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電装・電気電子設計

電気設計3 意外と知らない、電源と遮断器の選定方法

知っているようで知らない、電源と遮断器の選定方法

電源の選定は設備や装置において根幹を成します。
この選定によっては使用できる国や使用箇所、使用方法が大きく制限されたりします。
そのため、一番最初に考えましょう。
ここでの電源は低電圧(AC1000V以下)での話になります。
特に設備や装置に対する選定方法になります。

電源選定(AC)と遮断器の選定について話していきたいと思います。

電源選定

はじめに電源の選定をしていきたいと思います。
電源を選定していく上で設備や装置に対する電源を選定していきます。
主に使用する場所・種類・使い方により電源を選ぶ必要性があります

電源選定での流れ

  1.主に使用する地域の電圧確認
  2.電源の安定性
  3.使用する商用電圧(単相、三相)の選定
  4.使用する機器類の選定

使用機器の制限により3と4は逆になる可能性もあります。
様々な地域で使用したかったり、用途としてどうしても供給される電源と使用電源が異なる場合は、トランス等で変更もできますので考慮に入れておいてください。

主に使用する地域の電圧確認

電源供給が商用電源以外の場合はこの限りではありませんが、これから設計する設備や装置の主な使用地域の電圧を確認します。

下の表は、一般的な商用電源電圧になります。
ただし、この表以外の電圧も供給できる場合があります。
参考程度に使用してください。

各地域の一般的な商用電源電圧(AC)

地域 家庭用(単相) 工業用(三相) 周波数
日本 100V 200V 50/60Hz
アメリカ 115V 230V 60Hz
イギリス 230V 400V 50Hz
ドイツ 230V 400V 50Hz
中国 220V 380V 50Hz
インド 220V 380V 50Hz
タイ 230V 400V 50Hz
オーストラリア 240V 415V 50Hz

地域により商用電圧、周波数が異なります。
使用する地域の供給される電源を確認して設計するようにしましょう。
また、自己発電やバッテリーから電源供給を考えている場合はそちらの電源仕様を確認しましょう。

地域により電圧と周波数が異なる。電源供給側の仕様を確認

電源の安定性

日本はかなり良い電源の安定性を保っています。
ですが、地域によっては電源の安定が良くないところも多々あります。
知っている限りでは、数ヶ月に1回地域全体が突然停電になったりする地域もあります。

装置の寿命が短くなる原因にもなります。
不安な場合には現地の人に計測やヒアリングをして情報をもらいましょう。

・電圧の変動率
・電源供給の稼働率

場合によっては以下の導入も検討し設備や装置を守る必要があります。
・電圧の変動 ⇨ 交流安定化電源
・電源供給の瞬断 ⇨ 無停電電源装置(UPS)等

地域によって電源の安定供給に差がある

使用する商用電圧(単相、三相)の選定

主に使用する国の電源電圧が把握できたら、次に使用する商用電圧を決めます。
この決め方によって、設備や装置の使われ方や消費電力も決まってきます。

工業用(三相)と家庭用(単相)により、それぞれ特徴があります。
下記はそれぞれの特徴の目安になります。片隅に入れておいてください。

工業用(三相)

 ・電力効率が良い(ロスが少ない)
 ・家庭用(単相)と比べると単位あたりの電気料金が安くなる
 ・大きな電力を使用できる
 ・三相の機器を使用する
 ・ケーブルが細くできる
  (同じ消費電力でも電圧が大きいため電流が小さくできる)

家庭用(単相)

 ・専用の電気契約をしなくて済む
 ・機器が家庭用(単相)電源電圧の選択ができる
 ・卓上機のような小型で頻繁に移動する
 ・工場で使用するのではなく、一般住居で使用する
 ・大きな電力を使用しない(使用電流15A以下)
 ・機器の電源として直流電源を多く使用する、直流電源のみ使用する
 ・電源接続時の配線工事が必要ない(電源プラグ使用時)
 ・安全面を考慮

また、家庭用特徴として一般的な使用できる電流は最大15A
すなわち日本だと100Vのため1500Wが最高出力(安全率を含めほとんどの製品が1200W)になります。
アメリカだと1725W(安全率含め1400W)が最高出力になります。

補足として(家庭用プラグ形状)
電源プラグの形状には以下のものがあります。
対応地域等の詳細は引用先より確認してください。

Aタイプ Bタイプ Cタイプ B3タイプ BFタイプ SEタイプ Oタイプ
海外の家庭用電源Aタイプ 海外の家庭用電源Bタイプ 海外の家庭用電源Cタイプ 海外の家庭用電源B3タイプ 海外の家庭用電源BFタイプ 海外の家庭用電源SEタイプ 海外の家庭用電源Oタイプ

TravelersCafeWorldGallery:海外のコンセント・プラグ形状と種類 電圧の一覧より引用

電気料金や大きな電力を使用する場合は、工業用(三相)。使い勝手を重視する場合には家庭用(単相)を選択

使用する機器類の選定

設備や装置に使用する機器の電源電圧に対する選定が必要です。
大まかな選定として工業用(三相)、家庭用(単相)と電源種類に分けましたが使用する電圧に合致しているかどうか、機器の確認をしていきます。

特に特殊な電源が必要な場合や特定の電源のみの場合など考慮しなければなりません。

機器選定における必要な確認

・使用可能電源の確認
・周波数による変化があるか確認
・電源に適用する代替品があるか確認
・消費電力及び合計の消費電力の確認

それからどうしても使用可能電源が合わない場合は「使用する商用電圧(単相、三相)の選定」をもう一度やり直すもしくは、トランス等で電源を変化させる必要があります。

使用機器で特殊及び特定の電源が必要がないか確認

今回は商用電源という事で交流(AC)をメインに話してしまいましたが、直流においても同様です。
機器の中で直流に変換した後の考え方も同様です。

次に遮断器のついて話していきます。
以下の本も参考になりますので興味があれば見てみてください。
選び方・使い方 遮断器・開閉器

遮断器について

次に遮断器の選定について話していきたいと思います。
遮断器(通称ブレーカー)は電源から設備や装置へ引き込むために重要な装置です。

装置自体に組み込んだり、電源盤に取り付けたり、家庭内の配電版と様々なところに使われています。
接続される電線の選定は遮断器の容量よりも大きくする必要があります。

電線自体の選定は次回にしたいと思います。

遮断器の目的

遮断器と同じような働きをするものにヒューズがあります。
いくつか目的があり以下のような機能が組み込まれています。

遮断器の目的

・回路の開閉
・電線の焼損防止
・機器の故障防止
・人体への安全配慮

対応する遮断器の種類として目的に対する遮断器を記載しました。
選定や使い方によっては多少異なるので目安として考えてください。

対応する遮断器の種類
・回路の開閉
 開閉器
 安全用ブレーカー(配線用遮断器)
 電磁接触機
 電磁開閉機(電磁接触機+サーマルリレー)
 漏電ブレーカー(漏電遮断器)
 サーキットプロテクタ(AC,DC)

・電線の焼損防止
 ヒューズ(温度、電流)
 安全用ブレーカー(配線用遮断器)
 漏電ブレーカー(漏電遮断器)
 電磁開閉機(電磁接触機+サーマルリレー)
 サーキットプロテクタ(AC,DC)

・機器の故障防止
 サーキットプロテクタ(AC,DC)

・人体への安全配慮
 漏電ブレーカー(漏電遮断器)

遮断器以外にも機器自体に同様の保護機能がついているものも多々あります。
例えばスイッチング電源のhiccup等の保護回路もその一つになります。

目的に応じて遮断器を使う

遮断器の選定

先ほど簡単に説明した遮断器の種類の話をしていきます。
その中で、選定する上で考えなければならない点を記載しました。

分電盤内の遮断器の例
分電盤内の例

安全用ブレーカー(配線用遮断器)について

一般的な遮断器で開閉器+何度も使用できるヒューズのような存在です。
開閉器の代わりに取り付ける事がよくあります。

選定の考え方として以下があります。
安全用ブレーカー(配線用遮断器)の選定

・主回路や分岐回路として回路の開閉をしたい
・電線の焼損を防ぎたい
・電線の耐電流容量が低くなる
・ヒューズよりも早く復旧させたい

動作時間
定格値(表示値)を超えてもすぐに落ちません(トリップしません)
以下のような規定があります。

定格電流 動作時間
定格電流の1.25倍 定格電流の2倍
30A以下 60min以下 2min以下
30A~50A 60min以下 4min以下
50A~100A 120min以下 6min以下

定格電流を越してもすぐに動作しません。
そのため使用電流及び使用電線の安全率を考慮して選定してください。

安全用ブレーカーは「開閉器+何度も使用できるヒューズ」

漏電ブレーカー(漏電遮断器)について

漏電ブレーカー(漏電遮断器)は「配線用遮断器+地絡監視」のような存在です。

地絡(漏電)による感電および火災の防止の機能がついています。
地絡(漏電)による感電の防止はアース(接地)が一般的ですが、併用して使用したりします。

日本の場合の漏電遮断器の設置基準についてです。
※この項の内容は目安です。改定の可能性もあるため、「電気設備の技術基準の解釈の解説」にて確認してください。

漏電ブレーカー(漏電遮断器)の選定

・水気のある場所での使用
・火薬庫等の火気厳禁の場所
・地絡を感知したら自動的に遮断する機構がない
・アース(接地)の省略している箇所
例外として
・機器を発電所、変電所等で使用する
・乾燥した場所での使用
・水気のある場所以外で150V以下で使用する
・機器がゴム、合成樹脂その他の絶縁物で被覆されている
・接触防護措置(容易に触れない措置)がされている
・C・D種接地工事のアース(接地)抵抗が3Ω以下

漏電時の電流(感度電流)により回路を遮断します。
もう一つ種類の分け方として、動作時間(遮断するまでの時間)により分類します。

感度電流の種類
(漏電による漏れ電流)
・高感度形 30mA以下
・中感度形 1000mA以下

応答速度の種類(動作するまでの時間)

種類(形) 動作時間 対応機能
高速形 0.1s以内 感電防止
時延形 2s以内 焼損防止
反限時形 0.3s以内、感度電流により変化 焼損防止

アース(接地)の省略箇所(300V以下)の漏電遮断器は感度電流15mA以下、応答速度0.1s以下を選定

機能における選定方法の目安としてまとめると以下になります。

感度電流 動作速度 アース(接地) 対応機能
~15mA 0.1s以内 アース無し、C・D種接地 感電防止
~15mA 0.1s超え C・D種接地 火災防止
16mA~500mA 0.1s以内 C・D種接地 感電防止
16mA~500mA 0.1s超え C・D種接地 火災防止
501mA~ 0.1s以内 C・D種接地 火災防止
501mA~ 0.1s超え C・D種接地 火災防止

日本において漏電ブレーカーの設置基準もある。地絡監視をする場合に必要。

電磁接触機と電磁開閉機について

基本的に両方とも主にモーターや電熱器に接続されるときに使用します。
回路の開閉自体を制御することができ、特徴からマグネットスイッチとも呼ばれます。

電磁接触器と電磁開閉器の関係はこのようになります。
電磁開閉機=電磁接触機+サーマルリレー

・サーマルリレー
電線温度を監視して過負荷、短絡により回路を遮断します。

電磁接触機の選定

・回路の開閉を(遠隔)制御したい
・負荷変動がない

電磁開閉機(電磁接触機+サーマルリレー)の選定

・回路の開閉を(遠隔)制御したい
・モーターや電熱器を使用する(負荷変動がある)
・過負荷、短絡により回路を遮断したい
 (電線温度を監視)

注意点
・サーマルリレーの設定
モーターは始動時に大電流(定格の7倍程度)が数秒流れます。
設定によっては始動で誤動作する可能性があります。
特性曲線を確認して、過負荷120%程度で考えて調整しましょう。

・サージ吸収の考慮
大きなモーター等(大きな誘導性負荷)を使用している場合、回路を開いた際の逆起電圧が起こってしまいます。
これにより開閉器の耐久性が著しく低下してしまいます。
そのため、サージ吸収用のバリスタ等で逆起電圧を抑制する必要があります。

特に回路の開閉を(遠隔)制御したい場合に使用する

サーキットプロテクタについて

電子回路等の制御回路、負荷の保護を前提として作られている遮断器です。
遮断までの動作が速い遮断器になります。

サーキットプロテクタの選定

・制御回路、負荷を守りたい
・低い容量を遮断したい
・DC(直流)回路も遮断したい
・ちょうど良い定格電流がみつからない
 (定格電流のラインナップが細かい)
・二次側配線の保護をしたい

負荷の保護を前提として作られている遮断器

家庭内での遮断器

もちろん家庭内でも遮断器は使用しています。
・家庭用の分電盤の例(漏電遮断器,配線用遮断器)
家庭用の遮断器の例

通常、家庭用の遮断器は以下のような構成になっていると思います。

アンペアブレーカー(契約電流値が記載のブレーカー)

漏電遮断器(漏電テストボタンがついてるブレーカー)

配線用遮断器(一周り小さいブレーカー)

それぞれのブレーカーがおちた場合の対処方法を説明していきたいと思います。
焦らずに対応していけば誰でも復旧ができます。

またその考えられる要因も載せておきましたので、再発防止として確認してください。

もしアンペアブレーカーがおちた(トリップした)場合

(契約電流値が記載のブレーカー)
家庭内の合計電力使用量が契約値を超えています。

以下の対応をしましょう。

1.大きな電力を使用している箇所を特定する
2.大きな電力を使う機器を同時に使用しない
3.大きな電力を使う機器の使うタイミングをずらす

使用電力が契約値を超えている

もし漏電遮断器がおちた(トリップした)場合

(漏電テストボタンがついてるブレーカー)
どこか漏電している可能性があります。
確認できるまでONしないようにしましょう。

家の中の安全が確認されたら以下の順で対応しましょう。

1.配線用遮断器をすべてOFF
2.漏電遮断器をON
  (トリップ時はレバーが中間位置停止のため一度OFF→ON)
3.配線用遮断器を1つずつON
4.再び漏電遮断器がOFFになったら、OFFの状態で遮断器の対応箇所を確認

どこかで漏電が起きている可能性がある

配線用遮断器がおちた(トリップした)場合

一部でたくさんの電力を消費しています。
通常家庭内の配線用遮断器は15Aのため、1つの遮断器の下では3000Wを使用すると2分以内におちます。

以下の対応をしましょう。

1.タコ足配線で同時に機器を使用していないか
2.大きな電力を同じコンセント、近くのコンセントで使用していないか
3.どうしても大きな電力を使用する場合、追加の回路をつくってもらう

お勧めできませんが、短時間の使用の場合は特性上、以下のことが出来てしまいます。
・1500Wをすこし超えて使用する
・3000W程度を1分程度使用する

同じコンセントでたくさん電力を使用している

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電気設計2 機能維持のための安全カテゴリの考え方

機能維持のための安全カテゴリの考え方

安全カテゴリは「安全」と名前がついているため、「安全性」と混同しがちですが違います。
安全の機能が維持できる堅牢性・耐性のレベル分けした名称です。

安全カテゴリとは「安全の機能」の「維持の強さ」の度合いになります。
そのため、安全ための機能(安全性)については別問題です。

考え方が「機能維持」という意味で、安全の機能以外でもとても参考になります。
今回はそれについて話していきたいと思います。

安全カテゴリの考え方

先ほども簡単に述べましたが、安全カテゴリは「安全機能」が維持できる堅牢性・耐性のレベル分けになります。
この考え方は制御としても同様に考えることもできます、どちらかと言いますとハード面での機能の堅牢性・耐性の考え方になります。

それはリスクアセスメントの「傷害の起こる確率」にも関係し、リスクアセスメントのリスクレベルを下げるのにも役に立ちます。

考え方はハード設計における製品機能の品質を維持するための「機能信頼度」に集約していく話になります。

この安全カテゴリと同様に構築すれば、通常使用する機能の堅牢性・耐性も同様にあげれます。

「安全カテゴリ」≒「機能の維持レベル」

そのため、安全以外に使用して、機能の維持に努めることも可能となります。

カテゴリ分け

説明していました、機能維持のレベル(カテゴリ)は簡単に以下の5つに分けることができます。

・カテゴリB
・カテゴリ1
・カテゴリ2
・カテゴリ3
・カテゴリ4

下に行くほど堅牢性・耐性が高くなります。
これらは安全カテゴリ分類と必要要件であるISO13849-1に基づきます。
次はカテゴリ別にどのように組まれているのかを説明していきます。

カテゴリは5つに分けられる

機能の関連の本になります。
マーケティングにも機能が重要の本の一例です。
ヒットを育てる! 食品の機能性マーケティング

カテゴリB

カテゴリB 安全機能維持には使用できません。

通常時、目的の機能が実現できることになります。(安全機能が動作するレベル)

「入力→機能→出力」と一連の流れになります。

何か起きた場合は機能は動作を停止してしまうレベルのカテゴリになります。
そのため、カテゴリBは安全機能の維持回路としては成立しません。
安全としては本質安全(安全機能の必要以前に安全が根本的に確立している)で設計しましょう。

カテゴリBは安全機能の維持としては使えない

カテゴリ1

カテゴリ1 吟味された構成要素を使用する

カテゴリBの条件を満たすことと、吟味された構成要素を使用すること、安全は安全原則に従うことになります。

カテゴリBと同じように「入力→機能→出力」と流れは一緒になります。

吟味された構成要素とは
・信頼性が高く故障可能性が低減しているもの
・故障時に確実に安全方向に動作するもの
・安全上広く使われてきたもの

カテゴリB+信頼性が高い部品を使うといった考え方になります。

カテゴリ1は吟味された構成要素を使用すること

カテゴリ2

カテゴリ2はカテゴリB+点検機器が取り付いている

カテゴリBの条件を満たすことと、点検機能があること、安全は安全原則に従うことになります。

「入力→機能→出力」と一連の流れは一緒です。
それに「点検機能」が追加した形になります。

点検機能とは、任意のタイミングで機能が維持できているか手動または自動で確認する機能のことです。
点検結果により動作の可否の判断をします。

任意のタイミングとは
明確なタイミングや回数の規定はありませんが、通念上サイクル毎や動作毎に点検が必要となります。

カテゴリ2は点検機能が付加

カテゴリ3

カテゴリ3、4 冗長化により2重回路を組み常に監視をする
または、
カテゴリ3、4 冗長化により2重回路を組み常に監視をする

カテゴリBの条件を満たすことと、監視機能があること冗長化(2重化)回路であること、安全は安全原則に従うことになります。

「入力1→機能1→出力1」、「入力2→機能2→出力2」と動作の流れが2系統に分かれています。
動作機能は両方同じです。

カテゴリ3からは、とても重要な部分と考えこのように「冗長化」(二重化)する必要があります。

「冗長化」とは、機能を二重化しておき一方が故障してももう一方が残っていれば対応して問題なく動作する回路やシステムのことです。
これは機能信頼度をあげる方法としてはとても良い方法です。
ただし、コストはその分二重にかかります。

また、監視機能があるため故障時は検出できます。
カテゴリ3では複数の重複した故障(故障の蓄積)の際までは保障されていません。

カテゴリ3は冗長化と監視機能

カテゴリ4

回路としてはカテゴリ3と同じです。

カテゴリ3の条件を満たすことと、故障の蓄積に対する耐性になります。

カテゴリ3と同様に「入力1→機能1→出力1」、「入力2→機能2→出力2」と動作の流れが2系統に分かれています。
これも両方の系統の動作機能は同じです。

故障の蓄積に対する耐性とは
・単体の故障は機能を実行した際か故障した際に検出すること
・複数の重複した故障(故障の蓄積)でも機能が損なわれないこと
になります。

カテゴリ3や4は、飛行機のシステムや銀行のシステム系などの重要な部分には同様の仕組みで成り立っています。
機能として欠落できない場所には同様に考えてみてください。

カテゴリ4はカテゴリ3に耐性をさらにアップした内容

どのように機能維持に展開するのか

結局のところどのように機能維持を展開していくかカテゴリに沿って要約します。
以下は安全カテゴリの機能の堅牢性・耐性を踏まえた順に並んでいます。

1.通常(異常がない場合)機能が成立する
2.信頼性のある部品・要素を使用する
3.機能に異常がないかチェックできる機能が付いている
4.冗長化(2重回路)にする
5.冗長化(2重回路)で故障の際はすぐに判断できる

設計段階でどの程度機能の動作保証をするか決め、機能の重要性により対応内容をあげていけば良いと思います。

安全カテゴリと同様に機能の重要性により対応内容を変える

これらのように安全カテゴリと同じ考え方は機能を維持する上では非常に役に立ちます。
機能の維持をどの程度にするか設計時に考える必要があります。
状況に応じて対応してみてください。

機能についての関連本

一部追記:2017/8/23

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機械設計

機械設計2 機械部品としての銅・銅合金の特性と選定

機械部品としての銅・銅合金の特性と選定

アルミニウム同様、毎日必ずと言っていいほど、銅(Cu)関連の製品に触れていると思います。
実際に開発設計で使用する際はどのように選定をしていいのか、今回も特性と共に説明したいと思います。

化学的特性

銅は一般に広く使われていることもあり化学的特性も考慮した使い方も様々です。
ですが特徴があるため、ここではその化学的特性について機械部品に使用される材料と比較して話していきたいと思います。

重さ

銅の比重は鉄の約120%、チタンの約200%、アルミニウムの約330%、カーボンファイバーの約460%です。
銅比重:8.8g/cm3 

重量の面ではこの中では一番重く、メリットはありません。

比重の順:
銅>鉄>チタン>銅>カーボンファイバー

重さは鉄より約120%重い

導電性・熱伝導性

通常環境下で高い導電性・熱伝導性を持ちます。
状態によって異なりますが、ご存知の通りとても高いです。
比較して説明していきます。

・導電性
銅の電気抵抗率はカーボンファイバーの約0.0003%、チタンの約4%、鉄の約18%、アルミニウムの約60%です。
銅電気抵抗率:16.8 nΩ·m

常温環境下で一般的に使われる金属の中で銅は銀の次に電気導電性が良いです。
そのため一般的な電気ケーブル、電線には銅が使用されます。

電気抵抗率の順:
カーボンファイバー>チタン>鉄>銅>銅

・熱伝導性
銅の熱伝導率はカーボンファイバーの約80%、アルミニウムの約170%、鉄の約500%、チタンの約1900%です。
熱を効率よく伝える製品の多くで銅が使われています。
銅の熱伝導率:400 W/(m·K)

熱伝導性の順:
カーボンファイバー>銅>銅>鉄>チタン

通常使用される金属の中で、最も電気導電性、熱伝導性が良い。

化学的性質

・腐食性
銅はイオン化傾向が金、銀についで低く比較的酸やアルカリに強いです。
空気中では表面に徐々に酸化銅の膜ができ内部が保護されるためそれ以上の腐食の進行がないです。

イオン化傾向の順
銅>チタン>鉄>銅

・磁性
銅は反磁性体で磁場をかけると、弱いですがその磁場に反発するようにその時だけ反対の磁性なります。
磁石をつけても、磁化されません。
そのため、計測機器等のセンサ周りによく使用されます。

耐腐食性が高い。磁性も無い。

機械的性質

銅は機械的性質を利用して機械部品になくてはならない存在です。
どのようなものなのか説明していきます。

強度

銅の強度は鉄より若干劣ります。
合金によっても異なりますが、銅の比強度は鉄と同様になります。
そのため、同じ体積で考えると重い銅の方が強度は弱くなります。

加工性

銅単体では非常に柔らかく加工性が悪いです。
銅合金にすることで銅の良さを生かしたまま加工性の改善していて用途は広いです。

熱伝導性が高い分、鉄よりも加工する際に反り・変形が起こりやすいです。
切削・切断・ダイスパンチでの絞り・研削・曲げ・溶接など加工においてほとんど可能です。

銅は鋳造が容易にできます。
融点も鉄より低いので鉄と同様に鋳造性が高いことが挙げられます。
ただし、熱膨張係数が少し高いので溶接等で歪みが起きやすいです。
また、熱伝導率が高いため局部加熱しにくいです。

加工性が高い、鋳造も比較的容易、ただし熱が必要な加工には注意も必要

価格

状況や合金によっても異なります、全てが当てはまるわけではありませんが以下になります。

重さ当たりの価格の順
カーボンファイバー>チタン>銅>アルミニウム>ステンレス>鉄 

銅は特徴より色々な分野で広く使われています。
そのためか他よりも比較的価格が高いです。

銅は比較的高価

その他

・抗菌性がある
銅は抗菌性があると言われています。
表面に生成される酸化膜や塩素化合物により、広範囲の微生物を不活化すると言われています。

・経年で色が変化する
長年空気中に銅を置くと表面に発生する酸化膜の影響により、時間とともに色が変化していきます。
10年程度で赤褐色→緑青色に変化します。
メリット・デメリットどちらにも捉えることができますが、銅は独特の色合いが出てきます。

・リサイクルが容易
銅はアルミニウムと同様にリサイクルが容易です。
銅単体として抽出することが容易なので、たくさんリサイクルされています。

・低温環境下にとても強い
銅は低温環境下でも脆化しません。
そのため、超伝導材料などにも使用されます。

しかし通常使われる銅及び銅合金では、使用最高温度が300度程度までとなっているため高温になる環境下では使わないようにしましょう。

リサイクルしやすい

結局どんな時に銅を選定?

・電気を体積あたりでたくさん通したい
常温環境下で一般的に使われる金属の中で銅は銀の次に電気導電性が良いため、電気のケーブル等によく使われます。
ただし、重さあたりで比較するとアルミニウムの方が電気を通します。
重さか体積かで考える必要があると思います。

・熱を効率よく伝えたい
銅は導電率同様に熱伝導率もとても良いです。
ヒートシンクや熱交換器などにもよく使われます。

・計測装置の部品に使いたい
銅は反磁性を持っていますが、磁石により磁化しません。
そのため、磁力に影響するような計測器の部品に適しています。

・低温環境下で維持できる材料を使いたい
銅は先ほども述べた通り、とても低温環境下で脆化しません。
そのため、低温でも強いです。
ただし、高温になるようなところには比較的弱いので使い方を注意しましょう。

など、他にもたくさんあります。

銅の用途は多岐にわたりこの限りではありません。
状況に応じて性質を考慮して色々試してみてください。
材料としては鉄、アルミニウムに次いで3番目に多く使用されています。
品質も安定しているため、置き換え設計も比較的容易に行えます。

用途は多岐にわたる。置き換えも容易

下記は銅の特徴の熱伝導率を使ったタンブラーです。
冷たいものが冷たく、さらに飲む直前に唇に感じる冷たさでより美味しく味わえます。
和平フレイズ ラウンドロックタンブラー 380ml 燕三 純銅 EM-9606

規格(合金)

銅合金は銅を主成分とする合金です。
銅合金はとても一般的で、例えば1円玉以外の流通している日本の硬貨は銅合金になります。

銅は軟らかい為、マンガン、すず、マグネシウム、亜鉛、ニッケルなどと合金にして、金属材料としての特性を向上させることができます。
銅合金は、アルミニウムと同様に大まかに圧延(展伸)法と鋳造法に大別でき、それぞれの用途別に材料規格となっています。

銅の規格で、銅記号、系統記号、形状記号、調質記号からなります。

・銅記号
 頭文字のCになります。
・合金系・合金番号
 合金の番号になります。合金の種類はこの番号の頭の数字により決まります。
・形状・製造条件記号
 P:板、円板
 PC:合せ板
 H:箔
 FD:型打鍛錬品
 FH:自由鍛錬品
 など
・調質記号
 F:製造のまま
 O:焼きなまし
 H:加工硬化
 など

圧延(展伸)法の合金

ここでは特によく使われる「圧延(展伸)法」の規格について説明します。
圧延(展伸)法の合金の中では、非熱処理合金と熱処理合金があります。

銅の延伸法では1000系-7000系まであります。マンガン、すず、マグネシウム、亜鉛、ニッケルなどと合金にして、金属材料としての特性を向上させます。

圧延法の銅合金は4桁の数字の国際銅合金名が使用されています。
市販されている板厚は0.3、0.8、1.0、2、3、4、5、6、8、10、12、15、16、18、20、22、25、30、35、40、45、50mmです。
他の板厚もありますが、これも考慮に入れると設計がしやすいです。

・1000系(純銅)
銅純度99.9%以上で電気伝導性、熱伝導性は良いですが強度が低くなります。

導電材やアルミ箔などにしようされ、構造物・機械部品としては適しません。

C1020:電気用電線の芯線

・2000系(Cu-Zn系合金)

銅と亜鉛の合金になります。
黄銅もしくは真鍮とも言い、銅合金の中で最も多く使われています。
加工性がよくて美しいため、用途が広く、金物にも多く使用されています。
加工などをしたこの合金を安置しておいただけで、加工時の残留応力が原因で割れが発生することがあります。
これは応力腐食割れの一種で、加工時に内部応力を考慮した設計にしましょう。

C2600:接続用端子
C2680:配線機器部品

・3000系(Cu-Pb系合金)
加工性をあげるために鉛を添加した銅合金になります。
快削黄銅とも呼ばれています。

C3560:時計の歯車等

・4000系(Cu-Zn-Sn系合金)

2000系(黄銅)に錫を加えたものになります。
そのため、黄銅よりも海水における腐食の耐性が高まりました。
他にも応力腐食割れにや摩耗に対しても耐性のある合金になります。

C4250:リレー、スイッチ
C4621:船舶用部品

・5000系(Cu-Sn系合金、Cu-Sn-P系合金)
錫とリンを加えたものになります。
リン青銅とも呼ばれ、強度が強く、ばね性に優れていることが挙げられます。
また、曲げ・絞りといった加工性が良いことや電気伝導率も高いことから様々なものに使われています。


C5191:配線機器部品など

・6000系(Cu-Al系合金、Cu-Si系合金)

C6161やC6191などの6000番台はアルミ青銅もしくは楽器弁用黄銅、高力黄銅

・7000系(Cu-Ni系合金、Cu-Ni-Zn系合金)
ニッケルを加えたものになり、白銅とも呼ばれます。
また、ニッケルにさらに亜鉛を加えたものを、洋白とも呼ばれます。
これらは色が白っぽくなるため、見た目から銀の代用として使用されたりします。

美しいために装飾品や食器などに使われたりしています。
また、強い耐食性、耐海水性を持ちます。

C7351:楽器

銅は合金により色や腐食性、導電性における特徴が異なる

鋳造法の合金

以下、鋳造法の合金規格になります。
特徴としては圧延(展伸)法の合金とほぼ同じなので名称のみ記載します。

名称に「CAC」が付く

CAC101: 純銅系

CAC201: Cu-Zn系
CAC301: Cu-Zn-Al系

CAC401: Cu-Sn系

CAC502A: Cu-Sn-P系

ACAC602: Cu-Sn-Pb系


CAC701: Cu-Al系
CAC801: Cu-Zn-Si系

CAC901: Cu-Sn-Bi系


様々な分野でとても多く銅は使われています。
今後ももっとより良い銅合金ができてくると思います。

銅製品は以下のように様々な加工品として使われています。

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機械設計

機械設計1 機械部品としてのアルミニウム合金の特性と選定

機械部品としてのアルミニウム合金の特性と選定

日常生活でも毎日必ずと言っていいほど、アルミ関連の製品に触れていると思います。
実際に開発設計で使用する際にどのように選定をしていいのか、特性と共に説明したいと思います。

化学的特性

アルミニウムは一般に広く使われていることもあり化学的特性も考慮した使い方も様々です。
ここでは、その化学的特性について機械部品に使用される材料と比較して話していきたいと思います。

重さ

アルミニウムの比重は銅の約30%、鉄の約35%、チタンの約60%、カーボンファイバーの約140%です。
アルミニウム比重:2.7g/cm3

高速回転部品を鉄からアルミに置き換えるとイナーシャ等も抑えられ効率がよくなります。
単純に重量を軽くしたい場合もよく使われます。

比重の順:
銅>鉄>チタン>アルミニウム>カーボンファイバー

重さは鉄と銅の約1/3

導電性・熱伝導性

通常環境下で高い導電性・熱伝導性を持ちます。
状態や合金によって異なりますが、おおよそで説明していきます。

・導電性
アルミニウムの電気抵抗率は銅の約170%、鉄の約30%、チタンの約7%、カーボンファイバーの約0.001%です。
アルミニウム電気抵抗率:28.2 nΩ·m

銅の方が電気導電性が良いですが、比重の関係のため重さあたりではアルミの方が電気導電性が良いです。
そのため高電圧になればなるほど、アルミが使われています

電気抵抗率の順:
カーボンファイバー>チタン>鉄>アルミニウム>銅

・熱伝導性
アルミニウムの熱伝導率は銅の約60%、鉄の約300%、チタンの約1000%、カーボンファイバーの約50%です。
熱を伝える製品の多くでアルミ製品が使われています。

熱伝導性の順:
カーボンファイバー>銅>アルミニウム>鉄>チタン

重さあたりでは銅より電気導電性が良い。熱伝導性も銅の次に良い。

化学的性質

・腐食性
アルミニウムはイオン化傾向が高く、酸やアルカリに侵され易い。
しかし、空気中では表面に酸化膜(アルマイト)ができ内部が保護されるため、一般的には耐食性が高いと言われています。

イオン化傾向の順
アルミニウム>チタン>鉄>銅

・磁性
アルミニウムは弱常磁性体ですが、ほぼ無いと考えていいです。
そのため、計測機器類にも多く取り入れられています。

空気中の耐食性が高い。磁性も無い。

機械的性質

アルミニウムは機械的性質を利用して機械部品になくてはならない存在です。
どのようなものなのか説明していきます。

強度

アルミニウムの強度は低いですが、アルミニウム合金は軽さ・加工性の良さを生かしたまま強度を改善していて用途は広いです。

応力がかかった時の変形に降伏現象(ひずみと応力との関係が比例しなくなり、応力を除去してもひずみが残る現象)を示しません。 
単位重さ当たりの比強度が大きく、引張り強さは大きくありません。

加工性

 アルミニウムは加工性が高いです。
切削・切断・ダイスパンチでの絞り・研削・曲げ・溶接など加工においてほとんど可能です。

アルミニウムは鋳造が容易にできます。
融点も鉄の半分程度なので鋳造性が高いことが挙げられます。

加工性が高い、鋳造も容易

価格

状況や合金によっても異なります、全てが当てはまるわけではありませんが以下になります。

重さ当たりの価格の順
カーボンファイバー>チタン>銅>アルミニウム>ステンレス>鉄 

比重の違いから体積当たりでは、アルミニウムよりもステンレスが高いです。

アルミニウムは比較的安価

その他

・電波反射性能が高い
アルミニウムは鏡面加工も得意です。
そのため、電磁波や可視光線を容易に反射します。

・毒性がない
アルミニウムは毒性がないと言われています。
食品の分野でも多く取り入れられています。

・リサイクルが容易
アルミニウムはリサイクルが容易です。
原料から作る際は大量の電気を使用しますが、リサイクルする際は少ない電力ですみます。

・粉末は可燃物
アルミニウムの粉末は粉塵爆発を起こす場合がある。
燃焼時の消火に水をかけると水素が発生して被害が大きくなるため、水をかけることは厳禁です。
消防法で危険物に指定されています。

毒性がなく、リサイクルしやすい

結局どんな時にアルミニウムを選定?

・軽くしたい
鉄やステンレス、チタンよりも軽いため単純に軽くしたい場合には、とても良いです。重さ当たりの比強度も高いため、軽量化の置き換え設計が可能です。

・なるべく安価で熱を伝えたい
熱伝導率は銅より劣りますが、価格としてのメリットは銅より勝るためヒートシンク等にもよく使われます。

・電気ケーブルを軽くしたい
重さ当たりの導電性は銅より良いです。
ただし、引っ張り等が弱いため固定でしか使用できません。

など、他にもたくさんあります。

アルミニウムの用途は多岐にわたりこの限りではありません。
状況に応じて性質を考慮して色々試してみてください。
材料としては一般化しており品質も安定しているため、置き換え設計も比較的容易に行えます。

ただし、弱いため接続時にネジ等を使用して留める際はヘリサートを使用したりして強度をもたせてください。
イオン化傾向が高いため、異種金属との接触部位には電位差が発生して電食により腐食が進みます。
微細な変化が関係する場所には、異種金属と使用しないもしくは油等で防止策を行なってください。

用途は多岐にわたる。置き換えも容易

下記は金属材料としてのアルミニウムについて詳しく載っています。
より詳しい内容を知りたい方は参考にしてください。
アルミニウム (現場で生かす金属材料シリーズ)

規格(合金)

アルミニウム合金はアルミニウムを主成分とする合金です。
アルミニウムは軽いという特徴の反面、軟らかい為、銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、ニッケルなどと合金にして、金属材料としての特性を向上させることができます。
アルミニウム合金は、大まかに圧延(展伸)法と鋳造法に大別でき、それぞれの用途別に材料規格となっています。

規格記号は以下のようになります。
規格にはアルミニウム記号、合金系・合金番号、形状・製造条件記号、調質記号があります。
・アルミニウム記号
 頭文字のAになります。
・合金系・合金番号
 合金の番号になります。合金の種類はこの番号の頭の数字により決まります。
・形状・製造条件記号
 P:板、円板
 PC:合せ板
 H:箔
 TW:溶接管
 FD:型打鍛錬品
 FH:自由鍛錬品
 など
・調質記号
 F:製造のまま
 O:焼きなまし
 H:加工硬化
 W:液体化処理
 など

圧延(展伸)法の合金

ここでは特によく使われる「圧延(展伸)法」の規格について説明します。
圧延(展伸)法の合金の中では、非熱処理合金と熱処理合金があります。
圧延(展伸)法には非熱処理合金と熱処理合金があります

圧延法のアルミニウム合金は4桁の数字の国際アルミニウム合金名が使用されています。
市販されている板厚は0.8、1.0、1.2、1.5、2、3、4、5、6、7、8、10、12、15、16、18、20、22、25、30、35、40、45、50mmです。
これも考慮に入れると設計がしやすいです。

・1000系(純アルミニウム)
アルミニウム純度99.00%以上
加工性、耐食性、電気伝導性、熱伝導性は良いですが強度が低いです。
導電材やアルミ箔などにしようされ、構造物・機械部品としては適しません。

・2000系(Al-Cu系合金)

ジュラルミン、超ジュラルミン等が有名。
鋼材に匹敵する高強度材。構造用や鍛造材として使用されるが銅を含み耐食性に劣ります。
溶接性も他に比べて劣ります。
切削加工等で使われます。


A2017:ジュラルミン
A2024:超ジュラルミン

加工により歪みが出る2000系よりも、強度が強く内部応力が小さい7000系が使われることが多いです。

・3000系(Al-Mn系合金)
Mnを添加で1000系の強度を上げたものの位置付けです。
A3003はMn添加で純アルミウムの加工性・耐食性を落さずに強度を少し増加させたものです。
A3004、 A3104は更に強度を高めています。

・4000系(Al-Si系合金)

熱膨張係数が低く、耐熱性・耐摩耗性が良好です。

鍛造などで加工していきます。
主にA4032、A4043があります。

・5000系(Al-Mg系合金)

耐食性や溶接性がよく、切削加工等でも使われます。
用途はとても多く、アルミニウム合金の中で最もバランスが取れた合金になります。

A5052:機械部品に最も多く使用されているアルミニウム合金です。

・6000系(Al-Mg-Si系合金)
強度、耐食性が良好で構造材に多用され、切削加工等で使われます。
主に
A6063、
A6061があります。

・7000系(Al-Zn-Mg系合金)

アルミニウム合金中で最高強度です。
切削性も良いが、やはり耐食性溶接性に難があります。 
切削加工等で使われます。


 A7N01,A7N01 :溶接構造用合金。比較的高い強度と溶接部の強度は常温放置で母材近くまで回復します。
A7075:超々ジュラルミン

構造物・機械部品に使われるのは2000系、5000系、4000系、6000系、7000系

鋳造法の合金

以下、鋳造法の合金規格になります。
特徴としては圧延(展伸)法の合金とほぼ同じなので名称のみ記載します。
砂型類鋳物用とダイカスト用に分類されます。

・砂型類鋳物用

名称に「AC」が付く

AC1C: Al-Cu系

AC2A: Al-Cu-Si系

AC3A: Al-Si系

AC4A: Al-Si-Mg系

AC4B: Al-Si-Cu系

AC4D: Al-Si-Cu-Mg系

AC5A: Al-Cu-Ni-Mg系

AC7A : Al-Mg系

AC8A: Al-Si-Cu-Ni-Mg系

AC9A: Al-Si-Cu-Mg系

・ダイカスト用

名称に「ADC」が付く

ADC1: Al-Si系

ADC3: Al-Si-Mg系

ADC5: Al-Mg系

ADC6: Al-Mg-Mn系

ADC10: Al-Si-Cu系

ADC14: Al-Si-Cu-Mg系

様々な分野でとても多くアルミニウムは使われています。
今後ももっとより良いアルミニウム合金ができてくると思います。

銅及び銅合金についての説明もしていますので見てみてください。

[参考]アルミニウムの生産

アルミニウムはボーキサイトを原料として電気分解によって作られる為、大量の電力を消費します。
対して、アルミニウム屑からリサイクルして地金とする場合は、融点が約600℃と低く電気炉での溶融も可能であり、設備コストやエネルギーが少なくて(新造のわずか3%)済む為、リサイクル率も高くなっています。

アルミニウム材の生産

アルミニウムは加工しやすい金属であり、鋳造、圧延、押出などの方法によって形状を変えることができます。また、溶接や接着にも適しており、様々な製品の製造において幅広く利用されています。

鋳造法

砂型鋳造法:鋳物砂で作った型にアルミ溶湯を流し込み、冷却凝固後に砂型を壊して製品を取り出す方法です。古くから利用されている鋳造法です。砂型は容易にでき、大きな製品も簡単に生産できます。
金型鋳造法:鋳鉄や耐熱合金で作られた鋳型を用います。アルミ溶湯の重力での鋳造の為、重力金型鋳造法とも呼ばれます。鋳物の表面が綺麗で、精度の良い鋳物ができます。
シェルモールド法:けい砂に熱硬化性樹脂を混ぜて、鋳物砂とし、焼き付けた薄いシェルを鋳型としたものになります。金型鋳造と同程度の精度が得られます。
ダイカスト法:大型の物は少ないが、大量生産に向いている方法です。耐熱鋼で作る複雑な形状の金型にアルミ溶湯を高速高圧で注入します。

圧延(展伸)法

圧延加工法:最も重要な展伸加工法で主に板材の製造方法。鋳造組織を破壊し、均一で優れた性質に変えることができます。
押出加工法:最も重要な展伸加工法でアルミニウムやアルミニウム合金を400~500℃の熱間でダイス穴より押出す加工法。中空品や複雑な断面形状を連 続して、一回の工程で容易に作ることができます。また精度の厳しいものでも可能です。
引抜加工法:素材を加熱しない室温でダイス穴より引抜く、冷間加工法。素材は押出しと同じです。一般的に押出しよりも、細くて寸法精度の良い、表面の綺麗なものを作ることができます。主として管や棒が作られ、引抜き材と呼ばれます。
鍛造法:鍛造も圧延に含まれます。素材を油圧または水圧プレス・ハンマーなどで鍛錬し、粘り強さを与えながら成形していく方法です。自由鍛造と型を用いる型鍛造に分けられます。

[参考]アルミニウムの設計における考え方

アルミニウムは設計においても重要な役割を果たしています。その軽量性や柔軟性から、携帯電話やタブレット端末、家電製品などのデザインに活用されています。また、熱伝導性が高いため、冷却要素としても利用されることがあります。

表面処理

内側のアルミニウムを保護する目的で、アルマイトで知られる陽極酸化皮膜処理ができます。大気中で酸素と結合し、自然に表面に酸化アルミニウム皮膜を生成します。自然生成の皮膜は薄い為、人工的に厚くて強固な皮膜を作る電機化学表面処理をする必要があります。

軽量化

アルミニウムは鉄の約35%の比重のため、金属を用いたいが比較的安価で軽くしたい場所へ用いられます。

放熱・吸熱

アルミニウムの熱伝導率は鉄の約3倍のため、熱を放出したい・吸収したい場所に用いられます。

加工性

アルミニウムの板は簡単に折り曲げたり、円筒状にすることが可能です。簡単な手曲げから、プレス、ロールベンダなどの機械曲げまでさまざまな方法があります。

絞り性

アルミニウムの優れた展伸性を生かした加工方法で、深絞り加工、へら絞り加工などがあります。飲料用アルミ缶などはこの方法で作られます。

切断・切削性

機械的に切断するには、シャー、丸のこ、ジグソーなどを使用します。薄板を効率よく切断するには。プラズマアークやティグアーク、レーザビーム、などによる溶断やウォータジェットがあります。エンドミル、カッター、バイト、ドリルなどの機械工具で削るフライス盤、旋盤、マシニングセンタ等一般同様の工作機械が使用できます。但し、適した切削条件が必要であり、切削用材を使用するべきです。

研削性

鏡面研削加工により、鏡に様な高い反射性を得ることができます。磁気ディスクや複写機用感光ドラムなどの製品があります。

電気的加工性

一般の金属・鋼と同様に、放電加工機やワイヤカット放電加工機の様な、電気的加工も可能です。加工条件は一般加工との違いがでます。特に電極側は消耗が激しくなるので注意が必要です。

下記はアルミニウムについて詳しく載っています。
また、材料としての今後も載ってますので参考としてみてください。

カテゴリー
開発の流れ

開発の流れ〜システムの開発プロセスと工程の流れ〜

開発の流れ〜システムの開発プロセスと工程の流れ〜

製品開発等をする上で、どのような流れ(フェーズ)に沿っていくか一般的な例で説明していきたいと思います。
開発行為はとてもリソースが必要になります。詳しくは開発設計する前にをみてください。
これから説明する内容はソフトウエア面、ハードウエア面の両方で使える開発プロセスです。

まず、なぜ開発行為に流れがあるのかと言いますと「効率化を図る」ためです。リソースをできる限り抑えながら最良のものを作成するに越した事はありません。これから説明していくのはその一般的な例になります。実際にそのように開発を進めなくても簡単にできてしまう内容や、開発の規模や開発品目によってはもっと良い方法もあると思います。それは各々の開発の中で見極めていってください。

開発概要

個人レベルで開発する内容や小規模・短期間の開発では段階を踏んで開発プロセスを進む必要はありません。
先ほども言いましたように、リソースをできる限り抑えつつ方向性を間違わないやり方として開発プロセスがあります。

開発の方法としても、開発当初から開発完了まで全く問題がなければ開発プロセスなども色々なものが出てきません。
この限りではありませんが、開発していく中で以下のような部分が出てきてしまうため、設計自体を検討する機会が必要になります。

・形にしてみないとわからない部分
・テスト・評価してみないとわからない部分
・実際に使用してみないとわからない部分
・評価した後に原理的に実現できない部分
・顧客の要望が変化した部分

開発プロセスの前に

PDCAサイクル

PDCAサイクルはより良くしていくことでは非常に重要になる内容です。
PDCAループ PDCA Plan:計画を組み、Do:実行をする、Check:評価をしてAct/Action:フィードバックを行う

管理業務を円滑に進める手法の一つですが、個人レベルの進め方でも使えます。
以下の1から4を繰り返し行い改善・改良をしてスパイラルアップしていくサイクルです。

これらをすることで、やってきた内容を次にフィードバックすることができるため改善・改良に非常に役に立ちます。
回数を重ねることでより良くなっていきます。

1.Plan(計画・設計)
2.Do(実施・実行)
3.Check(点検・評価)
4.Act/Action(処置・改善)

開発の流れを説明していきますが、ループになっている部分は全てPDCAサイクルになっていると言っても過言ではありません。
開発においてこのサイクルはどの点においても使用でき効果を発揮します。
きちんと計画を立てて、実行し、見直しをして、改善をしていきましょう。

PDCAサイクルは開発だけでなく、より良くしていくためには非常に重要なサイクル

DR(デザインレビュー)

何回か言っていますが、開発行為はとてもリソース(人、モノ、金、時間)を非常に使います。間違った方向に突き進んでしまうととても疲弊してしまいます。そのために、一度立ち止まって方向が合っているか確認する必要があります。それをDR(デザインレビュー)と呼びます。
集団的知性を働かせて個人や特定グループでは見つけられなかった点を見つけていきます。

開発の振返りのしにくいウォータフォールモデル開発では、多用されます。
ですが、アジャイル型開発でも全体把握する時や開発メンバー以外を集めて開発方向の検討をすることもあります。
確認する上では、重要なポイントとなるのでなるべく機会を持ちましょう。

・DR(デザインレビュー)とは
各開発のポイント(開発プロセスの次の工程にいく前)で基準を満たしているか、方向性が間違っていないかを企画、開発、設計、製造、品質、購買が一堂に集まって次のステップに進んで良いか決めることです。

開催のタイミングは各開発の区切り(次のステップ前)がほとんどですが、重要度に応じて開催を飛ばしたりしているところもあります。

・DRで決定する内容
そのプロセスで行ってきた内容はポイントでの基準をみたしているか?
残課題は極力潰しているか?
方向性、目的が間違っていないか?

特に残課題は後回しにすると次のプロセスで修正する労力は倍になります。
極力、自工程完結で進めていきましょう。

・DRを進める上でのポイント
DRを進めるポイントと言いましたが、どんな会議でもポイントは同じです。
会議というのはとても会社として費用がかかります。(人数分の工数が会議時間分、必要なため)

どんな会議でも7人以上になると、1人増える毎に会議の決定率10%低下するという論文もあります。
決定率も下がりますが、参加者の責任感も落ちます。
発言しない者がいるということは異常です。
何かしらの考えを話してその中での最善策・妥協点を見出して行かないといけません。

また、複数の部署のスペシャリストを集めます。
開発を進めていく上で問題がないか、前と変化した点で参加部署の関係項目に問題がないかを再確認します。

・決定者、責任者を決めて会議中に即判定を下す。
・事前に内容を理解する、事前に問題点を挙げておく。
・なるべく10人以上集まらない(事前資料で問題点を挙げておく)する必要があります。
・複数部署を集めて行う

・資料の上でのポイント
資料が多くなりがちですが、必要最低限の資料づくりを心がける必要があります。
多すぎても理解できないし、情報を正確に伝えることが資料の目的です。
また、次に進んで良いか判断する場所ですので嘘の資料で固めてしまうと会社に大損害を与える可能性があります。
その辺を注意して資料を作り、発表してください。

・資料内容に嘘をつかない
・発言者が考える懸念点、問題点の提示

問題点発言・提案でのポイント
揚げ足をとるような発言をしたりする人(人は欠点を見てとるのが得意)が必然的に多くなりがちですが、なるべく短時間で建設的な話し合いをするように第一声は肯定的なことを心がけましょう。
詳しくはDESC話法をお読みください。

DRは重要なポイントです。
開催自体の必要性を出席者一人一人がしっかり持って望まないと、決定方向と会社の進むべき道が違ってきます。

DR(デザインレビュー)は一度立ち止まって本当に必要な開発か見直すポイント

こちらも開発プロセスを詳しく書いてあります。
よかったら参考にしてみてください。
本当に使える開発プロセス

開発の手法

開発の手法として3種類の開発プロセスを説明します。
一概にこれがいいとは言えず、それぞれ特徴があります。

最近はテストプロセスをとても重視し、手直しを極力避ける方向にあります。
そのため、ウォーターフォールモデルよりもアジャイル型が良いとされてきました。
ですが、ウォーターフォールモデルにテストプロセスを取り入れたV、W字モデル開発も頻繁に行われてきています。

・ウォーターフォールモデル開発(V字モデル開発)(W字モデル開発)

「要求定義」「概要設計」「詳細設計」「開発」「テスト・評価」などの作業工程にトップダウンで分割します。
特定の顧客がいない場合や顧客のやりとりは最初のみの場合がほとんどです。
ウォーターフォールモデル「要求定義」「概要設計」「詳細設計」「開発」「テスト・評価」などの作業工程にトップダウンで分割します。 特定の顧客がいない場合や顧客のやりとりは最初のみの場合がほとんどです。

段階を踏んでの開発の流れは管理上とてもやりやすいので、昔から使われてきた開発の流れになります。
リソースや期間も仕様変更がなければ、概算で予想がつきます。

・V字モデル開発
V字モデル開発、W字モデル開発はウォーターフォールモデル開発の変化形になります。
これらは開発プロセスですが、厳密に言いますとテストプロセスを組み込んで出戻りを少なくしようとするものです。
それを説明していきます。

「要求定義」「概要設計」「詳細設計」「実装」「テスト・評価」との流れでした。
ここでの「テスト・評価」をより具体的に上位工程の対になるような「テスト・評価」を行っていくことです。
流れとして小さなテストから大枠に移るように「テスト・評価」を行なっていく形が、開発プロセスの逆行しているように見えるためVモデルまたはV字モデルと呼ばれます。

ここでの開発の流れとしては
「要求定義」→「概要設計」→「詳細設計」→「実装」→「単体テスト」→「統合テスト」→「システムテスト」→「受入れテスト」
のような形になります。(項目は開発により変化します)
Vモデル開発 流れとして小さなテストから大枠に移るように「テスト・評価」を行なっていく形が、開発プロセスの逆行しているように見える、VモデルまたはV字モデルと呼ばれます。

これが範囲の大小で並び替えると以下のようにV字型になります。
また、それぞれの実装までの検討内容の動作確認を各テストプロセスで行うため、ほぼ対になります。
Vモデル2 項目の影響範囲を大小で分けると、テストプロセる部分では徐々に大きい範囲に向かいVの形になる

・W字モデル開発
先ほども言いましたが、W字モデル開発はウォーターフォールモデル開発の変化形になります。
V型と違い更にテストプロセスが細かく分かれています。

理由としてはV字モデルでは実装及び実装以前の検討内容に誤りがあった場合でも、実質の確認はかなり後になってしまうため出戻りがとても大変になります。
工数もとてもかかってしまうため事前にそれらを潰していこうとする考え方で行う開発・テストプロセスです。

先ほどまでのV字モデル開発の流れの例としては
「要求定義」→「概要設計」→「詳細設計」→「実装」→「単体テスト」→「統合テスト」→「システムテスト」→「受入れテスト」
でした。

W字モデル開発の流れの例としては
「要求定義」⇆「要求テスト」→「概要設計」⇆「設計テスト」→「詳細設計」⇆「詳細テスト」→「単体実装」⇆「単体テスト」→「統合実装」⇆「統合テスト」→「システム統合」⇆「システムテスト」→「導入」⇆「受入れテスト」
のような形で検討内容及び実装の範囲でテストを入れる形になります。(項目は開発により変化します)

W字モデル開発の流れとしては 「要求定義」⇆「要求テスト」→「概要設計」⇆「設計テスト」→「詳細設計」⇆「詳細テスト」→「単体実装」⇆「単体テスト」→「統合実装」⇆「統合テスト」→「システム統合」⇆「システムテスト」→「導入」⇆「受入れテスト」

繰り返しになっている部分はPDCAサイクルで回ってフィードバックをします。
それにより精度を高めていきます。

V字モデルと同様に範囲の大小で並び替えると以下のようにW字型になります。
また、それぞれの実装までの検討内容の動作確認を各テストプロセスで行うため、ほぼ対になります。
V字モデルと同様に範囲の大小で並び替えると以下のようにW字型になります。 また、それぞれの実装までの検討内容の動作確認を各テストプロセスで行うため、ほぼ対になります。

メリット

・工程の終了がはっきりするため、成果物が管理しやすい
・管理面から言うと管理しやすいモデル
・顧客要求と開発機能が初期段階で明確になる
・当初の要求仕様通りに製品が出来上がる
・工程ごとに専門家が分かれているため、工程内の品質に差が出にくい

デメリット

・各上位の工程で間違いがない事が大前提
・各上位の工程で間違いがあると問題が徐々に大きくなる
・リソースを多く必要になりがち
・顧客要求が変更になった際に対応しにくい 
・開発完了まで製品がリリースできない

製品が設計図から一気に具現化する形

・スパイラルモデル開発

トップダウン設計とボトムアップ設計の長所を生かした開発工程のモデルです。
設計とプロトタイピングを繰り返して開発していく手法です。
ただしアジャイル型と違い全体機能を網羅しつつ現在の全体でPDCAを回して開発していきます。
顧客とのやりとりは概要から徐々に明確になるように密接に行うことが多いです。
1回のループ期間は6ヶ月から2年程度であることが比較的多いです。

ここでのスパイラルモデル開発の流れの例としては
「要素設計」→「試作設計」→「量産試作設計」→「量産設計」
のような形になります。それぞれの中でサイクルを回していきます。(項目は開発により変化します)
トップダウン設計とボトムアップ設計の長所を生かした開発工程のモデルです。 設計とプロトタイピングを繰り返して開発していく手法です。

メリット

・プログラムの規模やスケジュールなどの予測がしやすい。
・顧客の要求仕様の変更などに対応しやすい。
・設計工程が伸びて実装に費やせる期間が短くなるということが起きにくい。
・アジャイルモデルよりも比較的大きな規模では管理しやすい。

デメリット

・機能に対する品質が曖昧になりがち 
・開発完了まで製品がリリースできない

製品がぼやけていたものから徐々に具現化する形

・アジャイル型開発

迅速に適応するようにソフトウェア開発を行う開発手法群の総称です。
ですが、ソフトウエアだけでなくハードウエアでもかなり有効です。
イテレーションと呼ばれる短い期間で細かな機能・部位に分けてPDCA(設計→試験→調査→改善)を回すことで、リスクを最小化しようとします。
1つの反復の期間は、1週間から1ヶ月くらいであることが比較的多いです。

ここでのアジャイル型開発の流れの例としては
「機能/部位」→「機能/部位」→「機能/部位」→「機能/部位」
のような形になります。それぞれの中でサイクルを回していきます。(項目は開発により変化します)
その中で顧客とのやりとりは、機能・部位ごとにかなり密接に行うことが多いです。
組合せを行う際はリグレッションテスト(回帰テスト:使えていた機能が使えなくなるバグを確認)をしなければなりません。

以下は複数同時に並列に行いながらアジャイル型開発の流れになります。
単体の場合はこの図の1つのラインになります。

イテレーションと呼ばれる短い期間で細かな機能・部位に分けてPDCA(設計→試験→調査→改善)を回すことで、リスクを最小化しようとします。  1つの反復の期間は、1週間から1ヶ月くらいであることが比較的多いです

メリット

・不具合等の出戻り工数が減らせる
・製品の機能に対する品質が保てる
・顧客の要望か通り製品になりやすい
・仕様変更から修正までが対応が早い
・納期に合わせて機能を制限しつつリリースできる

デメリット

・進捗がわかりにくく全体管理がしにくい
・個々で仕様変更時の対応力が求められる
・顧客も含めて製品に最大限にしようとする意識が求められる
・コミュニケーションを密に取らないと対応ができない
・試験(テスト)方法がいい加減だと、品質が保てない
・組み合わせのたびにリグレッションテストをしないといけない
・当初の要求仕様と異なることが多い
・大きな規模になると機能ごとにチームが分かれる。
 そのため、工程単位の専門家が分散するため、各工程の品質に差ができやすい。

製品が徐々に機能追加・部位追加していく形

開発の手法でどれを使えばいいの?

下記に説明する限りではありません。
所詮開発プロセスなので自社の強み、優先事項等を考慮すると、ここに記載した内容と全く異なることもあります。

・顧客の要求からの機能を制限できる場合
(納期・コスト優先、ただし導入した機能に対しての品質を求められる場合)
 →アジャイル型開発

・顧客の要求から納期・コストを制限できる場合
(導入機能優先、納期とコストは当初の見積もりと差が出やすい)
 →スパイラルモデル開発

・自社開発で自社の技術を高めたい、新製品を出したい場合
(リソースが多い、開発規模が大きい場合、管理をしっかりしたい場合、特定の顧客がない場合)
 →ウォーターフォールモデル開発(V字、W字モデル含む)

開発プロセスは所詮開発の流れの一例になります。
それぞれに特徴があるため、それに合わせた開発方法や自社の開発方法の強みを最大限活かせるように開発プロセスも踏んでいきましょう。

開発プロセスは所詮開発の流れの一例。自社の強みの開発方法を見つけていくのが一番良い

こちらも開発プロセスの参考になります。

カテゴリー
制御設計

制御設計2 シーケンス制御とラダープログラムの基礎と工夫

ファクトリーオートメーション(FA)のシーケンス制御とラダー回路の基礎と工夫

ファクトリーオートメーション(FA:生産工場)の設備の多くはシーケンス制御を使用しています。その制御を行う制御装置をPLC(プログラマブルロジックコントローラ:通称シーケンサ)と呼ばれるものを使用しており、それらはラダー回路(一部言語記述もある)で記述するものが多いです。シーケンス制御とラダー回路について説明していきたいと思います。

シーケンス制御とは?

シーケンス制御とはシーケンス動作をするための制御で、「決められた順序・やりとりで制御の各段階を踏んで進めていく制御」のことです。
「決められた一連の動きを忠実に守ってひたすら動く制御」で生産工場で非常に使われています。
また、生産工場ではその生産特有の設備・動きをしなければならず、制御の仕様変更や汎用性が求められることが多いため比較的記述しやすいラダー回路で記述するタイプのPLCが多いです。

ラダー回路とは?

先ほども述べましたが、ファクトリーオートメーション(FA)では仕様変更や汎用性が求められることが多いです。
そんな中、ラダー回路はビジュアル的にプログラムをできるようにしたビジュアルプログラムの一種です。

例としては以下のような絵を組み合わせて回路を作りシーケンス動作にしていきます。
ただし、このビジュアルも細かな設定や機能はPLCメーカーにより異なります。
・a接点(ONで回路通過)
a接点
・b接点(OFFで回路通過)
b接点
・立ち上がりパルス接点(ONした1周期のみ通過)
立ち上がりパルス
・コイル(回路が繋がるとON)
コイル
・NOTコイル(回路が繋がるとOFF、回路が繋がっていないとON)
NOTコイル

ラダー回路作成前に

ラダー回路を作成する上で注意してもらいたいことがいくつかあり、それを踏まえることでラダー回路を記述する上でのメリットがたくさん出でくるので説明していきます。

入力と出力

PLCは基本的に外部へのやり取りとして入力と出力がリレーとしてシーケンス制御されます。
そのため、PLCにはそれぞれハード的な接続先があります。

・入力:センサ、スイッチ、エンコーダーなど
・出力:バルブ、ランプ、モーターなど

ラダー回路内では入力・出力をラダー回路名で使用していきます。
この記事の中では
入力:R2000, R2001
出力:R50000, R50001
としていきます。
それ以外にMR001等を使用していますが、内部のスイッチ(PLC内の制御)です。

これらはPLCのメーカー、ラダー回路のソフトウエアによって違ってきます。
入力・出力の挙動は直接動作の制御に関係していきます。

プログラムを作っていく基本ですが、外部とのやりとり部分は極力少なく、シンプルを心がけてください。
分かりやすくなり、ヒューマンエラーも低減できます。

ラダー回路内の入力・出力の使い方は極力シンプルに

ラダー回路の動作の流れ

PLCや作成ソフトウエアによりますが、最近の傾向としてラダー回路を記述するプログラム図面を複数持てるものが多くなってきています。
設定によりその順序を変えることができますが、その順序によりプログラムを実行していきます。また、プログラム図面内も上から順にラダー回路を実行していきます。

以下はプログラム図面の例です。
プログラム順
 ・Input :外部入力から受け取り処理のプログラム
 ・Input_work :入力からの変換のプログラム
 ・Main_Routine :主の制御プログラム
 ・Exception_Routine :例外処理プログラム
 ・Output_work :出力への変換プログラム
 ・Output :外部出力への処理プログラム
としました。
この場合上から順に
「入力」→「入力処理」→「主制御」→「例外制御」→「出力処理」→「出力」
となっています。

入力から制御を経由して出力に流れているため、入力があったらすぐに処理を行い出力まで出ます。(1周期内で処理が終了する)
この順番が曖昧だと、制御から出力まで数周期に渡ってしまい出力までに時間がかかってきます。
(周期はPLCやプログラム量により異なります。1周期:数μs〜数十ms程度)

「出力処理」→「出力」→「主制御」→「例外制御」→「入力」→「入力処理」の順の場合、
入力があったら
「入力」→「入力処理」<次の周期待ち>「主制御」→「例外制御」<次の周期待ち>「出力処理」→「出力」
になってしまいます。

プログラム図面に記述するラダー回路はそのプログラムの上から下に向かって実行していきます。
(一番下まで実行が終わったら、次のプログラム図面の一番上から実行していきます)

そのためラダー回路記述順も同様に「入力」→「制御」→「出力」というように上から記述しましょう。
以下はプログラム図面であり、ラダー回路を記述するスペース
プログラム図面内

また、プログラム図面単位でスキャン周期(プログラム実行周期)を分けることもできることもできます。
分けることで、制御装置の負荷を下げスキャン周期を早くできる等があります。
メーカーによって異なるため、制御装置の取扱説明書で確認してください。

プログラム順、プログラム周期を考えて設定・記述することで周期遅れ等を防止できる

基本的なラダー回路

ラダー回路の基本的な使い方を説明していきます。

AND回路とOR回路(直列回路、並列回路)

基本中の基本の回路になります。

・AND回路(直列回路とも言われる)
 横並びにa接点つなげてコイルに渡します。
 条件が全て揃わないと回路が最後まで繋がりません。
 この場合、「R2000:ON」,「R2001:ON」のみ「MR001:ON」です。

スイッチ1
(R2000)
スイッチ2
(R2001)
コイル
(MR001)
OFF OFF OFF
ON OFF OFF
OFF ON OFF
ON ON ON

・OR回路(並列回路とも言われる)
 縦並びにa接点つなげてコイルに渡します。
 条件が1つでも揃えば回路が繋がります。
 この場合、「R2000:ON」または「R2001:ON」なら「MR001:ON」です。

スイッチ1
(R2000)
スイッチ2
(R2001)
コイル
(MR001)
OFF OFF OFF
ON OFF ON
OFF ON ON
ON ON ON

And回路Or回路

条件が揃って動作はAND回路、どれか1つでもの動作はOR回路

NAND回路とNOR回路

NAND回路とNOR回路はそれぞれ、AND回路とOR回路の反対(NOT)の意味になります。
そのため、コイルの動作も全く逆になります。
まず、NAND回路の説明をします。

・NAND回路
 下の表を見てわかると思いますが、スイッチ全てがONの時にコイルがOFFになります。
 そのため、並列でスイッチをb接点にすることで作れます。
 AND回路の動作の逆になります。そのため、AND回路を作りコイルをNOT回路にしても可能です。

スイッチ1
(R2000)
スイッチ2
(R2001)
コイル
(MR001)
OFF OFF ON
ON OFF ON
OFF ON ON
ON ON OFF

Nand回路

・NOR回路
 下の表を見てわかると思いますが、スイッチ全てがOFFの時にのみコイルがONになります。
 そのため、直列でスイッチをb接点にすることで作れます。
 OR回路の動作の逆になります。そのため、OR回路を作りコイルをNOT回路にしても可能です。

スイッチ1
(R2000)
スイッチ2
(R2001)
コイル
(MR001)
OFF OFF ON
ON OFF OFF
OFF ON OFF
ON ON OFF

NOR回路

NAND回路はAND回路の逆、NOR回路はOR回路の逆の挙動をする

XOR回路

排他的論理和回路とも呼ばれています。
あまり使うことはないかもしれませんが、以下の表のように動作は表せます。
スイッチ1もしくはスイッチ2のどちらか一方のみONの時にコイルがONする(排他)回路になります。

スイッチ1
(R2000)
スイッチ2
(R2001)
コイル
(MR001)
OFF OFF OFF
ON OFF ON
OFF ON ON
ON ON OFF

Xor回路

XOR回路は排他的な制御で使用される。

自己保持回路(セルフホールド回路)

自己保持回路の説明をします。
セルフホールド回路とも呼ばれ、一度押されるとスイッチを離しても(スイッチOFF)してもコイルがONし続ける回路です。
自己保持回路

動きの流れを説明します。
スイッチを押すとコイルまで繋がりコイルがONします。そうするとコイルのスイッチもONします。
自己保持回路2

次の周期で前回の周期でコイルがONであったため、コイルのスイッチがONになります。
そのスイッチがコイルまで繋がってコイルがONし続けます。
この周期の時にスイッチR20000のON/OFFは関係ありません。
自己保持回路3
自己保持回路では、一度コイルがONするとOFFできないため、ここではコイルOFF用のスイッチMR002をb接点で回路に入れています。
コイルがONしている時にMR002をONするとコイルがOFFします。
デッドロック(コイルがOFFできなくなる)で制御できなくなることがないように注意しましょう。

また、コイルを使用する点での注意点ですが、2重コイルに注意しましょう。
同じ出力名のコイルが2つ以上あると正常に動作しません。

一度のスイッチ操作でコイルをONし続けられる。ただし、デットロックに注意

セット・リセット回路

セット・リセット回路は自己保持をしてくれる回路です。そのため、ONはセット、OFFはリセットで行います。
自己保持回路と描き方が異なるぐらいで同じです。
セットリセット回路
デッドロック(コイルがOFFできなくなる)で制御できなくなることがないようにリセットを入れたりして注意しましょう。

セット・リセットの出力を使用する際には、セット出力を入れたらリセット出力も同時に作るようにしましょう。
そうすることで、デッドロックを予防できます。また、動作入れ忘れを防止できます。

自己保持と同じ描き方が異なる。同じように、デットロックに注意

オルタネート回路(フリップフロップ回路)

オルタネート回路はスイッチを押すたびにON/OFFを交互に繰り返します。
フリップフロップ回路とも呼ばれます。
オルタネート回路

OFF→ONに移る動きを説明します。
スイッチをONすると立ち上がりパルスで押した1周期スキャンのみONします。そのタイミングでコイルがONします。
オルタネート回路2

次の周期でスイッチの立ち上がりパルスは切れます。
ですが、前の周期でコイルがONしているためコイルのスイッチがONして自己保持がかかります。
オルタネート回路3

スイッチを押すたびにコイルのON/OFFが切り替わる

シーケンス制御として以下の本が詳しくわかりやすいです。
よければ参考にして見てください。
図解入門よくわかる最新シーケンス制御と回路図の基本 (How‐nual Visual Guide Book)

基本的な段階回路

プログラムをラダー回路で記述する際に段階的にシーケンス制御をしていくと思います。
段階的に制御することで、制御が次々と進んでいきます。
その際の段階的なシーケンスの動きについて簡単に説明していきます。

自己保持回路の段階回路

自己保持回路の段階回路として、一例を下に載せました。
作りは色々パターンがありますので、自分のやりやすいようにしてもらえればいいと思います。
制御の流れとして、
「R2000スイッチON」→「1段階目処理」→「R2001スイッチON」→「2段階目処理」→「R2002スイッチON」→「処理終了」
になります。

1段階目処理だけで処理をさせたい場合は「MR001:a接点」「MR002:b接点」のAND回路で動くように次に繋げればいいです。
自己保持回路の段階回路

セットリセットの段階回路

先ほどの自己保持の段階回路のセットリセットで作った等価回路になります。
制御の流れとしても同じで、
「R2000スイッチON」→「1段階目処理」→「R2001スイッチON」→「2段階目処理」→「R2002スイッチON」→「処理終了」
になります。
こちらも1段階目処理だけで処理をさせたい場合は「MR001:a接点」「MR002:b接点」のAND回路で動くように次に繋げればいいです。
セットリセット回路の段階回路
セットリセット回路の段階回路2

段階回路で制御を進めていき一連の動作とする

タイマー回路

意外と要望が多かったタイマー回路について追記して行きますね。
今回は基本的なタイマー回路について話します。

基本的なタイマー回路は大きく分けて3つあります。
・オンディレータイマー回路
・オフディレータイマー回路
・ワンショットタイマー回路

簡単に説明して行きたいと思います。

オンディレータイマー回路

簡単に言いますと、スイッチONしてから一定時間経過後にコイルがONする回路です。

用途としては
・タイムラグでONさせたい動作
・異常監視  など

回路を描くと以下になります。
オンディレイタイマー回路

タイマコイル
これはタイマコイルでPLCメーカーによって見た目が異なります。

この場合は100msタイマでカウント10になります。
そのため1秒経過するとT0スイッチがONします。

R2000がONした一秒後にMR001のコイルがONします。

オンディレイはコイルがONするまでに一定時間経過する

オフディレータイマー回路

簡単に言いますと、スイッチOFFしてから一定時間経過後にコイルがOFFする回路です。

用途としては
・タイムラグでOFFさせたい動作
・安全監視  など

回路を描くと以下になります。
オフディレイタイマー回路

先ほどのオンディレイタイマー回路と同様に、100msタイマでカウント10になります。
そのためスイッチOFFした後に1秒経過するとT0スイッチがONします。

R2000がOFFした一秒後にMR001のコイルがOFFします。

オフディレイはコイルがOFFするまでに一定時間経過する

ワンショットタイマー回路

簡単に言いますと、スイッチONしたらコイルがONし、スイッチ関係なく一定時間経過後にコイルがOFFする回路です。

用途としては
・時間基準で動作させたい動作
・時間監視  など

回路を描くと以下になります。
ワンショットタイマー回路

先ほどと同様に100msタイマでカウント10になります。

この回路はスイッチONでコイルがONします。
これはスイッチの立ち上がりで自己保持がかかります。

その後はスイッチ動作に関係なく、一秒後にコイルがOFFします。

R2000がONしたらMR001がONをして、その一秒後にMR001のコイルがOFFします。

ワンショットタイマーはコイルがONしたらコイルがON、一定時間経過後にOFFする

ラダー回路の工夫

私がラダーを描く際に少し注意・工夫している点を少しだけ説明します。
・並列回路の見にくさ軽減
・コマンド、インターロック、出力と分ける
・出力でソレノイドバルブ制御の場合

並列回路の見にくさ軽減

以下のように並列回路を書きます。
ですが、どんどん並列回路のスイッチが増えると縦に回路が伸びてビジュアルプログラムではとても見にくくなります。
並列回路の工夫

その場合、以下のように等価回路が作れます。
並列を直列にする場合AND回路さらにNOT回路にすることで同じ回路になります。
すこしわかりにくい形になりますが、プログラムとしてはとても見やすくなります。
並列回路の工夫

ラダー回路を極力見やすくして間違いを低減する

誤動作防止

入力及び出力は極力シンプルにするのは基本と言いました。(ヒューマンエラー、バグの防止)
それ以外にも注意点があり、基本的に誤動作防止を考えて描いていきます。

・入力をそのまま使用しない。
入力をそのままするのではなく、誤動作防止を踏まえて使用する。
誤動作が起こらないと思われる場所はそのまま使用しても問題ないと思います。

センサで待機側、動作側2点取っている場合、そのセンサ2点の状態から待機側、動作側を判断してプログラムに使用します。
センサ、スイッチ等が壊れないとは言い切れません。
故障の際にプログラムを進めさせないためです。

・動作コマンドを出力にそのまま使用しない。
こちらも誤動作が起こらないと思われる場所はそのまま使用しても問題ないと思います。
インターロック(動作が可能な状態を監視・判断)するのを使用します。

常時、出力の動作に対して状態を監視・判断を作っておきます。
コマンド+インターロックで出力に渡します。

入出力は誤動作防止を考えて利用・接続をする

出力でソレノイドバルブ制御の場合

シングルソレノイドやダブルソレノイドを出力で使用する場合の工夫点です。
ダブルソレノイドバルブを制御する場合、2点出力が繋がっていると思います。
制御状態により、両方OFF、片一方ONがありますが通常両方ONはあり得ません。
そのため、両方ONを制御として作らせない方法です。

また、シングルソレノイドバルブの制御をダブルソレノイドバルブのプログラムを作っておくと、シングル→ダブルと変更になった際にプログラム修正が容易になります。

・自己保持回路
特徴として、R50000,R50001が同時にONしないようになっています。
例えばMR000(MR010,MR011がON状態として)がONした場合MR1000が一度ONします。
その周期ではR50000がONをせず、R50001の回路を切ります。(R50000,R50001がOFFする)
次の周期でR50001がONします。

ここでMR100(両方出力OFF)を作っているのは両方を切りたい場合のスイッチになります。
ダブルソレノイド回路

・セットリセット回路
先ほどの自己保持回路の等価になります。
同様にR50000,R50001が同時にONしないようになっています。
ただし、MR000もしくはMR001(MR010,MR011がON状態として)がONした場合R50000,R50001が両方OFFの1周期はありません。
すぐに(その周期で)ON/OFFが切り替わります。
ダブルソレノイド回路
ダブルソレノイド回路
ダブルソレノイド回路

ソレノイドバルブ制御ではダブルソレノイドで回路を作っておくと変更にすぐに対応できる

シーケンス制御として以下の本が詳しくわかりやすいです。
よければ参考にして見てください。

2017/09/27 タイマーについて追加

カテゴリー
電装・電気電子設計

電気設計1 熱に対応した電装・電気設計

熱に対応した電装・電気設計

熱に対応した電装・電気設計として電装・電気機器の制御盤及び温度の与える影響を考えていきます。
設計時の安全率等は企業によって異なると思いますので、参考程度で読んでいただけたら幸いです。

熱が与える制御部品・電子部品の影響

影響として考えられるのは以下の3つです。

・寿命
・安全
・機能

・寿命

寿命低下はある温度での化学反応の速度を予測する式である「アレニウスの式」で表せます。
グリスやオイルなどの劣化によりそれを使用している部品の寿命が低下します。
しかもその寿命は温度と比例ではなく、温度上昇に伴って加速的に寿命が縮まります。
電子部品では特にコンデンサがよく話に上がります。

・安全

基本的に熱としては肌に接触、雰囲気中の熱によるものが安全になっているかどうかになります。
 低温やけど(40℃程度のものに長時間肌を接触)
 急激な温度上昇
 高温状態と気づかない状態で接触
これ以外にも、温度上昇により有害なガスが発生する場合は考慮に入れる必要があります。

・機能

ここでは特に「マイグレーション」について説明したいと思います。
マイグレーションには熱以外にも要素はあります。そもそもマイグレーションとは、配線や電極として使用した金属が絶縁物の上を移動し、絶縁抵抗値が低下して絶縁不良により故障・機能低下がおこることです。
マイグレーションには3種類があります。

ストレスマイグレーション
 ・金属が温度変化の環境下で応力を受けることによるマイグレーション
 ・不純物等による空孔(ボイド)による,配線の抵抗増加や断線を招く現象

エレクトロマイグレーション
 ・電子運動によるマイグレーション
 ・温度が高い際におきやすい
 ・電流密度が高い際におきやすい

イオンマイグレーション
 ・電気化学的な(電解現象に伴う)マイグレーション
 ・湿度が高い際におきやすい

熱に対して制御部品・電子部品は「寿命」「安全」「機能」を考える必要がある

熱による設計として他にも細かく書かれている本の参考になります。
もっと知りたい方は参照してください。
エレクトロニクスのための熱設計完全入門

制御装置・制御盤内温度設計

熱自体の考え方は「熱の考え方」の話で説明したいと思います。
今回は機器の発熱と電装盤・制御機器箱の放熱の関係を例として説明していきます。
同様の考え方は様々なところで使えます。
制御装置・制御盤内の温度設計で考えなければならない内容は

・発熱量計算
・放熱量計算

発熱量計算、放熱量計算となります。
設計の流れとしては以下になります。
設計の流れ1

流れとしては「発熱量計算」→「(箱の)放熱量計算」をします。
ここで「発熱量」>「放熱量」の場合、「放熱設計」として換気口を設けて「自然換気放熱量計算」をします。
「発熱量−放熱量」以上の(安全率を考慮の上で)換気での放熱量があるか考えます。
それでも足りない場合は、換気口にファン等を設けた「強制換気放熱量計算」をしていきます。

それでは「発熱量」「放熱量」の計算を考えていきます。
以下は発熱と放熱のイメージ図です。
箱放熱図

・発熱量計算

機器自体の発熱量の合計になります。
発熱量がわからない場合は、機器自体の消費電流やロス電流から消費電力[W]を求めてください。
制御盤の例としてあげていきます。

・放熱量計算

箱自体からの周囲に放熱する温度になります。
盤放熱量
盤放熱値
ここでは熱通過率U[W/m2/K]を使用しています。
一般的な制御機器箱(鉄・塗装)は4〜6[W/m2/K]程度ですが環境によっても多少変化します。
ここでの箱内目標温度は制御機器の設計上の寿命計算している温度にします。
複数台の制御機器がある場合はその機器が寿命計算で算出している温度の中の最も低い温度にします。
また、有効放熱面積は箱の表面積になります。

例えば、盤内目標温度を55[℃]、大気温度40[℃]、有効放熱面積2[m2]、熱量1000[W]とすると、熱通過率5[W/m2/K]とすると
Qr=5*2*(55-40)=150[W]
箱自体からの放熱量Qr<機器の発熱量Qの場合は放熱設計が必要になります。 この例では(1000-150)=850[W]のさらなる放熱が必要になります。 熱通過率の推定の必要のない方は「放熱設計」まで飛ばしてください。 発熱量が放熱量を(安全率を掛けて)若干超える場合は、熱通過率の高い材質に変える、ヒートシンク等で有効放熱面積を増やすなどの対応が必要になります。 それでも発熱量が超えている場合は次に説明する「放熱設計」を考える必要があります。

熱通過率の推定
熱通過率がわからない場合は以下より推定してください。
下は箱の内部と外部の断面図になります。
熱が壁を伝わる流れ図
熱通過率
で表されます。熱の伝わり方として、内部の温度T→板表面Th1→板外面Th2→外部の温度(大気温度)T0に伝わっていきます。
それぞれの伝達率は箱内部の熱伝達率h1[W/m2•K]、箱外部の熱伝達率h2[W/m2•K]、板の伝達率は箱の板厚t[m]、箱の熱伝導率λ[W/m•K]から導き出されます。

これを求めるのには以下が必要で
熱伝達率
熱伝達率h1は箱内側の対流熱伝達率ha、熱伝達率h2は箱外側の対流熱伝達率hb+放射熱伝達率hεから求めます。
対流熱伝達率ha、hbは流体の流速により変わります。

下記は空気の熱伝達率と風速の関係表です。
空気の熱伝達率
また、放射熱伝達率hεは板から発生する放射熱による放熱になります。
放射熱伝達率

5.67*10^8はシュテファンボルツマン定数と呼ばれるものです。
εは放射率になり0.6〜0.9程度で良いと思います。また、Th1,Th2を使用しています。
正確ではないですが推定では箱内外の中間(T-T0)/2+T0程度で良いと思います。

例:放射率0.8、Th2,47.5[℃],箱内の大気の流速1[m/s],箱外の大気の流速0.5[m/s]、箱板厚0.003[m]、箱板伝導率50[W/m•K]の場合
大気の流速1[m/s]→対流熱伝達率8[W/m2•K]
大気の流速0.5[m/s]→対流熱伝達率4.5[W/m2•K]

h1=8[W/m2•K]
h2=4.5+5.67*10^-8*0.8*((47.5+273.15)^4-(40+273.15)^4)/(47.5-40)=4.5+5.78=10.28[W/m2•K]
t/λ=0.003/50=0.00006[W/m2•K]
U=1/(1/8+0.00006+1/10.28)=4.50[W/m2•K]
考え方は「熱の考え方」で説明したいと思います。

放熱が間に合わないなら「自然換気」「強制換気」での放熱を考える必要がある

制御装置・制御盤内の放熱設計

箱の放熱量の計算まで行いました。
「発熱量」>「放熱量」の場合、これから説明する方法をとります。
この下で話す換気での放熱量は「(換気での)放熱量」>「発熱量」−「(箱の)放熱量」である必要があります。

・自然換気での計算「自然換気放熱量計算」

自然換気放熱図
自然換気放熱の一例図です。自然換気放熱では、換気口を設けて箱内の温度を周辺温度に近づける方法になります。気体の移動は自然に任せます。
放熱量の計算としては以下になります。
自然換気放熱量

自然換気値
通常、雰囲気は空気だと思います。空気の密度は1.154[kg/m3],空気の比熱は1018[J/kg℃]になります。

例えば、箱内目標温度を55[℃]、箱内天井付近温度を58[℃]、大気温度40[℃]、実行換気口面積0.05[m2]、吸気口-排気口の高さ0.3[m]とすると
放熱量Q=1018*1.154*0.05*√((2*9.8*0.3*(55-40))/(273.15-40))*(58-40)=561.12[W]

発熱量1000[W]>箱の放熱量150[W]+自然換気放熱量561.12[W]=711.12[W]なので、さらなる放熱が必要になります。
このように発熱量が放熱量を(安全率を掛けて)若干超える場合は、実効換気口面積を増やす、排気口ー吸気口の高さの差を大きくするなどの対応が必要になります。場合により周囲温度の制限(使用上の温度制限)を設ける方法も考える必要があります。対応ができない場合は次の強制換気での放熱を考えていきます。

・強制換気での計算「強制換気放熱量計算」

強制換気放熱図
強制換気放熱の一例図です。強制換気放熱では、自然換気放熱と違いファン等で強制的に気体を動かし箱内の温度を周辺温度に近づける方法になります。

計算としては以下になります。
強制換気放熱風量

強制換気値

こちらも通常、雰囲気は空気だと思います。その場合は空気の密度は1.154[kg/m3],空気の比熱は1018[J/kg℃]になります。

例えば、残り必要放熱量が(発熱量1000[W]−総放熱量711.12[W])=288.88[W]、箱内目標温度を55[℃]、大気温度40[℃]とすると、
V=288.88/(1.154*1018*(55-40))
=0.0164[m3/min]というように計算ができます。(この値は風量です)

選定する場合はこれに安全率を掛けたそれ以上のファンを見つけてください。
選定するファンがない場合や換気口を広げたりしても熱量が超えてる場合は、周囲温度の制限(使用上の温度制限)を設けたりして設計範囲内の温度に抑える必要があります。

放熱が間に合わないなら「自然換気」「強制換気」での放熱を考える必要がある

このように設計上で事前に熱の問題を解決する必要があります。
目に見えず扱いにくいのですが、やっておかないと後で大変な目に遭ってしまいます。
それぞれ実施したものと比較して設計精度を高めていきましょう。


今まで話した内容よりも様々な角度から熱による設計として書かれている本の参考になります。
電気系設計者に使える熱設計の本になります。

カテゴリー
制御設計

制御設計1 画像制御 カメラ選定〜制御

画像制御 カメラ選定〜制御

これからどんどん画像認識・画像制御による製品・設備が増えてきます。
それに伴って精度や設計方法も変わっていきます。ここでは使い方をわかりやすく説明したいと思います。

画像装置での検査、計測例:
Keyence_CV-Xシリーズ参考
©Keyence/CV-Xシリーズ

開発の順序だてて書き込みをしていこうと思っていましたが、特にこのトピックの要望がありましたので先に書いていこうと思います。

画像制御・設計の流れ

画像装置を組み込んで使用するために、設計として簡単に以下を考える必要があります。

・何をするか(計測、認識)
・どこをどのように見たいか
・ワークの距離
・必要精度
・維持の仕方

・何をするか(計測、認識)

 モデル画像(事前登録画像)と比較
  →OK/NGもしくは有無判定
  →モデル画像位置を計測
 画像から計測範囲を指定して計測
  →エッジを検出して位置を計測
  →円を検出して位置を計測

・どこをどのように見たいか

 ワークの縁の形状のみ
  →透過照明・バックライト照明
  →グレーまたは白黒カメラ
  (グレースケール、2値化処理)
(形を投影:影絵のような画像になる)

 ワークの対する外乱光、乱反射を抑えたい
  →ドーム照明・リング照明
  (カメラを囲んだ照明)

 ワークに対して光量を多くしたい、照明を追加したい
  →バー照明
  →スポット照明
  (部分的な照明、シャッター速度など上げたい際)

 細かな傷、浅い溝を見たい
  →青系の照明色、カメラの色フィルタ

 特定の色を無視したい
  →カメラの色フィルタ
  →カラーカメラ

 色で判断したい
  →カラーカメラ
  (色相、彩度、明度より判断)

 色フィルタ(特定の色を無視したい)
 グレースケール(コントラストのみ)

・ワークの距離

  →ワークディスタンス
  (ワークとレンズの距離、視野範囲)
  →被写界深度
  (ワークまでの距離のばらつき)

・必要精度

  →直接的な精度
  (レンズの倍率、受光する面積(撮像面積)、画素数)
  →考える必要がある精度、範囲
  (レンズの歪み(ディストーション)、許容のピントのボケ量(許容錯乱円))

・維持の仕方

  →ホワイトバランス
   (グレーカード(反射率18%))
  →ワーク基準位置
  →カメラ座標系とワーク座標系の校正

これらを頭の片隅に入れておいて選定の際に考慮しましょう。

選定前に(画素、カメラの考え方)

画素

画素またはピクセル(pixel)は画像の情報を表示できる最小単位になります。
200万画素(2メガピクセル)≒200万個点(画像の情報)で画像を表わすことができるということになります。簡単にいうと分解能ですね。
関連するのがカメラ自体の受光素子の大きさになります。受光する面積(撮像面積)とレンズで取り込める倍率により視野の範囲が決まります。
その視野範囲が画素数で表示できるため、1画素で表せる精度が求まります。
そのため、「画素数」「受光する面積(撮像面積)」「レンズの倍率」の組み合わせで精度・視野範囲が変わります。

サブピクセル処理

 画素と画素の間を仮想的に計算でだす方法です。画素が取得した値ともう一つの画素が取得した値の中間の数値と判断して表示させる方法です。
 実際に取り込んでいる値ではないのですが、画像の曖昧さ(ごく小さい範囲では極端に変化が起こりにくい)
 として値を補完している方法になります。画像からエッジを計測する際の誤差を抑えます。
 ですが、分解能の公差の最小とはしない方が良いと考えています。
(カメラの分解能=画素数、画素数*2にはならない)

サブピクセル処理の考え方

ベイヤー配列

 カラーカメラの場合、赤色、緑色、青色(RGB)のフィルタを通した素子が並び配列されています。
 それによりカラーを認識しますが、実際の画素の大きさがカメラ分解能の公差になりません。
 (2倍になったりします。)
 そのため、グレースケールで取り込む際は白黒カメラで取り込む方が良い場合があります。
 サブピクセル処理により、その分解能を補完したりしているメーカーもあります。
 カメラにより異なるので詳しく知りたい方は各メーカーに問い合わせてみてください。

ベイヤー配列の考え方

「画素数」「受光する面積(撮像面積)」「レンズの倍率」の組み合わせで精度・視野範囲が変わる

カメラ・レンズの選定方法

視野と精度

精度を考える上で以下のことに注意する必要があります。
直接的な精度:「レンズの倍率」「受光する面積(撮像面積)」「画素数」
考える必要がある精度、範囲:「レンズの歪み(ディストーション)」「許容のピントのボケ量(許容錯乱円)」

・「レンズの倍率」「受光する面積(撮像面積)」= 視野範囲
カメラとレンズの組み合わせにより視野範囲が決まります。カメラとレンズが一緒に販売しているところではレンズからのワークまでの距離(ワーキングディスタンス)と視野のグラフが以下のように提供されていると思います。

以下は一例としての表の見方です。
ワーキングディスタンス確認

レンズからのワークまでの距離(ワーキングディスタンス)と視野範囲から交わった点のカメラ及びレンズを選定します。
このグラフの場合、ワーキングディスタンス110mm,視野(長い軸)11mmとなります。

・「画素数」「視野範囲」= 直接的な精度
200万画素(1600×1200の場合、正確には192万画素)、視野11mmx8.25mmの場合を考えてみます。
11[mm]/1600[pixel]=0.00688[mm/pixel]=6.88[μm/pixel]
となります。ただし、これが精度としてそのまま使えるわけではありません。

レンズの歪み(ディストーション)

レンズには必ず歪みがあります特にレンズの端には歪みが発生しやすくなっています。そのため使用する場合は範囲が狭くなること、もしくは考査を踏まえた考え方をする必要があります。アプリケーションによっては歪みのない座標系に変換するものもあります。
レンズの端の方が歪むためレンズの他の部分のように精度よく使えません。

 以下は歪曲収差のイメージになります。
歪曲収差のイメージ

ここで歪みのない範囲は以下の図の赤枠の範囲になります。
ディストーション

レンズの仕様に光学ディストーション率またはTVディストーション率があります。この場合の関係式は以下になります。
光学ディストーション
光学ディストーション式

TVディストーション
TVディストーション式

例として、先ほどの視野範囲(11mmx8.25mm)の場合で光学ディストーション0.1%として説明します。
計算は割愛しますが、Y=6.875mm, y’=6.868mmになります。
そのため実際の視野範囲(使用範囲)を10.99mmx8.24mmに制限、もしくは歪みを考慮に入れた補正計算が必要になります。

・許容のピントのボケ量(許容錯乱円)
 ピントが合っているとされる時の許容されるピントのボケ量
 明記されていない場合は1画素分と考えて良いと思います。

許容錯乱円の考え方
ここでは先ほどからの例として1画素あたり5.5[μm]x5.5[μm]と考えるとその分の精度が悪くなります。

・結局どの程度精度を考える必要があるのか?
「直接的な精度」+「考える必要がある精度、範囲」がカメラで画像を取得した際の精度、範囲になります。

ここまでの200万画素カメラ、視野範囲11mmx8.25mmで考えると「直接的な精度」は6.88[μm/pixel]。
「考える必要がある精度」は許容錯乱円の5.5[μm]
合計精度=6.88[μm]+5.5[μm]=12.38[μm]
サンプリングの考え方(2倍以上)から24.76[μm]以上をこのカメラとレンズで検出することができます。
ただし、ピントが合っていることが前提となります。
使用できる範囲としては10.99mmx8.24mmとなります。

・レンズとカメラのマウンタ形状
カメラとレンズの選定の最後に、レンズとカメラを取り付けるマウンタの形状の種類がたくさんあります。
Cマウント、CSマウント、M12マウントなど様々な種類があり、径やネジのピッチなど異なります。
カメラとレンズが適合しているものを同じメーカーで購入する際は特に問題ないと思います。

カメラの選定はレンズとカメラより見たい精度を割り出して選定する

照明の選定

照明選定はとても重要になります。
シャッタースピードや被写界深度、画像を認識させる方法により変わってきます。
画像は実際に一度使って試して見ないと、思いと違う場合が出てきたりします。

材質による光の当て方の違い

・金属上のワーク画像(金属上の刻印類)
 光の反射が強いので正反射(直接反射光)を利用
 →光を正面より当てる

・フィルム下のワーク画像(反射しやすい物体下のワーク)
 ハレーション(照明の写り込み)が強いので、拡散反射(直接反射光を使用しない)
 →照明を斜めに当てる

・薄い紙等の下のワーク画像
 紙自体が反射率が悪いためその下のものは見えにくい
 →紙の下より照明を当てる(透過照明)

機能による照明の違い

・ワークの縁の形状のみ
  →透過照明・バックライト照明

・ワークの対する外乱光、乱反射を抑えたい
  →ドーム照明・リング照明
  (カメラを囲んだ照明)

・ワークに対して光量を多くしたい、照明を追加したい
  →バー照明
  →スポット照明
  (部分的な照明、シャッター速度など上げたい際)

・細かな傷、浅い溝を見たい
  →青系の照明色、カメラの色フィルタ

・特定の色を無視したい
  →カメラの色フィルタ

照明は位置や強さ、色によってもカメラ画像認識に影響が出てくる

ピントの設定・考え方

ピントは合えば一番いいですが、ワークによりレンズとワークの距離がばらつくことがあります。
ピントが合う範囲を広げることも可能です。
光の量を調節することで可能です。

F値

辺縁はカメラを使ったことがある人はわかると思いますが絞りの部分ですこの絞りにより明るさを調整します。
 レンズの明るさを表す指標。F値が小さいほど明るい。
 レンズを通る明るさは1/(F値*F値)になる

被写界深度

ワーク面がレンズに対して前後しても、ピントがボケずに鮮明に受けられる範囲になります。
先にワークがレンズに対してどの程度ばらつくか調べましょう。

正確な範囲として計算を説明していきます。
まず、光学倍率が必要です。
レンズもしくは以下の式よりも止めてください。
光学倍率M=受光する面の1辺(撮像面の1辺)/視野範囲の1辺
例:(撮像面のH)8.8mm/(視野H)11mm=0.8

次に実行Fが必要で計算式はF値より求めます。
実行Fは距離において明るさを表す値になります。
実行F値式
実行F=(1+光学倍率)*F値
FNO:F値, M:光学倍率
例:(1+0.8)*(F値)2=3.6

被写界深度の計算をしていきます。
被写界深度式

被写界深度=2*(許容錯乱円*実行F)/(光学倍率*光学倍率)
c:許容錯乱円, F:実行F, M:光学倍率
例:2*(0.01*3.6)/(0.8*0.8)=0.11[mm]幅

F値が大きいほど暗く、被写界深度が広くなります。簡単に特徴を説明します。
 特徴:
  F値が大きいほど被写界深度は大きくなる(絞るほどピントがボケにくい)
  焦点距離が近いと被写界深度は小さくなる
  ワークが近くにあると被写界深度は小さくなる

カメラの選定はレンズとカメラより見たい精度を割り出して選定する

画像検出方法(エッジ検出方法の仕組み)等は各制御装置の方法を使うということで、今回は割愛させていただきます。
ここからは画像から実際のワークに対してどのように関連付けるかの工夫の仕方(画像からの制御方法)を教えていきます。
そのため、画像処理方法の仕組みについて詳しく知りたい方はこちらの本などを参考にしてください。
図解入門よくわかる最新画像処理アルゴリズムの基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)

画像制御の方法

画像の制御をする上で下記に記す内容は最低限考慮した方が良い内容になります。

・座標系の違い
・検出範囲の設定方法
・モデルサーチの工夫
・エッジ検出の工夫

座標系の違い

カメラで画像を撮っていますが、本来欲しいのはワーク本来の座標系です。
OK/NG等の判定ではいりませんが、位置や計測を使う場合には必要になります。

イメージとしては以下のようになります。
座標系の違い

動くようなワークの場合は動かして画面上を最低2点以上、機械的な基準がある場合はそれを基準に画面に位置がわかるようにこれも画面に2点以上撮って校正します。座標系の校正がない場合は2点位置から傾き、切片をだしてワークの座標の変換単位を掛ければカメラの座標系からワークの座標系に変換ができます。この計算をして位置を割り出してください。

今回は簡単に軸の角度の違いからの変換を示していきます。方法としてはこの限りでなく色々なやり方があるので検討してみてください。
以下のようにカメラの座標系の軸(x,y)とワークの座標系の軸(X,Y)が傾いている(角度がついている)とします。その際にワークの座標系の1軸のみ変化させた際の値をカメラの座標系と比較します。
座標変換1

この際に角度θは以下のように表すことができます。
座標変換1

カメラの座標系からワークの座標系の変換後の比率は以下のようになります。
変換比率

一度このように変換定数を割り出します。(X側も同じようにします)
そこから以下のような任意座標に変換式を展開して、ワーク座標として考えます。
任意座標に展開

y変換式

x変換式
a:ワーク座標Y軸の変換比率
b:ワーク座標X軸の変換比率

検出範囲の設定方法

実際のワークが同じ位置に毎回くれば範囲は最小限になります。
そのため極力同じ位置に来るように設計しましょう。ただし、それでもそういうわけにはいきません。
同じ位置に来るようにしたとしても、以下を考慮に入れましょう。

・機械の積み上げ公差、加工公差、組み付け公差(組み付け直しで発生、校正により無視できる)
・ワークの加工公差(ワークのばらつき)
・その他設計上考慮部分

これらを全て足した設計上の最大公差以上の範囲を検出範囲としましょう。

モデルサーチ時の工夫

基準となるモデル画像(基準のワークの姿)のより実際のワークの位置・ワークの有無を割り出す方法です。
メーカーにより異なりますが、エッジの姿と色認識により探しています。
そのため、以下のことを注意しないと検知できない場合があります。

・モデルを小さくしすぎない
・モデル認識感度(相関値レベル:一致性)をあげすぎない
・モデルと同じような形状・色が検出範囲内に存在させない

モデルサーチはワークの位置・向きがどんな状態でも比較して特定します。
ただし、検出範囲が広すぎたり向きを360°対応したりすると、検出に時間がかかります。
なるべく検出範囲を規制したり、検出向き(モデル画像の比較の向き)を規制した方が良いです。

エッジ検出時の工夫

ここでは特に画像を計測として使用する際の注意点を説明します。
モデル比較や計測の大半は色の変化部分(濃淡微分)をエッジとして抽出します。
モデル比較ではどの程度、モデル画像と近いか判断するのでさほど検出にこだわる必要がありませんが、エッジから計測をする場合(濃淡の変化部分で計測)の場合は注意が必要です。

濃淡の変化の中心(本来のエッジ)と画像がエッジとして認識する場所は多少異なります。
また、材質によりエッジ感度を変える必要があります。(金属類は反射率が高く、紙類は反射率が低いため)

以下はイメージ画像になります。
エッジとして認識する感度を設定するのです(ここでは50がこれにより位置が多少異なります)
エッジ検出時の誤差

このように実際の変化の中心と差が出ます。「エッジとして取り込んでる範囲の中心」(ここでいうエッジ感度50%以上の場所の中心)を取れば「変化の中心」と一致するのでは?と思いますが、画像の変化の度合い(感度)が色により均一に変化とはいかないため幾分か誤差が出ます。その為、画像と実物の位置の校正を取るもしくは、計測方法を工夫します。

計測方法の工夫としては、1つのエッジから位置を割り出すのでは無くもう片方のエッジも抽出して、そのエッジとエッジの中心を計測点とする方法です。

上の図は「白→黒」でしたが、そのまま「黒→白」に変化する場所(もう一つのエッジ)を逆方向からエッジを検出するようにします。
そうすることで、ピントがボケた場合などにより差が出てしまうことを防ぎます。

簡単な図で説明します。
エッジ検出の工夫の仕方

逆方向から同じエッジ感度でエッジを検出します。順方向のエッジの位置と逆方向のエッジの位置の中心が実際のワークの中心になります。そうすることでワーク中心とエッジより検出した基準が同じになります。

これらの「画像制御の方法」は制御のほんの一部の工夫になります。たくさんのものに応用できますし、活用できます。試して見てください。

工夫次第ではかなりの精度や様々なことに応用できます。

最近の画像処理装置の傾向

画像処理装置は維持管理及び調整がとても難しいものがほとんどでした。
ですが、最近は調整レスやファイバセンサ、光電センサと同じような簡易的な画像処理装置(センサ)が出てきています。
これからも徐々に増えていくと思います。
それはFA(ファクトリーオートメーション)だけでなく、製品の加える技術としても主流になっていくと思われます。

画像処理技術は徐々に色々な分野で多く使われてくる

参考になったでしょうか、他にも様々な方法がありますし、各メーカーもより簡単にできる方法に変えてきています。
ただし、考慮しないと精度や速度が出ないなどのものがありますのでそこをしっかり踏まえて設計していきましょう。

画像検出方法(エッジ検出方法の仕組み)等は各制御装置の方法を使うということで、今回は割愛させていただきました。
画像処理方法の仕組みについて詳しく知りたい方は、こちらがわかりやすいです。

カテゴリー
開発の流れ

危険を回避せよ!リスクアセスメント

危険を回避せよ!リスクアセスメント

リスクアセスメントとは、作った製品・設備の危険性が隠れていないかをロジカルシンキングとして捉えるやり方になります。
そのためここでのリスクとは製品戦略や製品品質的なリスクでは無く、単純に「安全性」としてのリスクとして話していきます。

リスクアセスメント注意ラベル

1.なぜ安全を考える必要性があるのか?

1.製品に対しての安全性は製造者責任が問われるようになってきた。
 →責任を問われる事態になっても、製品設計においてリスクを考慮した設計ができているということが言える

2.CSR(企業の社会的責任)が問われる時代になってきた。
 →国際標準ISOとしても安全性が確保された上での製造競争をすることが定められている

3.損害額が大きい
 →刑事事件にならなくても民事訴訟となり得る。その場合の賠償責任で数千万〜億円規模にまで膨れ上がる

4.海外で販売できない
CE,CCCなど海外認証でもリスクアセスメントを行ったかどうかが問われています。

製造者責任が厳しく問われる時代になってきた

2.なぜ日本で騒がれているのか?

まだまだ、日本はリスク回避の後進国だからです!!

どういう意味かというと、安全設計の考え方は2通りあります。

危険察知型
 危険になったら信号を送り制御や表示をする
  →センサ故障などの際には危険を検知しないため動作してしまう。

安全確認型
 安全が確保されている場合のみ信号を送り制御する。
  センサ故障などの際には安全を検知しないため動作しない。

日本はどちらかというと前者の危険察知型。
欧米諸国は後者の安全確認型が主流になっている。
安全ではないと動かないため、

日本は安全対策後進国

3.設計者は何をしたらいいの?

まずは本質安全の設計(危険にならない、危険に近づかない、危険を作らない)をして製品を作らなければなりません。

それでもどうしても危険性が拭えない時はリスクのレベルに応じて設計者は危険性を低減する努力をしなければなりません。
それらを帳票として残すのがリスクアセスメントになります。
この場合のリスクのレベルとは以下のようになります。

リスクレベル=傷害の大きさ+接触頻度+傷害の起こる確率

後ほど詳しく説明しますが、このリスクレベルを出して会社として容認できるか正しく判断することです。
判断を使用して以下のことを行うのが設計者の仕事になります。

・リスクを最小限にする
・リスクを使用者に認識させる
・リスクを伴わない使い方を提示する

本質的に危険を作らずにリスクをもたない

4.リスクアセスメントの流れ

リスクアセスメントは極力抜けが出ないように複数人で行います。
簡単に流れを説明します。

下は安全設計からリスクアセスメントの流れの図です。
安全設計からリスクアセスメントの流れ。最大限に安全を見つめ直す

出来るだけ設計初期段階で考慮をする。
なぜなら、後付けしてしまうと安全ガード類の防護をつけるだけになってしまう。
→コストアップ、メンテナンス性、操作性に影響が出てくる。

1.本質安全設計

 ・危険にならない
 ・危険に近づかない
 ・危険を作らない
になっているか

「1.本質安全設計」は製品により異なってきますので説明をしませんが、危険にならないように設計していきましょう。

2.製品使用上の明確化

 ・誰が、どんな時に、どのように扱うか

「2.製品使用上の明確化」はリスクアセスメントを行っていく上で重要になってきます。
 ・製品使用者は誰か?
 ・使用環境により危険源の変化はないか?
 ・使用方法はどのようにするか?
 ・使用方法以外で危険に遭遇する可能性があるか?
 ・製品のメンテナンス者は誰か?
 ・メンテナンス上での危険に遭遇しないか?
 ・工具類その他の器具類を使用した場合に相乗として危険源が現れないか?
 ・その他の第3者が遭遇する危険はないか?
  など、使用する上、作業する上での流れに沿って危険源を洗い出していきます。

3.危険源,危険の状態の特定

 ・危険の種類:衝撃、巻き込み、騒音、振動、感電etc.
 ・危険の状態:障害の大きさ、接触頻度、危険からの回避性

「3.危険源,危険の状態の特定」は2.で行った内容から危険源の状況を正しく記載していきます。
 ここでは複数に使用にまたがる同じ部位の同じ危険源はまとめても構いません。
 ただし同じ部位であっても危険の種類や状態が違う場合はまとめてはいけません。

4.リスクの見積り

・リスクレベルを見積もり

「4.リスクの見積り」は、3.で行った危険の種類や状態からそれぞれのリスクレベルを数値化していきます。
 数値化することで、危険に対する改善の優先順位など可視化していきます。
 ただしこのリスクレベルを設定する上で設計者各々の価値観によって左右されることがありますので、
 あらかじめ一定のルールを決めておいた方が良いと思います。

5.リスク自体の評価

 ・リスクレベルに対して許容できるかできないかの判断を行う
 ・リスクが許容できない範囲があればそれについて始めから繰り返し行う

「5.リスク自体の評価」は4.で数値化したリスクレベルから今後どのように対応していくか決定します。
 レベルの値によって「容認できないレベル」「残存リスク」「容認できるレベル」を分類していきます。
 ・「容認できないレベル」であれば設計を考え直してレベルを低くするもしくは危険源を排除します。
 ・「残存リスク」であれば設計を考え直してレベルを低くするもしくは使用者にリスクを通知して使用者責任として残す手段をとります。
 ・「容認できるレベル」であれば状況により使用者にリスクを通知などをして製品設計を進めていきます。

製品に対するリスクがなければ一番良いのですが、ゼロにすることはどんな製品であったとしてもできないと思われます。

リスクアセスメントの流れの詳細や製造現場における対応方法は以下の書籍が参考になります。
製造現場等におけるイラストで学ぶリスクアセスメント 第1集

5.危険源,危険の状態の特定

先ほども簡単に述べましたが、危険源を抽出した後は危険源に対して、1つ1つリスクレベルを考えていきます。
危険源を見ていく内容として次にあげるものが主になります。
機械的
 押しつぶし、せん断、切断又は分断、巻き込み、引き込み、衝撃、こすれ又は擦りむき、高圧流体の注入又は噴出
電気的
 直接接触、間接接触、静電現象、熱放射又は熱現象・ショート、電気装置への外的影響
熱的
 火災又は爆発による火傷、熱傷及びその他災害、原因とする健康障害
騒音
 聴力喪失、その他の生理的不調
振動
 振動による危険源

 光による視力低下及び健康障害
動力源の故障
 エネルギー供給の故障、予期しない動作、安全性の喪失

危険源特定
これらの内容は全てではありません。
内容によっては追加する必要があります。また、企業によっても優先する内容や細かく見る内容が異なると思います。

危険源を特定することで、リスク低減の活動内容につなげることができる

6.リスクレベルの考え方

先ほども少し説明しましたが、リスクレベルは以下のように表現できます。

リスクレベル=傷害の大きさ+接触頻度+傷害の起こる確率

ただし、これはリスクアセスメント手法の一つになります。
手法としては
 ・加算法(リスク要素を加算)
  上記の方法、日本では一番多く使用される
 ・積算法(リスク要素を積算)
  リスク低減の効果が大きく見えてしまう場合がある
 ・マトリックス法(リスクを表にして表現)
  細分化されたリスクに反映できない
 ・リトグラフ法(リスクをチャートとして表現)
  リスクの比較が容易。だが評価する分類が多くできない
などがあります。
加算法で説明していきます。
そのほかの方法は割愛していきます。
それでは加算法の項目の一つ一つ説明していきます。

○傷害の大きさ

傷害の大きさは「力の大きさ」「逃げれる空間」「およぶ範囲」を踏まえて基準を作っていきます。
 力の大きさ:衝撃、推力、速度
 逃げれる空間:力を和らげるスペース
 およぶ範囲:人数、危険にさらされる体の範囲
が重要になってきます。
例えば、「20000Nの力、5mm/sの速度で隙間2mmまで押しつぶされる場所に腕を挟んだ」
と考えたら、腕はちぎれます。
ですが、「20000Nの力、5mm/sの速度で隙間300mmまで押しつぶされる場所に指を挟んだ」
になると挟んだにならないと思われます。(衝撃は加わると思いますが)
「逃げれる空間」「およぶ範囲」の考え方はJIS規格にも載っています。
例として、押しつぶし回避の最小隙間 (JIS B 9711)
 体:500mm以上
 脚:180mm以上
 つま先:50mm以上
 腕:120mm以上
 手:100mm以上
 指:25mm以上
押しつぶし回避の最小隙間。この場合はうでで、120mm以上必要です。
などを参考にすると良いと思います。

これらから想定して以下を分類していきます。
致命傷: 死亡や永久的労働不能に繋がるけが
重症: 重傷(長期療養を要するけが)及び障害の残るけが
軽傷: 休業災害及び不休災害(いづれも完治可能なけが)
軽微な傷害: 手当後、直ちに元の作業に戻れる微傷のけが
これは一例になり企業により厳密な数値や基準は違うと思いますが、およそこのようになります。
事故後の傷害が残った場合を想定して傷害等級を割り当てる企業もあります。
傷害程度・度合い。程度により致命的なものから軽微なものまで範囲があります。

○接触頻度

接触頻度とは危険源に近づく頻度になります。
目安として以下のように分けていきます。
頻繁: 3回以上/1日
時々: 1~2回/1日
滅多にない: 1回以上/1週間
こちらも先ほど同様に企業により厳密な数値や基準は違うと思いますが、およそこのようになります。
危険源に近づく頻度。週に数回程度から時間に数回など近づく頻度になります。

○傷害の起こる確率

傷害の起こる確率は「危険の検知性」「危険からの回避性」を踏まえて基準を作っていきます。
リスクの発生確率はわかりやすい危険源かどうかで変わってきます。
「目の前の刃」と「影に隠れた場所の刃」では危険の認識のされ方が違います。もちろん回避性にも繋がります。
危険からの回避性として、危険源に対しての回避できるかもしくは遭遇しないかを考えます。
・上肢/下肢の到達防止の安全距離(JIS B 9718)
 危険源に到達しない距離
  腕: 開口部120mm以下、危険源との距離850mm以上
  手: 開口部30mm以下、危険源との距離200mm以上
  指先: 開口部6mm以下、危険源との距離10mm以上
  脚: 開口部95mm以下、危険源との距離1100mm以上
  以下は腕場合の図
  腕の安全距離 この場合は腕の安全距離になります。850mm以上離れていれば安全と規格では見なしています。
・安全防護物の応答時間(JIS B 9715)
  S=(K×T)+C
 S:検出箇所〜危険源までの距離、K:部位接近速度(上肢2000mm/s)、T:危険源なくなるまでの時間、C:検出前の侵入距離
 これは検出装置があり、安全防護装置が作動または機械が停止して危険源が無くなる場合にはこの式を使って考えます。

これらを踏まえて以下のように分けていきます。
確実: 検知できない/回避できない
可能性が高い: 注意しないと検知できない/専門知識がないと回避できない
可能性がある: 注目すれば検知できる/方法が分かれば回避できる
ほとんどない: 誰でも検知できる/気がつけば回避可能
危険源の種類に対して回避の仕方や検知の仕方を決めていく必要があると思います。
こちらも先ほど同様に企業により厳密な数値や基準は違うと思いますが、およそこのようになります。
傷害発生の確率

○リスクレベル

今までの点数を加算して、リスクレベルを割り出します。
リスクレベルに応じて対応を行います。
Ⅴ: 許容できないリスク
リスクポイント20-17, 直ちにリスクが低減するように対策を実施する
Ⅳ: 重大なリスク
 リスクポイント16-13, リスク低減まで優先的に対策を実施する
Ⅲ: 中程度のリスク
 リスクポイント12-9, リスク低減を対策を実施する。
Ⅱ: 多少問題があるリスク
 リスクポイント8-5, リスク低減が望ましい。低減するための検討が必要
Ⅰ: 許容できるリスク
 リスクポイント4-3, 必要に応じてリスク低減措置を実施する
こちらも先ほど同様に企業により厳密な数値や基準は違うと思いますが、およそこのようになります。
これらを実施して、極力リスクを低減した設計を心がけていくと本質安全に近づく設計になっていきます。
リスクレベル

リスクアセスメントをすることで、リスクを極力低減することができる

リスクアセスメントの流れの詳細や製造現場における対応方法は以下がわかりやすいです。

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開発の流れ

開発する前に必要なことを考え直そう!

開発する前に必要なことを考え直そう!

開発は新しい物を世に生み出す行為です。(ここでの設計は開発行為上の設計を指します)そのため、リソース(人材、資金、道具・材料)がとても多く必要となります。

自身の組織(以外、企業)の状況・状態、社会の動向を考慮に入れて本当に必要なことか判断しなければなりません。
また、開発設計行為をしていたとしても、状況の変化により無駄な事になります。

監視を設けて、継続か中止か適正に判断する事も重要になります。

これらを踏まえて、開発設計する上で考えなければならない事が幾つかあります。

 

企業の状況・状態の把握

開発設計する上で考えることは、まず自身の状況を的確に判断することです。すなわち企業の状況・状態を把握することがまず第一です。

・企業の状況・状態の把握

  1. リソースの確認(人材、資金、道具・材料)
  2. 問題点の真因の確認
  3. 開発製品の立ち位置

1の「リソースの確認」は、会社の健康状態を確認するということで重要です。企業の固有技術なども材料になり開発自体の成功率を上げるためにも必要です。たとえば、資金を考えずに大規模な新規開発を行うことはとても大きなリスクを伴います。

2の「問題点の真因の確認」は、開発設計を行うことで直面している問題の解決になるか見極める必要があるということです。
製品開発の場合は、イノベーションにつながる製品となりえるか、製品開発で問題が解決されるか知る必要があります。もしかしたら営業や供給の問題だったりします。製造工程・設備開発の場合は、その開発で製造上のボトルネックが解消される、もしくは製造全体の効率化(全体最適)ができなければ意味がありません。

3の「開発製品の立ち位置」は、その製品がどれぐらいの重要度の高さなのか把握する必要があります。中には本当に必要な開発なのか疑問になる開発のもあります。開発する物がないからとか、継続して開発しなければならないとかはありません。先ほども述べたように開発という行為はとてもリソースを費やします。無駄に開発を行うのであればリソースを他の業務に分ける方が良い場合もあります。

現在の自身の企業の状況を把握することで、開発できる準備が整っているか知ることができる。

 

社会での企業の立ち位置の把握

次に、相手や状況を確認することです。すなわち競合相手や社会からみた客観的な立場を知ることです。

・企業の社会での立ち位置の把握

  1. 競合他社と企業の比較
  2. 開発行為で多くのステークホルダーがしあわせになるか

1の「競合他社と企業の比較」とは、競合他社に対して優位になるような開発をして今後の開発依頼や開発製品の売り上げを伸ばそうというものです。自社内の製造開発等の場合はこの限りではありませんが、他社の動向を確認することは非常に重要になりその分野の動向も見えてきます。

2の「開発行為で多くのステークホルダーがしあわせになるか」とは、開発行為自体に無理をしてステークホルダーに迷惑が掛からないか確認することです。ひと昔前は「お客様第一主義」が多くの企業で見られました。「お客様第一主義」を優先して従業員に無理をさせると生産性が落ち、利益が下がります。また、その他のステークホルダーをないがしろにすると企業の社会的地位が下がってきます。そのために注意が必要です。

ステークホルダーを簡単に説明します。日本語で「利害関係者」で、株主、顧客、得意先、地域、従業員等の企業に関わる人たちのことです。

社会の中の立場を確認することで、他社からの優位性や社会的地位を知ることができる。

 

開発製品と関連する社会の動向の考慮

・開発に関連する社会の動向の考慮

  1. 製品は、新市場創出になっているか
  2. 顧客・製品を必要とする人の品質を満足するか
  3. 製品に関連する、トレンドの期間はどれぐらい
  4. 製品のロードマップが描けるか

1の「新市場創出になっているか」は製品の注文者がなく自ら製品を不特定多数に対して世の中に提供する場合に必要な考え方です。必要とする人がいて製品自体の開発行為が無駄にならないか知る必要があります。

2の「顧客・製品を必要とする人の品質を満足するか」とは製品を使用する顧客のに対して品質を満足しているか判断をすることです。判断できなければ、これも開発行為の無駄になります。

品質の項目で詳しく説明しますが「品質=顧客の要求+付加価値」になります。これは満足につながる内容と同じになります。後ほど詳しく説明しますが「満足⇆不満足」ではなく、「満足⇆満足でない」、「不満足ではない⇆不満足」と別物になります。これらを間違えると顧客に対して最高の提供をしたとしても、顧客は大して提供してもらっていないと不一致がうまれます。

3の「トレンドの期間はどれぐらい」とは、製品に関連する内容が世の中でどの程度の期間しようされるか知ることです。イノベーションとなりえる他社の製品に追従して開発する場合、開発完了時に製品が飽和したり製品が廃れたりしてきては費用対効果が薄れてしまいます。

トレンドの期間はイノベーター理論や同様の製品の傾向から何となく判断できると思いますが、非常に判断が難しいです。昔よりもかなりトレンド期間が短くなってきています。

大きな企業がイノベーションのジレンマに陥らないようにするためや、ランチェスター理論の1つとして中小企業の追従を許さない場合など開発の直接的な費用対効果を無視しておこなう場合もあります。

4の「製品のロードマップが描けるか」とは、今後の製品発展や自身の技術につながることも考慮に入れましょう。できれは社会動向を考慮した技術となれば、なお良いです。

開発前に製品を見直すことで、リソースの無駄を最小限にして投資対効果を最大限にする。

 

そのためには何をするのか?

たくさん書いたけど、、、具体的には?

いままでの話を簡単にすると、「己を知り、相手(・世の中)を知る」「これからやることを知る」ということです。それぞれやり方はあり、独自に考えた方が早い場合もあります。ですが、わからない場合に特にやってみて欲しいのは以下のものです。

・「己を知り、相手(・世の中)を知る」

SWOT分析:自身の企業が競合他社と比べて何が強みで何が弱みか把握する場合に使用します。本来は事業の変化に対応したリソースの最適化を求めるのに使用しますが、開発製品を決めた後にリソースはどの程度他社より必要か確認する上でも使用できます。

 

・「これからやることを知る」

アンゾフの成長マトリックス分析:製品と市場の分析で開発製品がどの位置づけになるかの把握し、今後の成長戦略を決めるのに使用します。ここでは製品のロードマップを描くために使用します。

詳しくはその時に説明します。

これらは開発設計行為だけでなく、経営のマネジメントとしても必要になります。
普段より定期的に知るようにすれば、比較的これらの工数は少なくなります。

開発の大変さがわかったと思います。
次に開発の流れと開発プロセスで開発について詳しく説明したいと思います。