驚きです。まあ、全てではないと思いますが、、、(グラフのX軸中心が平均になります)

さてこの場合はどのように使うかと言いますと、製品が世の中に出てから購入するまでの時間で分類分けします。みんなある製品を購入したと考えて購入までの時間の分布を表します。本来このように分布するのかは学者の人たちに任せて、この理論での分け方をみてみます。

・(なんでも購入する人)イノベーター

 (全体の2.5%)
新製品が出るとなんでもすぐに買ってしまう人

・(初期購入者)アーリーアダプタ

 (全体の13.5%)
製品を調べ自らの価値観で製品の購入をする人。比較的社会の価値観と合っていて、製品購入の先導となり得る人たち。ピニオンリーダーとも呼ばれている。

・(追従購入者)アーリーマジョリティ

 (全体の34.0%)
新しいものには比較的慎重に考える人たち。でもアーリーアダプタの影響を受けて購入する人。

・(続追従購入者)レイトマジョリティ

 (全体の34.0%)
新しいものにはあまり関心がない人たち。大多数が購入しているから同じものを使ってみようという感覚で購入する人。

・(伝統化しないと買わない人)ラガード

 (全体の16%)
特に保守的な考えの人たち。新しいものには手を出さない人であり、長年続き製品として熟成して購入する。全くもって購入の意思のない人も含まれる。

image_innov1

このように分けることができます。ここで、なんでこんな分け方になるの?と思った人もいるので簡単に説明します。この理論には標準正規分布を使用しています。そうするとばらつき方が決まっている(標準偏差という単位はσ)のでどの程度ばらついているか・どの位置にいるか指標としてみれます。標準偏差の考え方では以下になります。(多分先ほど説明したパーセントの方がわかりやすいと思います。こんなのもあるんだな〜程度でお願いします。)

・イノベーター :(-2σ以下)
・アーリーアダプタ :(-2σ〜-1σ)
・アーリーマジョリティ:(-1σ〜0)
・レイトマジョリティ :(0〜1σ)
・ラガード : (1σ以上)

新製品が出るとこの順で市場に製品が知れ渡ります。大多数が製品を知り購入すれば「普及した」と言えます。
特に「(初期購入者)アーリーアダプタ」に受け入れられる(初期購入者の大多数に知れ渡る)ことができれば、大多数に知れ渡り「普及する」と言われています。
わかりやすく言うとある集団の中で16%以上に受け入れられれば、大多数に普及するということです。

この考え方(正規分布)にもある通り、イノベーションを起こす製品の場合で購入までの平均時間が少ない(レイトマジョリティに移るまでの時間が短い)場合は爆発的に普及してその製品は飽和してしまうとも考えられます。

イノベーター理論は製品普及の指標に使用できる。
16%以上に受け入れられれば、大多数に普及すると言われている

多くの企業がこの考え方を取り入れ、マネジメントとして利用しているのも事実ですが、簡単に16%以上であれば全体に普及するかというとそうではないよという理論が次に説明する「キャズム理論」です。

キャズム理論

キャズム理論とは?

キャズムとは「裂け目」らしいです。始めは提唱者の名前から来てたと思ってました。(キャズムさんの理論かと思っていました。)
と、いうことは「裂け目理論」だったんですね。

なにが裂け目かと言いますと、先ほど説明したイノベーター理論のアーリーアダプタとアーリーマジョリティの間(全体の16%を超える)に溝がある(容易に通過できない)という考え方です。通過できない場合は

要因としての考えは
アーリーアダプタは自己の興味・価値観を優先して製品購入、アーリーマジョリティは多数が使用している利便性で製品を購入するという意思が違うためであると言えます。

そのために、アーリーアダプタとアーリーマジョリティの人たちに対してのマネージメントアプローチを変える必要があるとも言えます。まず、アーリーアダプタに対しては真新しさ、社会が求めている高価値を提供します。アーリーマジョリティの場合は、普及していることのアピールと製品の安心・安定感を伝えていく必要があります。

ここからは勝手な考えなのですが、予測と実際の正規分布の形が同じだとします。もし現在販売している製品の購入され方の状態がアーリーアダプタとアーリーマジョリティの中間の位置(予測の-1σ位置)だと予想してたとします。でももし実際は正規分布の頂点の位置だとすると当初考えていた購入者数の平均値(中心の高さ)がかなり違ってきます。当たり前ですが、購入者総数でも同様にかなり違ってきます。

実際に現状の状態を正確に把握するのは至難の技だと思います。それがキャズム理論に繋がっているのかな?っと思ってます。
yosou

パラダイムシフトの考え方の「イノベーター」はこちらの記事になります。
 

爆発的製品の普及には、容易に通過できないポイント(普及率16%の壁)がある。
普及するためにはアプローチを変えていく必要もある。

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デジタルファブリケーション「新しい装置」

デジタルファブリケーション「新しい装置」

デジタルファブリケーションとは

材料を投入すれば、自動でデジタルデータの設計図を実際に形にする装置です。人の手を借りず、デジタルデータを再現します。たくさんの熟練者が必要とされていた作業を一括で行ってくれ、作成時間・品質も一定で管理できるようになります。

デジタルファブリケーションの利点
1.複雑さは無視できる
2.設計変更等に迅速に対応可能
3.生産の仕方に柔軟に対応できる
4.生産個数に対して金額があまり変化しない

下はデジタルファブリケーションの1つの3Dプリンタの例です。

3dprint

現在では成形にとどまっています。ですが色々な材料を複合的に合成できるようになれば、みじかにある製品のほとんどが作成できるようになるのではないでしょうか。また現在のプリンタのように各個人が持って、製品データの市場が広がっていくと思われます。多種な部材や型を必要としない今後の生産方法の拡がりを持っている装置です。

デジタルファブリケーションとは生産工場を小型化したようなもの

減算的製造装置

減算的製造装置とは、旋盤などのように材料自体を加工して形づくります。加算的製造装置よりも比較的前から生産工程に使用されています。
例:レーザーカッター

一例の製品を上げていきます。

・組み立て式レーザー加工機 FABOOL Laser Mini
smartDIYs製の組み立て式レーザーカッター。個人向けで本体価格は6万円程度。

材料自体を切る・削る(加工して形づくる)

加算的製造装置

加算的製造装置とは、材料から生成して形づくります。それは、鋳造や金型による樹脂成形のように材料そのものを形に合わせて変化させるものです。
いま飛躍的進歩を遂げているのはこちらの加算的製造装置になります。これらの技術を使用して、簡単な樹脂成形から人が住む家まで作成しています。
例:3Dプリンタ

現在ではもっと色々な3Dプリンタが出てきていますが、とりあえず一例の製品を上げていきます。

・高速高精度3Dプリンタ carbon 3D
光硬化性樹脂の弱点である酸素で硬化しない特性と光を生かして、樹脂槽から製品を出現させる。
2D技術からの通常の3Dプリンタより100倍早く作成でき、継ぎ目がないため射出成型と同様の強度を出現できる。

・低価格3Dプリンタ ダヴィンチ Jr.
XYZプリティング製の個人向け低価格3Dプリンタ。本体価格は5万円前後。

・金属用低価格3Dプリンタ 3D printer S1
Aurora Labs製の金属粉末を使用した低価格3Dプリンタ。レーザー焼結法により粉末状からレーザーで焼き固める製法で、データから一体成形できます.
本体価格は50万円前後。

・建築用3Dプリンタ Delta WASP
WASP製の建築用3Dプリンタ。直径約6mの巨大な金属製フレームがノズルを支えて、材料として粘土や泥を使用し積み重ねてつくる。

材料を抽出・生成(変化して形づくる)

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イノベーション「発明と市場の新らしい結合」

イノベーション「発明と市場の新らしい結合」

イノベーション「発明と市場の新らしい結合」について説明します。

イノベーション

 
技術そのものはイノベーションでもなんでもなく、既存技術でもそれを使用して製品が爆発的に売れ始めて始めてイノベーションと呼べます。

イノベーションとは
「発明と市場の新結合」(爆発的に普及した新製品)

 

破壊的イノベーション

 

破壊的イノベーションとは
「従来のものが破壊的技術に駆逐される現象」(爆発的に普及した新製品が既存製品を駆逐する現象)

イノベーションがおき従来の製品が駆逐され、従来の製品と置き換わってしまう現象です。
現象自体はパラダイムシフトと呼ばれます。

特に破壊的イノベーションがおきやすいとされているのが
従来製品よりも

 ・安い
 ・小さい
 ・使いやすい

ことだとされています。

例:(音楽)レコード時代に出てきたカセットテープ、カセットテープ時代に出てきたCD
(電話)ガラケー時代に出てきたスマートフォン
どうなったらイノベーションが起こる状態になるかはイノベーター理論とキャズム理論で説明したいと思います。