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開発の流れ

開発の流れ〜システムの開発プロセスと工程の流れ〜

開発の流れ〜システムの開発プロセスと工程の流れ〜

製品開発等をする上で、どのような流れ(フェーズ)に沿っていくか一般的な例で説明していきたいと思います。
開発行為はとてもリソースが必要になります。詳しくは開発設計する前にをみてください。
これから説明する内容はソフトウエア面、ハードウエア面の両方で使える開発プロセスです。

まず、なぜ開発行為に流れがあるのかと言いますと「効率化を図る」ためです。リソースをできる限り抑えながら最良のものを作成するに越した事はありません。これから説明していくのはその一般的な例になります。実際にそのように開発を進めなくても簡単にできてしまう内容や、開発の規模や開発品目によってはもっと良い方法もあると思います。それは各々の開発の中で見極めていってください。

開発概要

個人レベルで開発する内容や小規模・短期間の開発では段階を踏んで開発プロセスを進む必要はありません。
先ほども言いましたように、リソースをできる限り抑えつつ方向性を間違わないやり方として開発プロセスがあります。

開発の方法としても、開発当初から開発完了まで全く問題がなければ開発プロセスなども色々なものが出てきません。
この限りではありませんが、開発していく中で以下のような部分が出てきてしまうため、設計自体を検討する機会が必要になります。

・形にしてみないとわからない部分
・テスト・評価してみないとわからない部分
・実際に使用してみないとわからない部分
・評価した後に原理的に実現できない部分
・顧客の要望が変化した部分

開発プロセスの前に

PDCAサイクル

PDCAサイクルはより良くしていくことでは非常に重要になる内容です。
PDCAループ PDCA Plan:計画を組み、Do:実行をする、Check:評価をしてAct/Action:フィードバックを行う

管理業務を円滑に進める手法の一つですが、個人レベルの進め方でも使えます。
以下の1から4を繰り返し行い改善・改良をしてスパイラルアップしていくサイクルです。

これらをすることで、やってきた内容を次にフィードバックすることができるため改善・改良に非常に役に立ちます。
回数を重ねることでより良くなっていきます。

1.Plan(計画・設計)
2.Do(実施・実行)
3.Check(点検・評価)
4.Act/Action(処置・改善)

開発の流れを説明していきますが、ループになっている部分は全てPDCAサイクルになっていると言っても過言ではありません。
開発においてこのサイクルはどの点においても使用でき効果を発揮します。
きちんと計画を立てて、実行し、見直しをして、改善をしていきましょう。

PDCAサイクルは開発だけでなく、より良くしていくためには非常に重要なサイクル

DR(デザインレビュー)

何回か言っていますが、開発行為はとてもリソース(人、モノ、金、時間)を非常に使います。間違った方向に突き進んでしまうととても疲弊してしまいます。そのために、一度立ち止まって方向が合っているか確認する必要があります。それをDR(デザインレビュー)と呼びます。
集団的知性を働かせて個人や特定グループでは見つけられなかった点を見つけていきます。

開発の振返りのしにくいウォータフォールモデル開発では、多用されます。
ですが、アジャイル型開発でも全体把握する時や開発メンバー以外を集めて開発方向の検討をすることもあります。
確認する上では、重要なポイントとなるのでなるべく機会を持ちましょう。

・DR(デザインレビュー)とは
各開発のポイント(開発プロセスの次の工程にいく前)で基準を満たしているか、方向性が間違っていないかを企画、開発、設計、製造、品質、購買が一堂に集まって次のステップに進んで良いか決めることです。

開催のタイミングは各開発の区切り(次のステップ前)がほとんどですが、重要度に応じて開催を飛ばしたりしているところもあります。

・DRで決定する内容
そのプロセスで行ってきた内容はポイントでの基準をみたしているか?
残課題は極力潰しているか?
方向性、目的が間違っていないか?

特に残課題は後回しにすると次のプロセスで修正する労力は倍になります。
極力、自工程完結で進めていきましょう。

・DRを進める上でのポイント
DRを進めるポイントと言いましたが、どんな会議でもポイントは同じです。
会議というのはとても会社として費用がかかります。(人数分の工数が会議時間分、必要なため)

どんな会議でも7人以上になると、1人増える毎に会議の決定率10%低下するという論文もあります。
決定率も下がりますが、参加者の責任感も落ちます。
発言しない者がいるということは異常です。
何かしらの考えを話してその中での最善策・妥協点を見出して行かないといけません。

また、複数の部署のスペシャリストを集めます。
開発を進めていく上で問題がないか、前と変化した点で参加部署の関係項目に問題がないかを再確認します。

・決定者、責任者を決めて会議中に即判定を下す。
・事前に内容を理解する、事前に問題点を挙げておく。
・なるべく10人以上集まらない(事前資料で問題点を挙げておく)する必要があります。
・複数部署を集めて行う

・資料の上でのポイント
資料が多くなりがちですが、必要最低限の資料づくりを心がける必要があります。
多すぎても理解できないし、情報を正確に伝えることが資料の目的です。
また、次に進んで良いか判断する場所ですので嘘の資料で固めてしまうと会社に大損害を与える可能性があります。
その辺を注意して資料を作り、発表してください。

・資料内容に嘘をつかない
・発言者が考える懸念点、問題点の提示

問題点発言・提案でのポイント
揚げ足をとるような発言をしたりする人(人は欠点を見てとるのが得意)が必然的に多くなりがちですが、なるべく短時間で建設的な話し合いをするように第一声は肯定的なことを心がけましょう。
詳しくはDESC話法をお読みください。

DRは重要なポイントです。
開催自体の必要性を出席者一人一人がしっかり持って望まないと、決定方向と会社の進むべき道が違ってきます。

DR(デザインレビュー)は一度立ち止まって本当に必要な開発か見直すポイント

こちらも開発プロセスを詳しく書いてあります。
よかったら参考にしてみてください。
本当に使える開発プロセス

開発の手法

開発の手法として3種類の開発プロセスを説明します。
一概にこれがいいとは言えず、それぞれ特徴があります。

最近はテストプロセスをとても重視し、手直しを極力避ける方向にあります。
そのため、ウォーターフォールモデルよりもアジャイル型が良いとされてきました。
ですが、ウォーターフォールモデルにテストプロセスを取り入れたV、W字モデル開発も頻繁に行われてきています。

・ウォーターフォールモデル開発(V字モデル開発)(W字モデル開発)

「要求定義」「概要設計」「詳細設計」「開発」「テスト・評価」などの作業工程にトップダウンで分割します。
特定の顧客がいない場合や顧客のやりとりは最初のみの場合がほとんどです。
ウォーターフォールモデル「要求定義」「概要設計」「詳細設計」「開発」「テスト・評価」などの作業工程にトップダウンで分割します。 特定の顧客がいない場合や顧客のやりとりは最初のみの場合がほとんどです。

段階を踏んでの開発の流れは管理上とてもやりやすいので、昔から使われてきた開発の流れになります。
リソースや期間も仕様変更がなければ、概算で予想がつきます。

・V字モデル開発
V字モデル開発、W字モデル開発はウォーターフォールモデル開発の変化形になります。
これらは開発プロセスですが、厳密に言いますとテストプロセスを組み込んで出戻りを少なくしようとするものです。
それを説明していきます。

「要求定義」「概要設計」「詳細設計」「実装」「テスト・評価」との流れでした。
ここでの「テスト・評価」をより具体的に上位工程の対になるような「テスト・評価」を行っていくことです。
流れとして小さなテストから大枠に移るように「テスト・評価」を行なっていく形が、開発プロセスの逆行しているように見えるためVモデルまたはV字モデルと呼ばれます。

ここでの開発の流れとしては
「要求定義」→「概要設計」→「詳細設計」→「実装」→「単体テスト」→「統合テスト」→「システムテスト」→「受入れテスト」
のような形になります。(項目は開発により変化します)
Vモデル開発 流れとして小さなテストから大枠に移るように「テスト・評価」を行なっていく形が、開発プロセスの逆行しているように見える、VモデルまたはV字モデルと呼ばれます。

これが範囲の大小で並び替えると以下のようにV字型になります。
また、それぞれの実装までの検討内容の動作確認を各テストプロセスで行うため、ほぼ対になります。
Vモデル2 項目の影響範囲を大小で分けると、テストプロセる部分では徐々に大きい範囲に向かいVの形になる

・W字モデル開発
先ほども言いましたが、W字モデル開発はウォーターフォールモデル開発の変化形になります。
V型と違い更にテストプロセスが細かく分かれています。

理由としてはV字モデルでは実装及び実装以前の検討内容に誤りがあった場合でも、実質の確認はかなり後になってしまうため出戻りがとても大変になります。
工数もとてもかかってしまうため事前にそれらを潰していこうとする考え方で行う開発・テストプロセスです。

先ほどまでのV字モデル開発の流れの例としては
「要求定義」→「概要設計」→「詳細設計」→「実装」→「単体テスト」→「統合テスト」→「システムテスト」→「受入れテスト」
でした。

W字モデル開発の流れの例としては
「要求定義」⇆「要求テスト」→「概要設計」⇆「設計テスト」→「詳細設計」⇆「詳細テスト」→「単体実装」⇆「単体テスト」→「統合実装」⇆「統合テスト」→「システム統合」⇆「システムテスト」→「導入」⇆「受入れテスト」
のような形で検討内容及び実装の範囲でテストを入れる形になります。(項目は開発により変化します)

W字モデル開発の流れとしては 「要求定義」⇆「要求テスト」→「概要設計」⇆「設計テスト」→「詳細設計」⇆「詳細テスト」→「単体実装」⇆「単体テスト」→「統合実装」⇆「統合テスト」→「システム統合」⇆「システムテスト」→「導入」⇆「受入れテスト」

繰り返しになっている部分はPDCAサイクルで回ってフィードバックをします。
それにより精度を高めていきます。

V字モデルと同様に範囲の大小で並び替えると以下のようにW字型になります。
また、それぞれの実装までの検討内容の動作確認を各テストプロセスで行うため、ほぼ対になります。
V字モデルと同様に範囲の大小で並び替えると以下のようにW字型になります。 また、それぞれの実装までの検討内容の動作確認を各テストプロセスで行うため、ほぼ対になります。

メリット

・工程の終了がはっきりするため、成果物が管理しやすい
・管理面から言うと管理しやすいモデル
・顧客要求と開発機能が初期段階で明確になる
・当初の要求仕様通りに製品が出来上がる
・工程ごとに専門家が分かれているため、工程内の品質に差が出にくい

デメリット

・各上位の工程で間違いがない事が大前提
・各上位の工程で間違いがあると問題が徐々に大きくなる
・リソースを多く必要になりがち
・顧客要求が変更になった際に対応しにくい 
・開発完了まで製品がリリースできない

製品が設計図から一気に具現化する形

・スパイラルモデル開発

トップダウン設計とボトムアップ設計の長所を生かした開発工程のモデルです。
設計とプロトタイピングを繰り返して開発していく手法です。
ただしアジャイル型と違い全体機能を網羅しつつ現在の全体でPDCAを回して開発していきます。
顧客とのやりとりは概要から徐々に明確になるように密接に行うことが多いです。
1回のループ期間は6ヶ月から2年程度であることが比較的多いです。

ここでのスパイラルモデル開発の流れの例としては
「要素設計」→「試作設計」→「量産試作設計」→「量産設計」
のような形になります。それぞれの中でサイクルを回していきます。(項目は開発により変化します)
トップダウン設計とボトムアップ設計の長所を生かした開発工程のモデルです。 設計とプロトタイピングを繰り返して開発していく手法です。

メリット

・プログラムの規模やスケジュールなどの予測がしやすい。
・顧客の要求仕様の変更などに対応しやすい。
・設計工程が伸びて実装に費やせる期間が短くなるということが起きにくい。
・アジャイルモデルよりも比較的大きな規模では管理しやすい。

デメリット

・機能に対する品質が曖昧になりがち 
・開発完了まで製品がリリースできない

製品がぼやけていたものから徐々に具現化する形

・アジャイル型開発

迅速に適応するようにソフトウェア開発を行う開発手法群の総称です。
ですが、ソフトウエアだけでなくハードウエアでもかなり有効です。
イテレーションと呼ばれる短い期間で細かな機能・部位に分けてPDCA(設計→試験→調査→改善)を回すことで、リスクを最小化しようとします。
1つの反復の期間は、1週間から1ヶ月くらいであることが比較的多いです。

ここでのアジャイル型開発の流れの例としては
「機能/部位」→「機能/部位」→「機能/部位」→「機能/部位」
のような形になります。それぞれの中でサイクルを回していきます。(項目は開発により変化します)
その中で顧客とのやりとりは、機能・部位ごとにかなり密接に行うことが多いです。
組合せを行う際はリグレッションテスト(回帰テスト:使えていた機能が使えなくなるバグを確認)をしなければなりません。

以下は複数同時に並列に行いながらアジャイル型開発の流れになります。
単体の場合はこの図の1つのラインになります。

イテレーションと呼ばれる短い期間で細かな機能・部位に分けてPDCA(設計→試験→調査→改善)を回すことで、リスクを最小化しようとします。  1つの反復の期間は、1週間から1ヶ月くらいであることが比較的多いです

メリット

・不具合等の出戻り工数が減らせる
・製品の機能に対する品質が保てる
・顧客の要望か通り製品になりやすい
・仕様変更から修正までが対応が早い
・納期に合わせて機能を制限しつつリリースできる

デメリット

・進捗がわかりにくく全体管理がしにくい
・個々で仕様変更時の対応力が求められる
・顧客も含めて製品に最大限にしようとする意識が求められる
・コミュニケーションを密に取らないと対応ができない
・試験(テスト)方法がいい加減だと、品質が保てない
・組み合わせのたびにリグレッションテストをしないといけない
・当初の要求仕様と異なることが多い
・大きな規模になると機能ごとにチームが分かれる。
 そのため、工程単位の専門家が分散するため、各工程の品質に差ができやすい。

製品が徐々に機能追加・部位追加していく形

開発の手法でどれを使えばいいの?

下記に説明する限りではありません。
所詮開発プロセスなので自社の強み、優先事項等を考慮すると、ここに記載した内容と全く異なることもあります。

・顧客の要求からの機能を制限できる場合
(納期・コスト優先、ただし導入した機能に対しての品質を求められる場合)
 →アジャイル型開発

・顧客の要求から納期・コストを制限できる場合
(導入機能優先、納期とコストは当初の見積もりと差が出やすい)
 →スパイラルモデル開発

・自社開発で自社の技術を高めたい、新製品を出したい場合
(リソースが多い、開発規模が大きい場合、管理をしっかりしたい場合、特定の顧客がない場合)
 →ウォーターフォールモデル開発(V字、W字モデル含む)

開発プロセスは所詮開発の流れの一例になります。
それぞれに特徴があるため、それに合わせた開発方法や自社の開発方法の強みを最大限活かせるように開発プロセスも踏んでいきましょう。

開発プロセスは所詮開発の流れの一例。自社の強みの開発方法を見つけていくのが一番良い

こちらも開発プロセスの参考になります。

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危険を回避せよ!リスクアセスメント

危険を回避せよ!リスクアセスメント

リスクアセスメントとは、作った製品・設備の危険性が隠れていないかをロジカルシンキングとして捉えるやり方になります。
そのためここでのリスクとは製品戦略や製品品質的なリスクでは無く、単純に「安全性」としてのリスクとして話していきます。

リスクアセスメント注意ラベル

1.なぜ安全を考える必要性があるのか?

1.製品に対しての安全性は製造者責任が問われるようになってきた。
 →責任を問われる事態になっても、製品設計においてリスクを考慮した設計ができているということが言える

2.CSR(企業の社会的責任)が問われる時代になってきた。
 →国際標準ISOとしても安全性が確保された上での製造競争をすることが定められている

3.損害額が大きい
 →刑事事件にならなくても民事訴訟となり得る。その場合の賠償責任で数千万〜億円規模にまで膨れ上がる

4.海外で販売できない
CE,CCCなど海外認証でもリスクアセスメントを行ったかどうかが問われています。

製造者責任が厳しく問われる時代になってきた

2.なぜ日本で騒がれているのか?

まだまだ、日本はリスク回避の後進国だからです!!

どういう意味かというと、安全設計の考え方は2通りあります。

危険察知型
 危険になったら信号を送り制御や表示をする
  →センサ故障などの際には危険を検知しないため動作してしまう。

安全確認型
 安全が確保されている場合のみ信号を送り制御する。
  センサ故障などの際には安全を検知しないため動作しない。

日本はどちらかというと前者の危険察知型。
欧米諸国は後者の安全確認型が主流になっている。
安全ではないと動かないため、

日本は安全対策後進国

3.設計者は何をしたらいいの?

まずは本質安全の設計(危険にならない、危険に近づかない、危険を作らない)をして製品を作らなければなりません。

それでもどうしても危険性が拭えない時はリスクのレベルに応じて設計者は危険性を低減する努力をしなければなりません。
それらを帳票として残すのがリスクアセスメントになります。
この場合のリスクのレベルとは以下のようになります。

リスクレベル=傷害の大きさ+接触頻度+傷害の起こる確率

後ほど詳しく説明しますが、このリスクレベルを出して会社として容認できるか正しく判断することです。
判断を使用して以下のことを行うのが設計者の仕事になります。

・リスクを最小限にする
・リスクを使用者に認識させる
・リスクを伴わない使い方を提示する

本質的に危険を作らずにリスクをもたない

4.リスクアセスメントの流れ

リスクアセスメントは極力抜けが出ないように複数人で行います。
簡単に流れを説明します。

下は安全設計からリスクアセスメントの流れの図です。
安全設計からリスクアセスメントの流れ。最大限に安全を見つめ直す

出来るだけ設計初期段階で考慮をする。
なぜなら、後付けしてしまうと安全ガード類の防護をつけるだけになってしまう。
→コストアップ、メンテナンス性、操作性に影響が出てくる。

1.本質安全設計

 ・危険にならない
 ・危険に近づかない
 ・危険を作らない
になっているか

「1.本質安全設計」は製品により異なってきますので説明をしませんが、危険にならないように設計していきましょう。

2.製品使用上の明確化

 ・誰が、どんな時に、どのように扱うか

「2.製品使用上の明確化」はリスクアセスメントを行っていく上で重要になってきます。
 ・製品使用者は誰か?
 ・使用環境により危険源の変化はないか?
 ・使用方法はどのようにするか?
 ・使用方法以外で危険に遭遇する可能性があるか?
 ・製品のメンテナンス者は誰か?
 ・メンテナンス上での危険に遭遇しないか?
 ・工具類その他の器具類を使用した場合に相乗として危険源が現れないか?
 ・その他の第3者が遭遇する危険はないか?
  など、使用する上、作業する上での流れに沿って危険源を洗い出していきます。

3.危険源,危険の状態の特定

 ・危険の種類:衝撃、巻き込み、騒音、振動、感電etc.
 ・危険の状態:障害の大きさ、接触頻度、危険からの回避性

「3.危険源,危険の状態の特定」は2.で行った内容から危険源の状況を正しく記載していきます。
 ここでは複数に使用にまたがる同じ部位の同じ危険源はまとめても構いません。
 ただし同じ部位であっても危険の種類や状態が違う場合はまとめてはいけません。

4.リスクの見積り

・リスクレベルを見積もり

「4.リスクの見積り」は、3.で行った危険の種類や状態からそれぞれのリスクレベルを数値化していきます。
 数値化することで、危険に対する改善の優先順位など可視化していきます。
 ただしこのリスクレベルを設定する上で設計者各々の価値観によって左右されることがありますので、
 あらかじめ一定のルールを決めておいた方が良いと思います。

5.リスク自体の評価

 ・リスクレベルに対して許容できるかできないかの判断を行う
 ・リスクが許容できない範囲があればそれについて始めから繰り返し行う

「5.リスク自体の評価」は4.で数値化したリスクレベルから今後どのように対応していくか決定します。
 レベルの値によって「容認できないレベル」「残存リスク」「容認できるレベル」を分類していきます。
 ・「容認できないレベル」であれば設計を考え直してレベルを低くするもしくは危険源を排除します。
 ・「残存リスク」であれば設計を考え直してレベルを低くするもしくは使用者にリスクを通知して使用者責任として残す手段をとります。
 ・「容認できるレベル」であれば状況により使用者にリスクを通知などをして製品設計を進めていきます。

製品に対するリスクがなければ一番良いのですが、ゼロにすることはどんな製品であったとしてもできないと思われます。

リスクアセスメントの流れの詳細や製造現場における対応方法は以下の書籍が参考になります。
製造現場等におけるイラストで学ぶリスクアセスメント 第1集

5.危険源,危険の状態の特定

先ほども簡単に述べましたが、危険源を抽出した後は危険源に対して、1つ1つリスクレベルを考えていきます。
危険源を見ていく内容として次にあげるものが主になります。
機械的
 押しつぶし、せん断、切断又は分断、巻き込み、引き込み、衝撃、こすれ又は擦りむき、高圧流体の注入又は噴出
電気的
 直接接触、間接接触、静電現象、熱放射又は熱現象・ショート、電気装置への外的影響
熱的
 火災又は爆発による火傷、熱傷及びその他災害、原因とする健康障害
騒音
 聴力喪失、その他の生理的不調
振動
 振動による危険源

 光による視力低下及び健康障害
動力源の故障
 エネルギー供給の故障、予期しない動作、安全性の喪失

危険源特定
これらの内容は全てではありません。
内容によっては追加する必要があります。また、企業によっても優先する内容や細かく見る内容が異なると思います。

危険源を特定することで、リスク低減の活動内容につなげることができる

6.リスクレベルの考え方

先ほども少し説明しましたが、リスクレベルは以下のように表現できます。

リスクレベル=傷害の大きさ+接触頻度+傷害の起こる確率

ただし、これはリスクアセスメント手法の一つになります。
手法としては
 ・加算法(リスク要素を加算)
  上記の方法、日本では一番多く使用される
 ・積算法(リスク要素を積算)
  リスク低減の効果が大きく見えてしまう場合がある
 ・マトリックス法(リスクを表にして表現)
  細分化されたリスクに反映できない
 ・リトグラフ法(リスクをチャートとして表現)
  リスクの比較が容易。だが評価する分類が多くできない
などがあります。
加算法で説明していきます。
そのほかの方法は割愛していきます。
それでは加算法の項目の一つ一つ説明していきます。

○傷害の大きさ

傷害の大きさは「力の大きさ」「逃げれる空間」「およぶ範囲」を踏まえて基準を作っていきます。
 力の大きさ:衝撃、推力、速度
 逃げれる空間:力を和らげるスペース
 およぶ範囲:人数、危険にさらされる体の範囲
が重要になってきます。
例えば、「20000Nの力、5mm/sの速度で隙間2mmまで押しつぶされる場所に腕を挟んだ」
と考えたら、腕はちぎれます。
ですが、「20000Nの力、5mm/sの速度で隙間300mmまで押しつぶされる場所に指を挟んだ」
になると挟んだにならないと思われます。(衝撃は加わると思いますが)
「逃げれる空間」「およぶ範囲」の考え方はJIS規格にも載っています。
例として、押しつぶし回避の最小隙間 (JIS B 9711)
 体:500mm以上
 脚:180mm以上
 つま先:50mm以上
 腕:120mm以上
 手:100mm以上
 指:25mm以上
押しつぶし回避の最小隙間。この場合はうでで、120mm以上必要です。
などを参考にすると良いと思います。

これらから想定して以下を分類していきます。
致命傷: 死亡や永久的労働不能に繋がるけが
重症: 重傷(長期療養を要するけが)及び障害の残るけが
軽傷: 休業災害及び不休災害(いづれも完治可能なけが)
軽微な傷害: 手当後、直ちに元の作業に戻れる微傷のけが
これは一例になり企業により厳密な数値や基準は違うと思いますが、およそこのようになります。
事故後の傷害が残った場合を想定して傷害等級を割り当てる企業もあります。
傷害程度・度合い。程度により致命的なものから軽微なものまで範囲があります。

○接触頻度

接触頻度とは危険源に近づく頻度になります。
目安として以下のように分けていきます。
頻繁: 3回以上/1日
時々: 1~2回/1日
滅多にない: 1回以上/1週間
こちらも先ほど同様に企業により厳密な数値や基準は違うと思いますが、およそこのようになります。
危険源に近づく頻度。週に数回程度から時間に数回など近づく頻度になります。

○傷害の起こる確率

傷害の起こる確率は「危険の検知性」「危険からの回避性」を踏まえて基準を作っていきます。
リスクの発生確率はわかりやすい危険源かどうかで変わってきます。
「目の前の刃」と「影に隠れた場所の刃」では危険の認識のされ方が違います。もちろん回避性にも繋がります。
危険からの回避性として、危険源に対しての回避できるかもしくは遭遇しないかを考えます。
・上肢/下肢の到達防止の安全距離(JIS B 9718)
 危険源に到達しない距離
  腕: 開口部120mm以下、危険源との距離850mm以上
  手: 開口部30mm以下、危険源との距離200mm以上
  指先: 開口部6mm以下、危険源との距離10mm以上
  脚: 開口部95mm以下、危険源との距離1100mm以上
  以下は腕場合の図
  腕の安全距離 この場合は腕の安全距離になります。850mm以上離れていれば安全と規格では見なしています。
・安全防護物の応答時間(JIS B 9715)
  S=(K×T)+C
 S:検出箇所〜危険源までの距離、K:部位接近速度(上肢2000mm/s)、T:危険源なくなるまでの時間、C:検出前の侵入距離
 これは検出装置があり、安全防護装置が作動または機械が停止して危険源が無くなる場合にはこの式を使って考えます。

これらを踏まえて以下のように分けていきます。
確実: 検知できない/回避できない
可能性が高い: 注意しないと検知できない/専門知識がないと回避できない
可能性がある: 注目すれば検知できる/方法が分かれば回避できる
ほとんどない: 誰でも検知できる/気がつけば回避可能
危険源の種類に対して回避の仕方や検知の仕方を決めていく必要があると思います。
こちらも先ほど同様に企業により厳密な数値や基準は違うと思いますが、およそこのようになります。
傷害発生の確率

○リスクレベル

今までの点数を加算して、リスクレベルを割り出します。
リスクレベルに応じて対応を行います。
Ⅴ: 許容できないリスク
リスクポイント20-17, 直ちにリスクが低減するように対策を実施する
Ⅳ: 重大なリスク
 リスクポイント16-13, リスク低減まで優先的に対策を実施する
Ⅲ: 中程度のリスク
 リスクポイント12-9, リスク低減を対策を実施する。
Ⅱ: 多少問題があるリスク
 リスクポイント8-5, リスク低減が望ましい。低減するための検討が必要
Ⅰ: 許容できるリスク
 リスクポイント4-3, 必要に応じてリスク低減措置を実施する
こちらも先ほど同様に企業により厳密な数値や基準は違うと思いますが、およそこのようになります。
これらを実施して、極力リスクを低減した設計を心がけていくと本質安全に近づく設計になっていきます。
リスクレベル

リスクアセスメントをすることで、リスクを極力低減することができる

リスクアセスメントの流れの詳細や製造現場における対応方法は以下がわかりやすいです。

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開発の流れ

開発する前に必要なことを考え直そう!

開発する前に必要なことを考え直そう!

開発は新しい物を世に生み出す行為です。(ここでの設計は開発行為上の設計を指します)そのため、リソース(人材、資金、道具・材料)がとても多く必要となります。

自身の組織(以外、企業)の状況・状態、社会の動向を考慮に入れて本当に必要なことか判断しなければなりません。
また、開発設計行為をしていたとしても、状況の変化により無駄な事になります。

監視を設けて、継続か中止か適正に判断する事も重要になります。

これらを踏まえて、開発設計する上で考えなければならない事が幾つかあります。

 

企業の状況・状態の把握

開発設計する上で考えることは、まず自身の状況を的確に判断することです。すなわち企業の状況・状態を把握することがまず第一です。

・企業の状況・状態の把握

  1. リソースの確認(人材、資金、道具・材料)
  2. 問題点の真因の確認
  3. 開発製品の立ち位置

1の「リソースの確認」は、会社の健康状態を確認するということで重要です。企業の固有技術なども材料になり開発自体の成功率を上げるためにも必要です。たとえば、資金を考えずに大規模な新規開発を行うことはとても大きなリスクを伴います。

2の「問題点の真因の確認」は、開発設計を行うことで直面している問題の解決になるか見極める必要があるということです。
製品開発の場合は、イノベーションにつながる製品となりえるか、製品開発で問題が解決されるか知る必要があります。もしかしたら営業や供給の問題だったりします。製造工程・設備開発の場合は、その開発で製造上のボトルネックが解消される、もしくは製造全体の効率化(全体最適)ができなければ意味がありません。

3の「開発製品の立ち位置」は、その製品がどれぐらいの重要度の高さなのか把握する必要があります。中には本当に必要な開発なのか疑問になる開発のもあります。開発する物がないからとか、継続して開発しなければならないとかはありません。先ほども述べたように開発という行為はとてもリソースを費やします。無駄に開発を行うのであればリソースを他の業務に分ける方が良い場合もあります。

現在の自身の企業の状況を把握することで、開発できる準備が整っているか知ることができる。

 

社会での企業の立ち位置の把握

次に、相手や状況を確認することです。すなわち競合相手や社会からみた客観的な立場を知ることです。

・企業の社会での立ち位置の把握

  1. 競合他社と企業の比較
  2. 開発行為で多くのステークホルダーがしあわせになるか

1の「競合他社と企業の比較」とは、競合他社に対して優位になるような開発をして今後の開発依頼や開発製品の売り上げを伸ばそうというものです。自社内の製造開発等の場合はこの限りではありませんが、他社の動向を確認することは非常に重要になりその分野の動向も見えてきます。

2の「開発行為で多くのステークホルダーがしあわせになるか」とは、開発行為自体に無理をしてステークホルダーに迷惑が掛からないか確認することです。ひと昔前は「お客様第一主義」が多くの企業で見られました。「お客様第一主義」を優先して従業員に無理をさせると生産性が落ち、利益が下がります。また、その他のステークホルダーをないがしろにすると企業の社会的地位が下がってきます。そのために注意が必要です。

ステークホルダーを簡単に説明します。日本語で「利害関係者」で、株主、顧客、得意先、地域、従業員等の企業に関わる人たちのことです。

社会の中の立場を確認することで、他社からの優位性や社会的地位を知ることができる。

 

開発製品と関連する社会の動向の考慮

・開発に関連する社会の動向の考慮

  1. 製品は、新市場創出になっているか
  2. 顧客・製品を必要とする人の品質を満足するか
  3. 製品に関連する、トレンドの期間はどれぐらい
  4. 製品のロードマップが描けるか

1の「新市場創出になっているか」は製品の注文者がなく自ら製品を不特定多数に対して世の中に提供する場合に必要な考え方です。必要とする人がいて製品自体の開発行為が無駄にならないか知る必要があります。

2の「顧客・製品を必要とする人の品質を満足するか」とは製品を使用する顧客のに対して品質を満足しているか判断をすることです。判断できなければ、これも開発行為の無駄になります。

品質の項目で詳しく説明しますが「品質=顧客の要求+付加価値」になります。これは満足につながる内容と同じになります。後ほど詳しく説明しますが「満足⇆不満足」ではなく、「満足⇆満足でない」、「不満足ではない⇆不満足」と別物になります。これらを間違えると顧客に対して最高の提供をしたとしても、顧客は大して提供してもらっていないと不一致がうまれます。

3の「トレンドの期間はどれぐらい」とは、製品に関連する内容が世の中でどの程度の期間しようされるか知ることです。イノベーションとなりえる他社の製品に追従して開発する場合、開発完了時に製品が飽和したり製品が廃れたりしてきては費用対効果が薄れてしまいます。

トレンドの期間はイノベーター理論や同様の製品の傾向から何となく判断できると思いますが、非常に判断が難しいです。昔よりもかなりトレンド期間が短くなってきています。

大きな企業がイノベーションのジレンマに陥らないようにするためや、ランチェスター理論の1つとして中小企業の追従を許さない場合など開発の直接的な費用対効果を無視しておこなう場合もあります。

4の「製品のロードマップが描けるか」とは、今後の製品発展や自身の技術につながることも考慮に入れましょう。できれは社会動向を考慮した技術となれば、なお良いです。

開発前に製品を見直すことで、リソースの無駄を最小限にして投資対効果を最大限にする。

 

そのためには何をするのか?

たくさん書いたけど、、、具体的には?

いままでの話を簡単にすると、「己を知り、相手(・世の中)を知る」「これからやることを知る」ということです。それぞれやり方はあり、独自に考えた方が早い場合もあります。ですが、わからない場合に特にやってみて欲しいのは以下のものです。

・「己を知り、相手(・世の中)を知る」

SWOT分析:自身の企業が競合他社と比べて何が強みで何が弱みか把握する場合に使用します。本来は事業の変化に対応したリソースの最適化を求めるのに使用しますが、開発製品を決めた後にリソースはどの程度他社より必要か確認する上でも使用できます。

 

・「これからやることを知る」

アンゾフの成長マトリックス分析:製品と市場の分析で開発製品がどの位置づけになるかの把握し、今後の成長戦略を決めるのに使用します。ここでは製品のロードマップを描くために使用します。

詳しくはその時に説明します。

これらは開発設計行為だけでなく、経営のマネジメントとしても必要になります。
普段より定期的に知るようにすれば、比較的これらの工数は少なくなります。

開発の大変さがわかったと思います。
次に開発の流れと開発プロセスで開発について詳しく説明したいと思います。