機械にとってセンサは「目」「触覚」「温度感覚」の役割を持つ重要な部品です。しかし、FA設備には接触・光電・ファイバ・レーザ・近接・変位・圧力・流量・RFID・画像など多くの方式があり、選定を誤ると誤検出や停止につながります。本記事では19種類のセンサの概要、分類、検出範囲、動作電圧、応答速度、繰り返し精度、サイズ、設置位置を比較し、電気・制御・機械設計者の初心者や理系学生に向けてわかりやすく整理します。個別の動作原理と回路は別記事で解説するため、今回は選定実務に重点を置きます。
はじめに|機械の目・センサをどう分類する?
センサを「何を検出するか」で分類すると選定しやすくなります。①位置・有無、②光・距離、③変位・寸法、④面・範囲、⑤流体・温度、⑥識別・色・画像です。同じワークの有無でも、接触できるか、金属か、透明か、必要応答時間や精度がどれくらいかで最適な方式は変わります。

検出(ON/OFF)と計測(アナログ・数値)を分ける
ワークの「ある/ない」をPLCに送るだけならスイッチや光電センサが候補です。厚み・高さ・圧力・流量の数値が必要なら変位・プロセスセンサを選びます。「繰り返し精度」と「絶対精度」、また分解能・直線性・ヒステリシスは別の指標です。
化学的・物理的特性と使用環境|選定前に確認する
検出対象の材質・反射率・色・透明性・形状
光電・レーザは透明体や光沢面・黒色ワークで検出しにくい場合があり、近接センサは金属用・非金属用で対応が異なります。超音波は色の影響が小さい一方、風・温度・形状・吸音材の影響を受けます。センサ自身の耐薬品性、耐切削油、保護構造、使用温度も確認します。
振動・粉じん・水・油・電磁ノイズ
工作機械や搬送設備では、IP保護等級、防油仕様、温度範囲、振動・衝撃耐性、EMC性能、ケーブル屈曲寿命が重要です。粉じんが光学面を遮るならエアパージ、清掃窓、取付位置の変更を検討します。
機械的・電気的な選定特性|応答・繰り返し精度・取付
電源・出力の基本|NPN・PNP・アナログ・IO-Link
多くのFA用センサはDC12~24 VまたはDC24 V系ですが、DC5 Vの小型機器やAC100~240 Vのスイッチ・計測機器もあります。PLC入力とNPN/PNP、2線式/3線式、リレー、0–10 V、4–20 mA、パルス、IO-Link、Ethernet等を整合させます。供給電圧だけでなく消費電流、負荷電流、短絡保護、残留電圧も必要です。
応答速度・精度・サイズの関係
高速検出には光電・ファイバ・レーザ等が適する場合がありますが、実際の応答時間は増幅器設定やフィルタ・測定モードに依存します。画像センサは照明・露光・処理・通信を含むタクトで評価し、圧力・温度などは媒体の応答遅れも加味します。小さいほど取付自由度が高い一方、光軸合わせや保守性が厳しくなることがあります。
19種類のセンサ概要と性能比較
以下の値は一般的な産業用製品の設計初期に使う目安であり、すべての機種に当てはまる保証範囲ではありません。電源や精度、繰り返し精度は特にメーカー・型式・測定条件で異なります。「仕様依存」は一律に代表値を定められないことを表します。

接触・位置検出

| センサ | 概要・用途 | 代表電源 | 感度・検出範囲 | 応答速度の目安 | 繰返し性・精度 | サイズ | 設置距離・位置の注意 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| スイッチ(接触センサ) | 機械式接点・リミットスイッチで位置・端点・接触検出 | 無電源接点(接続先のAC/DC定格) | 接触・ストローク数mm級 | 機械的作動でms~数十ms級 | 作動位置の繰返し性は機種仕様 | 小~中 | 接触位置・押込量・オーバートラベル |
| マイクロフォトセンサ | 小型透過・反射フォトインタラプタで部品有無 | DC5~24 V系など | 数mm~数十mm、機種によって広い | μs~ms級 | 位置再現性は光学配置・仕様依存 | 極小~小 | 溝に通す・極近距離 |
| 近接センサ | 金属等の近接検出。誘導・静電容量方式など | DC10~30 V/24 V系など | 金属用で約1~40 mm級が多い | 約0.1~数ms級 | 繰返し精度は定格距離比など型式依存 | 小~中 | 金属材質・埋込可否・周囲金属余裕 |
| シリンダセンサ | 空気圧シリンダ等のピストン位置検出 | DC5~24 V/10~30 V系など | 磁石と指定溝・取付位置に依存 | 約ms級~数十ms | 動作点・ヒステリシス仕様依存 | 極小~小 | シリンダ溝・磁石位置・ストローク端 |
光・距離・色

| センサ | 概要・用途 | 代表電源 | 感度・検出範囲 | 応答速度の目安 | 繰返し性・精度 | サイズ | 設置距離・位置の注意 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 光電センサ | 透過・回帰反射・拡散反射でワークの有無 | DC10~30 V/24 V系等 | mm~数十m、方式による | 約0.1~数ms級 | 繰返し位置・ヒステリシスは型式依存 | 小~中 | 送受光軸・背景・反射面を考慮 |
| ファイバセンサ | 極小スペースの有無・微小物検出 | 増幅器DC12~24 V等 | 先端~数百mm、機種でm級も | 高速設定で数十μs~数ms | 感度設定・固定治具・光量変化に依存 | 先端極小・増幅器別置 | 先端固定、最小曲げ半径、レンズ汚れ |
| レーザセンサ | 細い光スポットで有無・位置を検出 | DC12~24 V/10~30 V等 | 数十mm~数m以上、用途別 | 数十μs~数ms級 | スポット・受光条件・型式依存 | 小~中 | 光軸とスポット径、反射・安全クラス |
| 超音波センサ | 音波で距離・有無・液面を検出 | DC12~24 V/10~30 V等 | 数cm~数m級 | 数ms~数百ms級 | mm級など型式・距離依存 | 中 | 不感帯・音波円錐・温度・反射角 |
| カラーセンサ | 光の成分で色・マーク・色差を判定 | DC12~24 V等 | 数mm~数十mm級が多い | 約0.1~数ms、処理方式依存 | 色差の再現性は照明・校正・仕様依存 | 小~中 | 照明安定、ワーク角度、背景 |
寸法・変位の計測

| センサ | 概要・用途 | 代表電源 | 感度・検出範囲 | 応答速度の目安 | 繰返し性・精度 | サイズ | 設置距離・位置の注意 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 接触式変位センサ | 接触子で高さ・段差・変位を測定 | DC5/12/24 V、コントローラ仕様依存 | 測定ストローク数mm~数十mm | ms級~数十ms(機械追従も影響) | μm級の製品もある(条件依存) | 小~中 | 接触力、軸方向、横荷重、摩耗 |
| レーザ変位センサ(非接触式) | レーザ光で高さ・段差・厚み等を測定 | DC12~24 V、24 V系等 | 数mm~数m(基準距離と測定範囲別) | 数十μs~ms級のサンプリング | サブμm~mm級まで多様 | 小~中 | 基準距離、測定角、材質、スポット径 |
| 渦電流変位センサ(非接触式) | 導電性金属の微小変位・振れを測る | コントローラDC24 V等 | 数百μm~数mm級、製品差 | kHz級帯域を持つ製品も | nm~μm級の分解能も(精度と区別) | プローブ小~中 | 金属対象、材質校正、ギャップ・周囲金属 |
エリア・プロセス検知

| センサ | 概要・用途 | 代表電源 | 感度・検出範囲 | 応答速度の目安 | 繰返し性・精度 | サイズ | 設置距離・位置の注意 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| エリアセンサ | 複数光軸で広い検出領域の有無を検出 | DC12~24 V/24 V系 | 検出高さ・光軸ピッチと対向距離で決まる | 数ms~数十ms級 | 光軸間隔・最小検出物体で評価 | バー形・中~大 | 投受光の対向・遮光・光軸ピッチ |
| 圧力センサ | 空気圧・油圧・真空などの圧力監視 | DC12~24 V/24 V系 | 負圧~数MPa以上(機種により) | ms~数十ms、フィルタ依存 | 繰返し性は%FS等で仕様確認 | 小~中 | ポート位置・脈動・媒体・シール |
| 流量センサ | 空気・水・油等の流量・漏れ監視 | DC12~24 V/24 V系 | mL/min~m³/hなど配管径・媒体別 | 数十ms~秒級まで | %RD/%FS等で型式依存 | 中~大 | 直管長、流向、気泡、温度 |
| 温度センサ | 接触温度や物体温度を測る | 受動素子(熱電対/測温抵抗体)または変換器DC24 V等 | −200~1000℃超まで方式次第 | 秒~分(形状・接触で変化) | ℃・%など素子規格、変換器仕様 | 極小~中 | 測定点への接触、熱遅れ、配線 |
| レベルセンサ | 液体・粉体の上限下限・連続液位 | DC12~24 V、AC、無電源接点等 | 点検出~数m以上の連続測定 | ms~秒級/媒体依存 | 検出点・液位精度は型式依存 | 小~大 | 液面・タンク形状・付着・泡 |
識別・画像

| センサ | 概要・用途 | 代表電源 | 感度・検出範囲 | 応答速度の目安 | 繰返し性・精度 | サイズ | 設置距離・位置の注意 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 電子タグセンサ(RFID) | タグIDと工程情報の読取・照合 | リーダDC24 V、USB/PoE等 | 数mm~数m以上、周波数・タグ別 | 読取周期・通信で数ms~秒 | 位置精度ではなく読取成功率で評価 | 小~中 | アンテナ距離・向き・金属・干渉 |
| 画像センサ | 画像で有無・位置・寸法・外観・文字等を判定 | DC24 V、PoE等 | 視野・レンズ・照明・画素数で決まる | 露光+処理+通信でms~秒 | 画素尺度・校正・アルゴリズム次第 | カメラ小~中、照明別 | WD・視野・ピント・照明・振動 |
用途別の選定|FA装置でどのセンサを選ぶ?

| FA現場の用途 | 第一候補 | 設計のポイント |
|---|---|---|
| コンベヤのワーク有無 | 光電/ファイバ | 透明・黒色・反射材、背景距離、振動を確認 |
| 微小部品の位置・通過 | マイクロフォト/ファイバ/レーザ | 必要な検出最小寸法、応答と光学調整 |
| 金属ワークの着座 | 近接/接触式変位 | 金属の種類、ズレ、加工公差を確認 |
| 空圧シリンダの伸縮端 | シリンダセンサ | 磁石の対応、溝形式、ケーブル固定 |
| プレス・治具の高さ検査 | レーザ変位/接触式変位 | 精度、傾斜、表面状態、接触荷重 |
| 回転軸の振れ計測 | 渦電流変位 | 対象材質校正、回転数、必要帯域 |
| 積載物・箱の高さ | 超音波/レーザ | 検出距離と不感帯、反射角、温度 |
| 広い範囲の通過検知 | 一般エリアセンサ | 光軸ピッチと最小ワーク寸法 |
| 危険エリアの人検知 | 安全ライトカーテン等 | 一般エリアセンサ不可。適切な安全カテゴリ・PL・停止距離を設計 |
| エアチャック・真空吸着の確認 | 圧力センサ | 圧力の時系列・漏れ・しきい値 |
| 冷却水の有無・流量 | 流量センサ | 口径、汚れ、流向、媒体温度 |
| ヒータ・軸受の温度 | 温度センサ | 応答・測定点・温度範囲・ノイズ |
| タンク満杯・空 | レベルセンサ | 液体特性、泡、付着、清掃性 |
| 部品種類・工程追跡 | RFID | タグ方向、読取率、設備側データ整合 |
| 色違い品の検出 | カラー/画像センサ | 照明・色差と色基準の管理 |
| 外観・方向・印字検査 | 画像センサ | 分解能、視野、照明、タクト、NG判定 |
規格・安全|センサのJIS・IEC・保護仕様
センサ本体の規格にはIEC 60947-5-2(近接スイッチ等)、IEC 60947-5-1(制御回路機器)、IEC 60529(IP保護)、IEC 61131-2(PLC入力等)、IEC 62471/IEC 60825-1(光源・レーザ安全)など適用製品に応じて参照するものがあります。EMC・電気安全・機械安全は設備全体の要求を確認してください。
一般のエリアセンサと安全ライトカーテンは別物
一般のエリアセンサはワークの有無・通過検出向けで、単独では人の侵入に対する安全関連保護装置として使えません。危険源から人を守るにはIEC 61496シリーズ等に適合する安全ライトカーテン等を選び、ISO 13849-1やIEC 62061に基づく安全機能・安全距離・停止時間・故障検出を設計します。通常センサの出力を単に安全PLCに入れただけでは安全機器になりません。
製造・導入工程|選定から据付・調整・保守まで
産業用センサの製造には、検出素子・電子回路・光学系・筐体・封止・校正・出荷検査などが関わります。設計者が設備へ組み込むときは①要求仕様作成→②候補機種比較→③実ワークでの検証→④取付治具・配線設計→⑤PLC設定・入出力確認→⑥試運転→⑦環境・異常時試験→⑧保守基準作成、という流れが実践的です。個別方式の内部構造は別記事で扱います。
設計のコツ・選定のコツ・加工と施工の注意点

取付板金・ブラケット:検出軸と調整代を確保
- 取付位置に長穴・基準ピン・調整治具を設け、検出位置を再現しやすくする。
- センサとワーク間の距離に、部品公差・取付公差・振動・温度変化の余裕を見込む。
- 近接センサでは金属干渉・埋込/非埋込指定と隣接設置距離を守る。
- レーザ・ファイバ・画像では光軸、反射角、背景、レンズの清掃スペースを確保。
- センサ交換時に再調整しやすいように基準面、目盛り、コネクタ位置を設計する。
配線・PLC・ノイズ:電気設計での落とし穴
- センサの電源電圧・NPN/PNP・2線/3線・接点容量とPLC入力定格を合わせる。
- 動力線・インバータ配線と信号線を離し、必要に応じてシールド・接地・サージ対策を実施。
- アナログ入力の分解能とセンサ精度を混同せず、校正・スケーリングを行う。
- ケーブルの最小曲げ半径、可動部の屈曲寿命、コネクタ防水、引張力を確認する。
- IO-Link・RFID・画像の通信遅延を含めて設備タクトと異常時動作を検討する。
検出の計算例|速度と応答時間
ワーク速度が1 m/s、検出回路+PLC取り込みの合計遅れが5 msなら、移動距離は約5 mmです(距離=速度×時間)。実機ではセンサ応答・PLCスキャン・通信・制御・アクチュエータ遅延を足して停止距離や検出余裕を計算します。速度が高いラインほどセンサの位置調整代と応答の余裕が重要です。
繰り返し精度と分解能の違い
分解能が0.1 μmと表示されても、温度ドリフトや直線性誤差、材質によって測定精度が0.1 μmとは限りません。品質検査では「分解能」「繰り返し性」「直線性」「温度特性」「測定範囲」を別々に確認し、要求公差に対して測定システム解析(MSA・GR&Rなど)を行うことが重要です。
よくある質問(FAQ)
光電センサとファイバセンサの違いは?
ファイバ方式は検出ヘッドを小さく・狭所に置き、増幅器を別置きしやすい点が特徴です。光電センサは本体一体型の選択肢も豊富です。
レーザセンサとレーザ変位センサは同じ?
レーザセンサはON/OFF検出や位置検知を含む広い呼称で、レーザ変位センサは距離や高さの連続計測に特化した製品です。
近接センサは樹脂も検出できる?
一般的な誘導形近接センサは金属向けですが、静電容量形など非金属を検出する方式もあります。
超音波センサは透明なワークに使える?
用途によって有力ですが、不感帯・形状・傾き・吸音材・温度などを確認します。
RFIDと画像センサはどう使い分ける?
RFIDはタグのIDや関連データを読む方式。画像は形状・色・印字・位置などを検査する方式です。
繰り返し精度が高ければ絶対精度も高い?
いいえ。繰り返し性と絶対精度、分解能は別指標です。校正や温度ドリフトの確認が必要です。
エリアセンサで作業者の安全監視はできる?
一般のエリアセンサだけでは安全機能を実現できません。適切に認証された安全ライトカーテン等で安全設計します。
まとめ|19種類のセンサは「何を・どこで・どの精度と速度で」で選ぶ
センサ選定の基本は、検出対象の材質・サイズ・距離・位置・速度・精度・使用環境・電気仕様・保守性の確認です。検出方式の名称だけで選ばず、実ワークと実環境で評価しましょう。今回比較した19種類のセンサは、今後それぞれの動作原理・回路・応用設計を個別記事で詳しく扱います。
参考資料と関連記事
- オムロンFA:光電・近接・変位・安全機器等の技術情報
- パナソニック インダストリー:マイクロフォト・ファイバ・エリア等の製品情報
- キーエンス:変位・測定・画像・圧力・流量等のセンサ情報
- 日本産業標準調査会:関連JIS規格の検索
- 電気設計1|熱に対応した電装・電気設計
- 電気設計2|安全カテゴリの考え方
- 電気設計3|電源と遮断器の選定
- 画像処理カメラの選定方法
注意:本記事の電圧・距離・応答時間は複数カテゴリにわたる代表的な参考値です。実際の仕様と安全・精度の保証はメーカーの最新型式別データシート、規格、実機検証で判断してください。
